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タカシの外資系物語

“字幕の映画” は お好き?! (その2)2014.05.14

    タカシ、戸田奈津子さんの話を聞く!

    前回の続き) 映画 『アナと雪の女王』 にて、主題歌の 『Let It Go – ありのままで』 を歌っている 松たかこ姐さん の歌が凄すぎる! という話をしました。これって、私だけが気付いていたのかと思っていたら、コラムが出た時点で、すでに大きな話題になっていたようですね・・・ いやぁ、なんか大騒ぎしてはずかしいやら、大人げないやら・・・  よもや! まだ聴いたことがない!! ・・・なんて人などいないと思いますが、もしそんな人がいたら、即刻i-Tunes等でゲットして聴いてください。ハマりますよーーー。  あ、そうそう、『Let It Go』 評論家(?)として、これまでに数百バージョンの同曲を聴いてきた私ですが、苦節3週間、とうとう、“究極の 『Let It Go』” を見つけました。それは、11歳の歌手Lexi Walkerさんが歌った非公式verです! (たかこ姐やんとちゃうんかーーーーーーーーーーーーーーーーっ!(T-T))。YouTubeで聴けるので、みなさんもお試しを!


    さて、久しぶりにシネコンに行ってみたら、1つ気付いたことが・・・ それは、「字幕版より、吹替版の方が混んでいる」ということ。『アナと雪の女王』のように、子供をメインターゲットとする映画ならわかります。しかし、『キャプテン・アメリカ』 や 『LIFE』 といったような、大人向けの映画にも吹替版が設定され、かつ、そちらの方が混んでいるのです。これは一体、どういうことなんでしょうか???


    先日のこと、字幕翻訳の大家である 戸田奈津子さん のお話を伺う機会がありました。「えっ!タカシは戸田奈津子さんと友達なのかっ?!」 いやいや、実は私、慶應丸の内シティキャンパスが社会人向けに開講している 『夕学五十講』 という講義に通っておりまして、そこにゲストとして戸田奈津子さんがお見えになったというわけです。 
    で、講義の内容なんですが、これが、ひじょーーーーーーに面白い! 私がこれまでに聴講した講演の中でも、五指に入る面白さだったと思います。無類の映画好きである私の好みにピッタリ、至福の1時間半でした・・・(余韻に浸る・・・)

    戸田奈津子さんから聞いた内緒話 

    有料のセミナーなので、いたずらに内容をご紹介するのは控えたいと思うのですが、でも、どうしても紹介したい! あの面白い話を、独り占めするのは人類にとって大きな損失である!! ・・・ということで、ポイントをかいつまんでお話しましょう。 
    【戸田奈津子さん講演のポイント】・・・かなり、私の個人的趣味で脚色していますが・・・


    (1) 昔の英語教育には、「英会話(英語による対話)」という概念はなく、ただひたすらに、一人で辞書とにらめっこしながら英語を勉強していた ・・・ ちなみに、戸田さんは、当時最先端の英語教育を実践していたといわれる津田塾です。津田ですらこの状態ですから、いわんや他大学をや、でしょうね。NHKの連ドラ 『花子とアン』 でも、同じような様子が伺えます。戸田さん自身、ネイティブを前にしてフェイス・トゥー・フェイスで英語を話した(≒英会話)のは、30歳を過ぎていたとのことですから、読者のみなさんも、全然遅くない! ということです。


    (2) 洋画の “字幕版” を作っているのは、世界広しといえども、日本と発展途上国の一部だけだそうです。それ以外の国は、全て、自国語の “吹替版” しか上映していない。ちなみに、“吹替版” は、“字幕版” に比べ、10倍以上のコストがかかるとのこと。よって、途上国では “吹替版” はぜいたくだ! という理由で採用されていないようです。 日本の洋画が “字幕版” 主体となった理由は、戦後、日本が貧しかったという同様の理由にもよりますが、日本人のホンモノ志向(俳優の生の声を聴きたい)、日本人の識字率の高さ および 瞬時に字幕を読みこなす器用さ に依存するところが大きい・・・ というのが戸田さんの見解です。この見解については、私も同感です。画像を追いながら、字幕を読むなんていうのは、グローバル基準から見ても、アクロバットに近い技なのではないかと思っています。


    (3) 90年代後半になって、映画界に2つのイノベーションが起こった。1つ目は、ジョージ・ルーカスが 『STAR WARS』 の後半シリーズ等で多用した “CG(Computer Graphics)”、2つ目は、ジェームス・キャメロンが 『アバター』 で採用した “3D“ です。戸田さんによると、“CG” “3D” という2つのイノベーションが、映画作りを抜本から変えたとのこと。現在の映画の大半は、パステルカラーがまぶしい黄緑の壁紙が一面に貼り付けられた部屋の中で、同じ色の服を着て、俳優同士が台本通りに台詞を交わすだけ。あとは、“CG” と “3D” を使って、どんな不可能でも可能にすることができるようになった。一方、戸田さんの出世作である 『地獄の黙示録』(私も大好きな作品です!)では、すべて実物で対応し、だからこそ、鬼気迫る迫力を出すことができたのに・・・ と、昔を懐かしんでいらっしゃいました。ちなみに、戸田さんに言わせると、スピルバーグはイノベーターではないそうです。彼の手法は、だれよりもアナログで、だれよりも子供の心を大切にしており、その点がウケたのであって、何かを発明したわけではない・・・ というのが、戸田さんのスピルバーグ評でした。的確ですなぁ・・・

    字幕は使命を終えたのか?! 

    話を戻しましょう。ではなぜ、今になって 「字幕版より、吹替版の方が混んでいる」 状況が起こったのでしょうか? 戸田さん説によると、“CG” “3D” という2つのイノベーションにより、画像そのものから目が離せなくなった結果、字幕を追えなくなった、または、字幕を追うのが面倒になった・・・ というのが主要因ではないか、というのです。 
    なんやねん、それ! そもそも、大人が吹替版観るなんて、カッコ悪いやん・・・ でも一方で、すごく納得できます。先日公開された 『アメイジング・スパイダーマン2』だって、台詞なんかどうでもいいから、究極の “CG” と “3D” を堪能したいですよね(逆に言うと、台詞が一切なくても理解できるような薄い内容とも言えるのですが・・・)。もっと言うと、“3D” 映画のときって、はっきり言って、画面上の字幕、邪魔だし。私なんか、元々メガネかけているんで、“3D” 映画を観るときは、“(普段の)メガネ on (3D)メガネ” になるんですよねぇ。だから、下の方に出る字幕って、二重に見えたりするので、真剣に字を追っていると、酔うし・・・(なんか、情けないが・・・)


    もちろん、吹替版が流行っている理由は、これだけではないと思います。私は、「単に、字を読むのがウザい」と思っている人(特に、若者)が増えているのではないかと踏んでいます。LINEなど、その典型でしょう。文字を一切使わなくても、コミュニケーションが成立します。でも、それってちょっと悲しくないかい? うーーむ、どうしたもんかねぇ・・・ 


    次回、もう一回だけ、同じテーマを扱います。そこでは、私なりの、あるべき異文化コミュニケーション論をお話したいと思います。

     

    次回へ続く

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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