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タカシの外資系物語

“ えらいさん ” に呼び出された理由 ( その 1 )2007.02.27

外資における業務指示

「タカシーーー ! やばいことになったよ … ( T-T )」


同じセクションの同僚であるマサシが、慌てた顔をしてやってきました。


私 「一体、どうしたの ? 」


マサシ 「バートから、うちのセクションのマネージャー全員召集かけられちゃっ て … タカシ、お前も呼び出されてんだから、一緒に行くぞ ! 」


私 「は、はぁ ? 」


バートというのは AP ( アジア・パシフィック ) のヘッドです。 AP のヘッドというのは、日本支社の社長より上位なわけでして、マサシや私からすると、 3 段階上にあたります。


【うちの会社の序列】

AP ヘッド ( バート )  - 日本支社社長 ( 日本人 S 氏 ) - 日本支社金融セクション・ヘッド ( トーマス )  - 金融セクション・マネージャー ( マサシ・ 私など )


一般に、外資系企業においては、階層を越えて直接的に業務指示がなされることはありません ( 例えば、バートが私に直接業務指示を出すことはない ) 。


AP ヘッドの指示は日本支社長に、日本支社長の指示はセクション・ヘッドに … という形で、指示は階層毎に実施されます。「日本企業だって、そうしてるだろ ? 」と思われるかもしれませんが、外資のそれにはちょっとした理由があるのです。


その理由とは、「指示を受けた者が、自分の “ サヤ ” ( Margin ) を乗せて、下に伝えていく」ということです。例えば、 AP ヘッドが「日本支社の収益 10%UP」と、日本支社長に指示したとします。日本支社長はその指示を受けて、「金融部門 15%UP 、公共部門 12%UP ・・・」などの戦略を考えて、各セクション・ ヘッドに具体的に指示します。それを受けた各セクション・ヘッドは、「タカシ 20%UP 、マサシ 18%UP ・・・」というように、下の階層に落としていきます。


“ サヤ ” (Margin) というのは、上の指示を下に伝える際の「+α」でして、上の例を見てもわかる通り、 AP ヘッドの段階では「 10%UP 」だった収益向上の指示が、私のところまで来ると「 20%UP 」となり、 10% も上乗せされています。このように、自分なりのサヤを乗っけてから、下に指示を行なうためには、階層ごとに行なう必要があるということです。


一方、日系企業では、社長が指示した「 10%UP 」は、おそらく末端社員に伝わる段階においても「 10%UP 」のままです。もちろん、社員の士気向上のために、恣意的に数値を若干変えることはあり得るでしょうが、外資のように支社長やセクション ・ヘッドが個人的な目的のためにサヤを乗っけることは、まずないでしょう。

呼び出された「理由」

話を戻しましょう。階層ごとにしか業務指示を落とさない外資系において、どうして AP ヘッドであるバートが、 3 階層も下のわれわれマネージャーを直接呼び出したのか ?  
可能性は 2 つ。「褒められる」 か 「怒られる」 か、のどちらかしかありません。


しかし、マサシの困った顔を見ていると、どうも褒められるような気はしません。でも、怒られる覚えも一切ありません。


私 「ところでマサシさぁ … 俺たち、どんな用でバートに呼び出されたんだろうね ・・・ ? 」


マサシ 「さぁ …」


私 「さぁ … って、マサシ知らないの ? 」


マサシ 「知らないよ … ( T-T ) バートの秘書さんから連絡があって、大至急集まれって言うからさ … こんな場合、怒られるに決まってんじゃないかよ … ( T-T )」


マサシが pessimist ( 悲観主義者 ) なのを差し引いても、これも日本のビジネスマンの特徴なのかもしれません。マサシは 1 年ほど前に、日系の大手企業から転職してきた「外資 1 年生」です。まだまだ日系に染まったままのマサシにとっては、「上司に呼び出される」 = 「怒られる」 であって、「褒められる」ではないわけです。


その点私は、かなり外資に染まってきたのか、「まだ怒られるって決まったわけじゃないし … 」と考えながら歩いていました。


マサシ・私 「Excuse me! 失礼します !」


バートの部屋に入った私は、自分の optimist ( 楽観主義者 ) ぶりが恨めしくなりました。バートの顔、いわゆる「般若の面」みたいに眉が引きつっています。こりゃ、困ったことになりましたぞ ・・・

I’m very sad...

バートの部屋には、日本支社長の S 氏、金融セクション・ヘッドのトーマス、およびトーマス配下のマネージャー 8 名 ( マサシと私も含む ) が召集されていました。いわゆる「オールスター勢ぞろい」。これは本格的にタダ事ではないようです。


バートは次のように切り出しました。 「I’m very sad...( とても悲しい … )」


Zzzz...い、いかん … しかし、眠い … 外国人、特にバートのように MBA 持ちのインテリ外国人の「説教」というのは、「たとえ話」が頻繁に出てくるため、私のように英語がそれほど得意でない者にとっては、何を言っているのか ( ≒ 何を怒っているのか ) わからなくケースが多々あります。


私の断片的な理解では、バートは以下のようなことを言っているようです。


・ あるマネージャーから、重大なことについて Speak Up ( スピークアップ: 何らかの問題が通報されること ) があった 
・ わが社で最も重要なことは「チームワーク」と「ダイバーシティ」である  ( ※「ダイバーシティ」については、『外資におけるダイバーシティ 』 参照のこと ) 
・ 社員が働きやすい環境を構築することによって、個人の能力が発揮される …


??? バートが話している内容からすると、おそらく、だれかが何かをバートに「チクッた」のでしょう。はて、一体、だれが何を … ?


バート 「 … 以上のように、企業が成長するために最も大切なことが守られていなかったことを、私は本当に悲しく思う。じゃ、具体的な状況について、当事者であるジョーンズから話をしてもらおう・・・ Jones, please! 」 ジョーンズ 「 OK, Bert ! 」


???!!! お、 OK って、バートにチクッたのって、ジョーンズ ( トーマス配下のマネージャー。マサシや私の同僚です ) だったの ?


ジョーンズはマサシや私など、同僚のマネージャーを見渡すと、次にように話を切り出しました。


「私は同僚のマネージャーに、活躍の機会を奪われました …」


おい、おーーーーーーーーーい ! 一体、何言うとんねん、ジョーーーーーーーーーーーーーンズ( T-T ) ( T-T ) ( T-T ) ( T-T ) ( T-T )

 

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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