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タカシの外資系物語

自分のことは自分でしなさい ! ( その 1 )2002.01.25

先日、入社して 6 ヶ月が経過した中途採用者のミーティングに呼ばれました。私の役割は、会社に対する彼らの意見に耳を傾け、適切な回答をしてやるという、何とも気が進まない仕事でした。要するに、「こんなはずじゃなかった」「話が違うじゃないか」という文句に対して、経営に代わって、回答ならぬ「言い訳」をしてやるという事なのです。


割り切って考えると、実はそれほど回答には困りません。例えば、「聞いていたのより、残業が多いじゃないか」という質問には、「あなた自身の仕事のやり方が悪いんじゃないの ?」と言ってやれば、それで終わりです。しかし、私には何か割り切れないものがあるのです。というのも、転職して 6 ヶ月ぐらいの頃には、私も彼らと全く同じことを思っていたからなのでしょう。「みなさんの不平不満はわかります。それはその通りなのですが、そこを何とか乗り越えれば、そのうち楽しくなってきます … 」これが最も適切な答えだったりするのです。


ミーティングルームには、30 名程度の中途採用者が座っています。最近わが社では採用を増やしており、ここ 1 年で 150 名程度の中途採用を実施したようです。人数が何となく少ないのは、このミーティングが「自由参加」だからなのでしょう。そもそも、自分の思い通りに仕事が出来ている人は、忙しくてこんなミーティングには顔を出しません。


会議が始まると、案の定、私が事前に予想した通りの意見が浴びせられました。「残業が多い」から、「総務部門がしっかりしていない」まで、10 ぐらいの意見が出たでしょうか。私と同僚は、各質問に丁寧かつ形式的でもある回答をしていました。


11 番目の質問に回答しているとき、私はふと、あることに気づいたのです。


「この人たちは、まだ外資系企業をわかっていない。まだ日系企業にいるつもりなんだ … 」


その質問内容と私の応対は、以下の通りでした。


( 質問者 )「知りたい情報がどこにあるかわからない。例えば、外国での事例とか …」


( 私 )「ああ、それならグレッグが詳しいですよ」


( 質問者 )「いやいや、そういうことではなくて、その情報をグレッグさんが知っているということがわからないんです」


( 私 )「私だって、グレッグと親しくなるまでは知りませんでしたよ」


( 質問者 )「でも私にはグレッグさんと親しくなる術がないでしょう。そもそも知らないわけですから。そういうのは、会社がサポートしてくれるんじゃないんですか ?」


( 私 )「( イライラ ) だからサポートしてますよ。現に、その分野のエキスパートであるグレッグと同じ建物で働いてるじゃないですか。グレッグはいいやつですから、たとえ英語がうまくなくても話を聞いてくれますよ」


( 質問者 )「そういうのの、一覧表はないんですか ? だれが何を知っているとか、日本語ができないとか … 」


( 私 ) ブチッ !( 切れた音 ) 「あ、あのなぁー。あんたら子供じゃないんだから、自分のことは自分でやれよ ! 自分が欲しい情報なんだから、自分の足でかけずり回って探せよ、バカじゃねえのか ! てめーなんか、クビだ、クビ !」


この暴言により、私は数分後には会議室から退場させられていたのですが、間違ったことを言ったとも思っていません。現に、参加していた中途採用者からも、「タカシさんの発言で、何かわかったような気がします」というメールをもらいました。私の経験では、超有名大学を出て、超一流企業にいた人ほど、「自分で考えて行動する」能力が低いような気がします。私が怒鳴ったその人も、ピカピカの経歴の持ち主でした。


私が日系企業から外資系に転職して、最初に感じたことは、「この会社はどうなってるんだ、どういうふうな管理体制になっているのか、全くわからん … 」ということでした。しかし今となってみると、全くわからないのは当然です。そんなもの、そもそも存在しないのですから。自分が必要なものを、自分のやり方で獲得できる人間が勝つ、これが欧米狩猟民族の基本的な考えです。また、自分が何かを探し出すことに喜びを見出せない人には、外資系は向かないと言えるでしょう。


「自分のことは自分でしなさい !」子供の頃、母親や先生から、よく叱られたものです。えっ ? そんなこと、一度も言われたことないですって ? … じゃ、あなたは外資系にすごく向いている素養の持ち主なのか … さもなくば、全く向いていないのかもしれないので、くれぐれもご注意を !

 

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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