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タカシの外資系物語

外資系への就職、どっちがお得 ? ( その 2 ) 大手 or ベンチャー2007.05.15

大手企業出身者に期待すること

前回の続きです。今回のテーマは、「日系企業から外資系へ転職する場合には、大手企業からの方が有利なのか、それとも中堅・ベンチャーの方がいいのか ? 」 有利か不利かは別として、実績から見ると、大手企業からの転職が圧倒的に多いと思います。そもそも、大手企業からの応募者の絶対数が多いということもありますが、外資系企業にとっても、大手出身者は魅力的なのです。その理由は、お客様も一緒に移ってきてくれることを期待しているからです。


基本的に、外資の中途採用では「潜在能力」は見ません。繰り返しお話しているように、外資では中途採用者に対して教育・訓練をする気はハナからありませし、そういう機能を担っている部門もないので、「磨けば光る」人材を採用しても、磨くことができないのです。ですから、明日からでも戦力になってくれる人材 ( 即戦力 ) を採用します。


この「即戦力人材」という意味では、日系大手にも、中堅・ベンチャーにもいるでしょう。しかし、その人についている顧客層の厚みという意味で、大手の方が有利なのです。一般的に、外資系企業が参入してくる市場では、日系大手との戦いになります。外資にとっては、大手が押さえている既存顧客はのどから手が出るほど欲しいわけで、中途採用を通じて、顧客獲得も行っているというわけです。


私は過去に 2 回転職をしていますが、いずれの場合も、上記のケースに当てはまります。 1 回目は、日系大手銀行から外資系コンサルティング会社 A への転職でしたが、採用した A 社の目論見としては、私を入社させることで、私が元いた銀行から多くの案件を獲得することを期待していたはずです。実際に、私の紹介によって、私が元いた銀行とは相当程度のビジネスをすることができましたから、 A 社としては思惑通りといったところでしょう。 2 回目の転職は、外資系コンサルティング会社 B 社への転職で、その際も「成果」ははっきりと出ました。私は転職後 3 年間で、 3 社の顧客を A 社から奪いました。これも B 社の思惑通りというわけです。

中堅・ベンチャー出身者に期待すること

では、外資系企業は、日系の中堅・ベンチャー企業からの応募者をどのように見ているのでしょうか。実は、「仕事の遂行能力」という観点で、非常に評価しているのです。日系大手のからの転職者は、お客様を持ってきてくれるという期待感はあるものの、結構「当たり外れ」があります。仕事をするという意味で、外資に合わない人が多いのです。


例えば、日系大手では、課長にでもなれば、出張のチケット手配などの庶務的作業は、課の庶務係さんがやってくれます。私が日系大手銀行にいたときのこと、 3 年目にシンガポールに出張する機会がありました。そのときに私の課の庶務係さんは、チケットの手配はもちろんのこと、空港からホテルまでの最短距離をマーカーでなぞった地図まで準備してくれました。当時は私も、こんなもんなんだろう … としか思ってなかったのですが、外資に移ってみてビックリ ! 外資では、全部自分でやらなければなりません。そもそも、庶務係さんなんていませんし。課長であろうが部長であろうが、出張が決まったら、その場で自らエアーチケットとホテルの手配をしています。日系大手の発想は、「そんな仕事は、課長ではなく、給料が比較的低い庶務係さんにやってもらった方がいい ! 」というもの。しかし、外資では、「そんな仕事は、自分やればいい。庶務係さんにお願いしている間にできるでしょ ? だから課ごとに庶務係さんなんて雇わない ! 」と考えています。


このような外資の考え方は、中堅・ベンチャー企業と通じるものがあります。中堅・ベンチャー企業出身の方は、「自分のことは自分でする」という考えに慣れているので、外資での仕事にもすんなり入りやすいのだと思います。一方、大手出身の方は、「どうしてオレがこんなことしなきゃならないの ? 」といった、くだらないプライドが邪魔して、何となく違和感を持ったまま過ごしているというケースが見受けられます。その証拠に、入社後半年ぐらいして、会社にブチブチと文句を言い続けているのは、決まって、日系の超一流企業出身の方だったりします。( 『自分のことは自分でしなさい ! 』参照)

