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タカシの外資系物語

パッケージ導入コンサルのすすめ ( その 2 )2008.03.11

「資格」のないタカシの叫び

前回の続き ) 今回は、パッケージ導入コンサルが、なぜ若手コンサルタントのスキルアップに有効なのか、また、なぜパッケージ導入コンサルを経験した方が、出世が早い傾向にあるのか、ということについて、私自身の経験を踏まえてお話したいと思います。

 

「私自身の経験を踏まえて … 」というのがミソ。実は、私はコンサルティング業界に 13 年在籍していますが、最初の 7 年間はパッケージ導入のコンサルをやっていました。

 

今をさかのぼること 13 年前、銀行を辞めた私は、ある外資系の会計系コンサルティング会社に転職しました。最初の仕事は、「システム監査」 … 監査というと、なんかカッコいい響きがするのですが、要は公認会計士の人にくっついて、資料の作成等をする、いわば「パシリ ( 使い走り ) 」みたいな仕事でした。

 

一般にはあまり知られていないのですが、会計監査を含め、いわゆる「監査」という仕事は、会計士が全てをやるわけではありません。企業の監査というのは、公認会計士が数名に、若手の「会計士補」 ( 会計士の 2 次試験に合格した人。 5 年の実務経験を経て公認会計士となる ) がウジャッといる体制です。「会計士補」の若手というのは、大学を卒業して 5 年以内の人が大半でして、その企業の業務内容をあまり理解していないわけです。なので、私がやっていたような「パシリ」が必要とされるわけです。私のような「パシリ」は、現業に長く関与していたので、その企業の業務内容を知っているからです。しかし一方では、「公認会計士」という「資格」を持っているわけではありませんから、いつまでたっても上には立てない。私は半年間、監査に従事して、そのことに気付きました。以上の経緯から、

 

「監査はもういいから、純粋なコンサルをやらせてくれ ! でないと、銀行業界に戻るぞ、コノヤロ !(T-T)(T-T)(T-T) 」とクビ覚悟で担当パートナー ( = コンサル会社の役員 ) に直訴したというわけです。

<BR/>「わかった、じゃ、○○○に出向してくれ ! 」 ○○○ ? なんじゃ、そりゃ … 当時の私は、○○○という会社の存在すら知らなかったのですが、啖呵を切った手前、後に引けなくなり、○○○社に出向しました。その会社で、 ERP というパッケージ導入コンサルを経験したというわけです ( ○○○社での顛末は、『タカシ・外資系駆け出しの頃』を参照のこと )。

コンサルならば、“To-Be” と “Gap” が出せるのか ?

「純粋なコンサルをやらせてくれ ! 」と言ってみたものの、はて、純粋なコンサルとは何ぞや ? コンサルには、会計士のような資格はありません。資格というのは、「これこれ、こういう事が出来る人」という定義があって成り立つ代物です。コンサルに資格が存在しないという事は、出来る事を定義しにくいのだろう、という所まではわかりました。

 

では再度、純粋なコンサルとは何でしょう ? これには色々な定義があると思います。 IT コンサル、戦略コンサル、人事コンサルなど、分野によってもかなり違うと思います。しかしここでは、ごく一般的なコンサルのアプローチである、「 Fit & Gap 分析」 を例にとって考えてみましょう。

 

Fit & Gap 分析というのは、何かやりたいこと = 目的 ( コストを削減する、顧客満足度を高める等 ) を達成するための 「あるべき姿 ( To-Be: トゥービー ) 」 と 「現状 ( As-Is: アズイズ ) 」 を比較し、「合致していること ( Fit ) 」 と 「合致していないこと ( Gap ) 」 を明らかにしていく手法です。結果、 Fit は合っているのだから、そのまま進めばいい、 Gap は合っていないのだから、合わせるように工夫しなければなりません。

 

上記の “To-Be” “As-Is” “Fit” “Gap” のうち、コンサルタントが提示すべき ( 提示する値打ちがある ) のは、間違いなく “To-Be” と “Gap” です。 “As-Is” は現状なのですから、見たり聞いたりすればわかります。 “Fit” は合致していることを確認するだけなのですから、比較すれば終わりです ( 実際には、こんなに単純な話ではないのですが、ザクッといえば、こんな感じです )。

 

では次に、 “To-Be” と “Gap” ではどちらが難しいか ? これは、 “To-Be” です。 “Gap” というのは、 “To-Be” と “As-Is” を比較し、合致していない点について対策を考えることです。逆にいうと、 “To-Be” さえ出ていれば、あとは比較し、解決する案を出せれば済むわけです。よって、難しさの観点から見ると、この 4 つの序列は以下の通りとなります。

