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タカシの外資系物語

ワールドカップ 雑感2010.08.03

今さらの話題ですが、ワールドカップのお話をしたいと思います。今回のワールドカップ、私は以下のことを再認識したという点で、非常に印象に残る大会となりました。

(1) 周囲の雑音を気にしてはならんということ
(2) 「態度はデカいが、結果も残す」日本人が出てきたということ
(3) 国別チームよりグローバルチームの方が強いということ

周囲の雑音を気にしてはならん・・・

「日本、予選リーグを突破し、16 強進出 ! 」 大会前、この結果をだれが予想したでしょうか ? マスコミは連日、監督の戦術不能からチーム内不和まで、ありとあらゆる不安材料を書き立てました。「予選リーグ 1 勝はおろか、1 点も取れないのでは・・・」と思っていた日本人は、かなり多かったと思います。


大会前の強化試合では結果が出ていませんでしたし、実際に、チームの雰囲気は最悪だったのかもしれません。今となっては、それはだれにもわからない。しかし私の印象では、大会前のチーム状態は、マスコミが言うほど悪くなかった、むしろ良かったのではないかと推察します。なぜなら、チーム状態が悪いまま大会に突入して、火事場のくそ力で勝てるほど、ワールドカップは甘くはないからです。それは、イタリアやフランスの結果を見れば一目瞭然です。世界屈指の強豪でも、チーム状態が悪ければ 1 勝もできない。日本のレベルで予選リーグを突破できたのですから、調子が良かったと見る方が理にかなっています。


同様のことは、ビジネスの世界でも起こります。例えば、私の場合、コンサルティングのプロジェクトを進めていると、どこからともなく、「あのプロジェクトは危ない」「タカシの管理ではスタッフがついてこない」・・・ などといった "雑音" が聞こえてきたりします。


一体だれが、このようなことを言いふらしているのか ? 全く不思議で仕方ないのですが、こういう根も葉もない噂に限って、上司に伝わるのは早く、呼び出された挙句、「状況を説明せよ ! 」となります。どないせぇ、っちゅうねん ! 噂を広めているやつに聞いてくれや、って感じ。結果、どうでもいい報告作業に時間を取られてしまうわけです。
傾向として、この手の噂に敏感なのは、日本人上司です。呼び出すのも、決まって日本人のえらいさん。一方、外国人の上司は、あまり社内の噂には反応しないように思います(単に、日本語で流布している噂を理解していないだけ、という説もあるが・・・)。


ある外国人の上司はこう言います。「社内の噂など、気にしなくていい。あなたの足を引っ張ろうとしているやつがたくさんいるのだから、いちいち気にしていたら身が持たない。プロジェクトの状況を本当に知りたいとき、私なら真っ先に "クライアント" に尋ねるよ」
みなさんも、周囲の雑音に惑わされないように・・・

態度はデカいが、結果も残す・・・

これまで、世界的に活躍する日本人というのは、圧倒的に「態度は控えめで、結果を残す」タイプが多かったように思います。これは日本文化の根底を流れる考え方で、典型的な武士道気質といえます。アスリートや職人には、このタイプが多い。

昨今、「態度はデカいが、結果は伴わない」タイプも、そこかしこに見られるようになってきました。しかし、このような人は、世界的に有名にはならない。単なる目立ちたがり屋に過ぎませんからね、だれも相手にしません。


今回のワールドカップでブレークした本田選手は、上記のいずれとも違います。つまり、「態度はデカいが、結果も残す」。これまでの日本人になかったタイプです。マリナーズのイチロー選手や水泳の北島選手も、同じ類型だと思います。
私は、本田選手のような日本人がどんどん出てきてほしいと思っています。なぜなら、「態度がデカい」ということは、言い換えると、「自分の言葉で話す」ということを意味します。自分の言葉で話せば、コミュニケーションが成り立ちます。コミュニケーションできれば、日本人をアピールできるし、リーダーシップがとれる。
今後、日本が世界と伍していくためには、リーダーの養成が必須です。ビジネスの世界においても、「態度はデカいが、結果も残す」人材を、ますます輩出していかなければなりません。

国別チームより、グローバルチームの方が強い・・・

サッカー通の同僚 A は、こんなことを言います。

「寄せ集めで急ごしらえの代表チームは、完成度が低いので面白くない。普段から一緒にやっているクラブチームが争う欧州チャンピオンズリーグの方が見ごたえがある」
そんなことを言って一席ぶっているわりには、ワールドカップ期間中、ずっと睡眠不足で目を真っ赤にしていた同僚 A 。面白くないなら、見るなよ、って感じですが・・・ (この手のサッカー通は、みなさんの周囲にも、結構いると思います)


私は A ほどのサッカー通ではありませんが、それでも、代表チームよりクラブチームの方が完成度が高くて強いというのは、何となくわかります。イングランド代表より、マンチェスター・ユナイテッドの方がはるかに強い気がしますもんね。


しかし、よくよく考えてみると、これは至極当然のことなのです。単一国家だけの代表チームより、グローバルチームの方が強い。外資系企業に勤めていると、そのことを思い知らされます。どんなに頭の切れるやつがいても、どんなにスタミナのあるやつがいても、日本人だけのチームは、やはりもろい。逆に、グローバル人材が集まったチームは、たとえ言葉の壁があったとしても、いざというときに崩れないことが多いように思います。


例えば、作業が締め切りまでに間に合わない、としましょう。日本人だけのチームは、全員が一様に途方にくれるわけですが、グローバルチームでは、思わぬ発想が出てきたりする。「ここは一丁、手を抜こう ! 」「締め切りを延ばせばいいじゃん ! 」 そんな無茶な・・・ というような発想も、実は当を得ていたりすることがしばしば。額面通りに、堅苦しく考えることだけが正解ではないことに気付かされます。
ま、ワールドカップはワールドカップとして、民族意識を高揚させながら、楽しめばいいのですが。でも、Jリーグに戻った瞬間、あれだけのサッカー熱が急速に冷えてしまうのはいかがなものか。Jリーグだって、グローバルチームの醍醐味が味わえると思うのですがねぇ・・・


さてさて、このコラムを始めてから、早や 10 年。ワールドカップに関する話題も、すでに 3 回目となりました(前々回の日韓大会については『ワールドカップ観戦 !?』、前回のドイツ大会については、『ドイツ・W 杯に思うこと』を参照のこと)。
そんなこんなで、次回はとうとう 祝 500 回 ! 次回のコラムでは、連載 500 回をむかえるにあたり、みなさんにある「ご報告」をしたいと思っていますので、楽しみに待っていてください。では、また来週 ! 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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