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タカシの外資系物語

“運” をコントロールする?! (その3)2014.07.08

    タカシ、映画 『マンデラ』 を観て号泣・・・ なぜ?!

    前回の続き) “運” を引き寄せたい。そのために、どうするか? “運” が向こうからやって来るのを辛抱強く待ち続ける日本人 と 想定できるあらゆる手段を使って、自ら “運” 取りに行くアメリカ人。このように、「“運” を 引き寄せる」という表現1つとっても、日本人とアメリカ人では、ニュアンスが異なります。いきおい、アクションも異なる場合が多い。では、「引き寄せる」のニュアンス以外に、“運” に関して、日米で大きく認識が異なる要素はあるのでしょうか。


    現在、『マンデラ 自由への長い道』 という映画が、ロングランを続けています。U2による主題歌(カッコいい! ファンなんです、実は・・・)が、ゴールデン・グローブ賞を受賞したことも話題になりましたが、映画の内容も素晴らしい!


    先日のこと、私は某タクシー会社がサッカーのワールドカップに合わせて実施しているキャンペーン・カーに乗るという “幸運” に恵まれました(日本に11台しかない!)。そのタクシーは、4名の日本代表のカッコいい写真に身を包み、運転手さんもレプリカのユニフォームを着るという豪華版。加えて、日本で4台しかないという、選手の直筆サインがバックシートに描いてあり、乗車記念として、非売品の日本代表グッズがもらえるという、ファン垂涎のものだったのです!


    ネルソン・マンデラといえば、みなさんもご存知の通り、南アフリカ共和国の人種隔離政策・アパルトヘイトの撤廃に尽力した世界的な指導者・政治家です。映画では、青年時代に反アパルトヘイト運動に身を投じ、27年間もの獄中生活の後に大統領に就任したマンデラが歩んだ激動の人生を、彼と彼を支えた人々の視点で描かれています。中でも、彼の2人目の妻(1人目の妻は、政治運動がイヤで早期に離婚している)である、ウィニー・マンデラを演じたナオミ・ハリスの熱演は、鳥肌モノでした(ナオミさん、ケンブリッジ卒なんだとか・・・天は二物を与えましたな・・・)。 
    マンデラは、逮捕された直後こそ過酷な取調べや労働を強いられるものの、後半は、ゆったりと農作業に従事するなど、“軟禁” に近いような状況でした(世界中がマンデラを逮捕した南アフリカを非難したため、南アフリカ政府が強攻策に出られなかったから)。 
    一方、夫マンデラの留守を預かる妻ウィニーは、ポスト-マンデラ作戦において、血の気の多い若者を束ねていくうちに、先鋭化していきます。南アフリカ政府は、そんなウィニーに対して、1年以上にわたる過酷な拷問を加えます。結果、一層先鋭化したウィニーとすっかり穏健派になったマンデラは、マンデラの出所後、袂を分かち、別居してしまいます。


    悲しいのは、彼らの娘が成人し、ウィニーの右腕として、女性闘士になっていったこと。「テロ行為を止めろ!」というマンデラに対して、娘は「今この瞬間にも、前線では多くの若者が死んでいる。ママや私が行かないわけにはいかない。パパ・・・、それでも、私はパパを愛している・・・」  
    ドーーーーーーー(涙が流れている轟音)ーーーーーーーーーーッ(T-T)(T-T)(T-T) 号泣やないですかーーーーーーっ!


    皆さんも、是非ご覧ください。中学生以上のお子さんなら、意味がわかると思います。

     

    “不運” であればあるほど “幸運” になる?!

    話を戻しましょう。1年間の過酷な拷問に耐え、釈放されたマンデラの妻ウィニー。拘置所から出てきた彼女を支援者が取り囲む中、彼女は大演説をぶち上げます。


    「南アフリカ政府の高官、警察官、刑務所の看守・・・、私はみなさんに、心から感謝します。あなた方は、私に 忍耐 と 信念 を植え付けてくれました。私を人間的に成長させてくれました。私は本当に “幸運” な人間かもしれない。こんなに 強い 人間になれたのだから・・・ 私は決めました。 力のある限り、自分の信念を貫くことを! 立ち上がれ!! 立ち上がれ!!! ・・・ 」


    この発言、強烈な 皮肉 であることぐらい、私もわかっているんですよ、もちろん・・・。しかし、100%完全に皮肉しか言っていないかというと、実はそうではない。キリスト教社会では、自分をひどい目に遭わせた人を憎む一方で、その “経験” の全てを憎むわけではない。自分はそういう過酷な経験(修行に近い)を受けたことで、一回り大きな人間に成長できたのだ、だから、苦しかったけど、ある部分では “幸運” なのだ・・・、そう考えるのです。