 

( 1 ) To-Be
( 2 ) Gap
( 3 ) As-Is と Fit

さて、コンサルにとって重要なことは、 “To-Be” と “Gap” の提示である、と書きました。しかし実際には、説得力のある “To-Be” なんて、早々出せるものではありません。コンサルのスキルアップという意味では、 “As-Is” “Fit” は出せる力を前提として、 “Gap” を出す仕事をこなしながら、 “To-Be” を出せる練習をする … というのがベストなのです。「そんな都合のいい仕事があるのかいな ? 」 実はあるのです。それが、「パッケージ導入コンサル」というわけです。

「型」固定の訓練、後に「型」そのものを作る

ERP をはじめとする「パッケージ」というのは、そもそも「パッケージとしてできる機能」が決まっています。これを “To-Be” と見るのです。もちろん、パッケージの機能 = あるべき姿 と言い切ることには抵抗があるかもしれません。しかし、パッケージというのは多くの企業がすでに使っているわけで、そういう意味では、「多くの企業が認めた “あるべき姿” の一形態」という言い方は出来るはずです。

 

私が出向した○○○社は、 ERP 業界では世界一の実績を誇っていました。その当時で、グローバル 6,000 社の実績 ( 現在は、 10,000 社超の実績 ) を謳っていましたので、とりあえずの “To-Be” としては、かなり説得力があったのです。

 

私の出向期間は 1 年間でしたが、そこでパッケージ導入コンサルのノウハウを得た私は、出向から戻ってからも、合計 5 社の大規模案件に関与しました。主な仕事は、パッケージと要件の “Gap” を埋めるということです。 “To-Be” はすでに決まっていますので、いかに現状業務や要件をそれに合わせるか、という事だけに専念することが出来たのです。

 

そして 5 年前、今の会社に転職しました。転職した理由は色々とあったのですが、ぶっちゃけていうと、「 “Gap” 作業に飽きた」からです。前の会社で、パッケージコンサル分野での幹部就任を打診されたのですが、それよりは、 “To-Be” を出す仕事に移りたかったというわけです ( これについては、『突然ですが …… 転職します ! 』を参照のこと )。

 

転職して早や 5 年。今は “To-Be” を出す仕事をメインにしていますが、前職からの転進は、それほど苦になりませんでした。その理由は、 “Gap” 作業を繰り返すうちに、 “To-Be” の見当が付く様になったからではないか ? と考えています。

 

例えば、「自動車の未来」というテーマで考えてみましょう。将来的には、自動車は空を飛ぶかもしれません。誰だって空飛ぶ自動車が欲しい。しかしこれは、 “To-Be” として考えるには過激すぎます。「翼をどうするか ? 」「動力は ? 」「交通整理は ? 」 … など、 “Gap” を考えていくと、現実との乖離があまりにも大きすぎて、 “To-Be” として相応しくないわけです ( 空想の世界で考えるには楽しいのですが )。 一方、 “Gap” がある程度見えていると、「燃料 = 電気やバイオ」「障害物をコンピュータが察知する」「 GPS による自動運転」などの現実的な解が見えてくるので、議論が実践的になるというわけです。

 

言い方を変えると、 “To-Be” というのは一種の「型」です。プロジェクトの度に、「型」を提示するのは難しい。ならば、まず「型」が固定されたレベルで、身のこなしを訓練する。ある程度の動きが出来るようになった段階で、「型」そのもののバリエーションを増やしていく … そんなイメージでしょうか。

 

もちろん、このやり方が絶対ではありません。しかし、私の経験および周囲を見渡しても、まずパッケージ導入コンサルを経験して、その後、純粋なコンサルに移った人の方が、成果を上げて、短期間に出世する可能性が高いのも事実。それは、上記のような理由から、効率的なスキルアップが図れたからなのだと思うのです。

 

また、外資系企業そのものも、「型」を非常に重視します。欧米をはじめとする外国人は、あらゆる仕事において、上記のアプローチをとりますし、また、そういうアプローチをする ( 「型」を固定したレベルで訓練し、次第に「型」そのものが作れるようになる ) 人を評価する傾向にあります。

 

… なーーんてことを、説明していたら、パッケージ導入プロジェクトへのアサインを渋っていたヨシオくん、何やら気が変わったようです。

 

ヨシオ 「タカシさん、その案件、ご紹介いただけませんか ? 」

タカシ 「 ( えらい、単純なやつ … ) あ、ああ、いいよ」

ま、いっか … 多分、私の言っていることは大きく間違っていないので。数年後に、今とは見違えるほど成長したヨシオくんに期待したいと思います。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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