ベンチャーを通じた驚きのキャリア・パス

私の経験では、こんなケースもありました。私が前職のコンサルティング会社にいたとき、同僚の N が、独立してベンチャーを立ち上げました。 1998 年当時、インターネット・ビジネスが異常な盛り上がりを見せていまして、「 SIPS ( Strategic Internet Professional Service ) 」というネット専門のコンサルティング会社が流行っていたのです。 N が立ち上げたベンチャーというのは、まさにその SIPS でした。


その頃、 N と私はマネージャーに昇進したばかりでして、私は「血迷うな ! そんなわけのわからんベンチャーなんか成功するわけねぇだろ ! 」と言っていたように思います。 N は、「人生一度きりだから、好きなようにやってみるよ … 」と会社を辞めていきました。


それから 1 年後のこと、 N の会社は軌道に乗ったらしく、マスコミ等でも取り上げられるようになっていました。私は N を祝福する反面、悔しい思いの方が大きかったように思います。しかし、 N は多大なリスクをとってベンチャーに挑んだわけですから、現状の地位に甘んじてノホホンとしていた私がとやかく言える話ではありません。


そんなある日、社内にこんな噂が飛び交ったのです。「うちの会社、 N が作った SIPS の会社を買収するらしいぜ ! 」  2 ヵ月後、それは現実となり、 N はまたもや私と同じ会社で働くことになりました。なんと、パートナー ( 役員 ) として ! SIPS の社長をしていた N は、役員としてわが社に迎え入れられたのです。


N 「ま、こういう出世の仕方もあるってことじゃないの ? 」


私 「お、おまえなぁ … それはないんじゃない。トホホ … (T-T) 」


さて、 N のケースはかなりレアなものだと思いますが、キャリアの可能性としては示唆を与えてくれます。 1 つには、ベンチャーで成功して、外資に買ってもらうという選択肢です。一般に、日系大手企業というのは、どこの馬の骨かわからんようなベンチャーは買収しません。しかし、外資では買収の対象になります。そのベンチャー企業の潜在能力に「投資」するわけです。


「中途採用では潜在能力を見ないのに、買収では見るのか ? 」 その通りです。買収は「投資」だからです。一方、中途採用は「投資」ではありませんから、確実性・実効性といったものを重視しているのです。


もう 1 つは、「日系大手 → 外資 → ベンチャー → 外資 → ベンチャー … 」というキャリア・パスです。これまで述べてきたように、外資と中堅・ベンチャーというのは、企業文化が通じる部分があるので、頻繁に相互を行き来しても、即戦力として十分に機能します。一方で、日系大手から外資に転職して慣れてしまった場合、再度日系大手に戻るのは難しいように思います。なぜなら、日系大手の仕事のやり方・プロセスがかったるくて、やってられない面があるからです。正直言って、私の場合も、今さら日系大手に戻ってやっていく自信がありません。これについては、同僚のシンヤがこんなことを言っています。


「 ( 外資系企業で働くことについて ) 一度踏み入れた限りは、苦しくても、もう引き返せないっていうかさ」。( 『「グラウンド・ゼロ」にて ( アメリカ出張その 3 ) 』参照 )


さて、今回のテーマであった、「日系大手か、中堅・ベンチャーか ? 」ということですが、どちらにも外資へのキャリア・パスの道はあるわけで、どちらが有利・不利というものでもないように思います。もっと言うと、日系大手、中堅・ベンチャー、外資というのは、会社の形態の話であって、その組織で自分がどのような役割で、どんなスキルを身につけて、どんな成果を上げることができて、いくらの給料をもらえるか … というのは、また別の話です。「外資に入ること」が目的ではなくて、「その組織で、自分が何をするか。そのために最適の組織はどこか ? 」というのが根本の問題だと思いますが、いかがでしょうかね ? 私の場合は、もう少し外資でスキルをつけて、 N のようなベンチャーを目指してみたいと思っています。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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