    これは、他の宗教には見られない、典型的なキリスト教の世界観です。私見ですが、私はその根底には、狩猟型と農耕型の違いがあると見ています。狩猟型社会というのは、食うか・食われるか(または、食えないか)、1 か 0 の世界です。他人より、足が遅かったり、力が弱かったり、弓矢が下手だったりすること、イコール、死を意味します。毎日が生きるか、死ぬかの世界ですから、少々の過酷さなど、屁でもないのです。足が遅いなら、少しでも足が速くなる訓練を、たとえそれが過酷で拷問に近いものでも、受ける必要があるのです。 
    一方、アジア系農耕民族の宗教には、キリスト教のような 過酷さ がない。ブッダもそれなりに修行を積みましたが、最終的には天寿を全うしています。日本の神道にいたっては、苦しい思いをするのは 因幡の白兎 ぐらいのもんでして、神様の大半は、「よきかな~~~~~(『千と千尋の神隠し』風)」とか言いながら、ポヨンポヨン跳ねているイメージしかしません(宮崎アニメの観すぎ?)。


    そもそも、キリストに至っては、十字架に磔にされる際、手のひらに直接楔を打ち込まれているんですよ! 痛いわーーーっ(T-T)  実は私、2年ほど前に、誤って、芯が出てくる部分が上を向いて露出したホッチキスに、まともに上から手を突いたことがあるんです(どうなったか・・・、意味わかりますよね~?怖怖怖っ) めっちゃ、痛いわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ(T-T)(T-T)(T-T)  今だから言いますけど、泣きましたもん、あまりの痛さに。40過ぎたおっさんが、部下の前で嗚咽をもらしながら、泣いたのですよ・・・。ホッチキスの芯ごときであれだけの痛さなのですから、素手に楔を打ちつけられた日にゃ、「痛いわーーーっ」という声が字の形のまま岩になって飛んでいき、即座に失神することでしょう・・・(痛い話ばかりで、スミマセン・・・)

    “不運” の バー って、どういうこと?!

    さて、上記のことから、何が言えるのか? つまり、アメリカ人をはじめとする、キリスト教をベースとした世界では、“不運” なことでも “運がいい(幸運)” と、半ば無理やり考える文化があるのです。だから、多少のことでは凹まないし、失敗にも寛容なのです。ベンチャーで何度も何度も失敗していても、それは 成功につながる糧 なのだから、いいことなのである。もっと言えば、失敗の多い人の方が、スキルが増す(どうすれば失敗するか知っている=そうしなければ失敗しない!)わけで、どんどん幸運に近づくのです。 
    このように書くと、なんだかアメリカ社会全体が、物事に達観した仙人達の集団かのように思えるのですが、1つ難がありまして・・・ アメリカ人というのは、こらえ性がないというか、苦労に対する バー が低い。アメリカ人と仕事をしていて、夜遅くなったり、量がハンパなく多かったりするときに、よく 「torture(拷問・苦痛)」 「jail(刑務所)」 という言葉が出てきます。 「こんな仕事、拷問だよ・・・」 というわけです。でも、日本人的には、多少は辛いが、根を上げるほどではない。明らかに、大げさすぎる。ブツブツ言ってないで、早く手を動かせよ・・・ と感じることが、頻繁にあります。おそらく、日本人は辛いことに対して、それを “幸運” だと思う人は少ないと思うのですが、そもそも、辛いことに対する耐性が強いので、それを “不運” とも思わないのかもしれません。


    以上まとめてみると・・・


    (1) アメリカ人は、自らの手で “幸運” を取りに行く。一方、日本人は、“幸運” が来るのを待っている 
    (2) アメリカ人は、“不運” でさえ、自分を高め、“幸運” に近づけてくれるものだと考える(その代わり、“不運” のバーが低い)。一方、日本人は、“不運” は “不運” 以外の何物でもないが、“不運” のバーが高いので、余程の閾値を越えない限りは文句を言わない


    ・・・という感じでしょうか。このような差異は、国民性や歴史的な経緯に依存しているため、一朝一夕に変えることはできません。でも最近、アメリカ人的発想の若者が増えてきたように思います。また、経営者や成功者には、アメリカ人的発想の人が多いのは確かでしょう。


    いずれにしても、アメリカ人的発想の方が、明らかに “幸運” の数が多い! 全く同じプロセスを経験した場合、アメリカ人は日本人に比べて、少なくとも倍以上の “幸運” を手にし、自分が “幸運” だと考えて生きている。どうせ限られた人生を生きるなら、アメリカ人的発想の方が、ハッピーに生きられそうな気がしません?


    “運” はコントロールできません。でも、自分の処し方、気の持ちようで、“運” が多いように感じて生きていくことは可能なんだと思います。みなさんは、アメリカ人と日本人、どちらの発想に近いですか? ではこのへんで、GOOD LUCK !!!

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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