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タカシの外資系物語

外資の年始は人事異動から ? ( その 2 )2007.01.23

アナウンスされない人事異動

( 前回の続き ) 年末に Thomas から指示された人事異動のおかげで、年始はドタバタと始まりました。 Thomas は、「 1 月 1 日付で人事異動実施 ! 」と言っていましたが、実際に業務が始まるのは 1 月 3 日ですから、 1 日に人事異動を出しても意味がありません。と、いうか、私の処理が間に合いません ・・・ (T-T) 。結局、人事異動は 1 月 5 日付で実施しました。


外資の人事異動の特徴として、「社内に ( もちろん社外にも ) 一切公表されない」ということが挙げられます。日本企業の場合には、人事部から「○月○日付人事異動 ! 」みたいな感じで、社内にアナウンスされると思います。異動の対象となる社員は、そのアナウンスを見てから、自分の上司とかに呼ばれて、「タカシくん、営業部に行ってもらうことが決まったよ。頑張ってくれたまえ、ガッハッハ ! 」などと言われビックリ。急いで、業務の引継ぎ資料を作ったり、連日の送別会攻勢をこなしたりすることになります。 


一方、ほとんどの外資系企業の場合は、社内で人事異動がアナウンスされるのは、役員クラスのみ。役員以外の「ペーペー」については、だれがどこで何をしているか、把握するのが非常に困難な仕組みになっています。このような仕組みになっている大きな理由として、組織図やチーム構成、人事異動などの情報を公開すると、その情報が外部に流出し、ヘッドハンターなどの引き抜きに使われる可能性が大きいのだとのこと。なので、人事情報として公開されている私の情報は、「金融コンサルティング部門の役員 Thomas 配下のマネージャー奈良タカシ」ということしかわからなくなっています。 


では、このようなルールのもと、部門内の人事異動を発令した場合、だれが対象者に連絡するのでしょうか ? それは、上司である私です。私が、部下の一人一人に、「△△さーん、チームが変わりましたよーー ! 」てな感じで、連絡せねばならんわけです。実は、これが結構大変。チーム・メンバーを一同に集めて、「アンタ異動、アンタ残留 ・・・ 」みたいにできれば手っ取り早いのですが、そうはいきません。やはり、個別に一人一人話す必要があるでしょう。しかし、そもそも定時に全員が同じ職場に出社して仕事をしているわけではないため、なかなかつかまらんのですな、これが ・・・ 結局、対象者全員に話ができたのは、 1 月 15 日のことでした ・・・ (T-T)

人事異動の理由

さて、今回の人事異動のポイントはいくつかありました。一番の変更点は、チームを分割するということでしょう。昨年までは、私の配下に 30 名のスタッフがいて、それが 1 つのチームとして動いていました。それを 2 分割したのです。 


なぜ、 2 分割したのか_一番の理由は、 A さんをマネージャーに昇進させるためです。 A さんは昨年、私のチームで最も業績を上げた人材の一人でして、それが Thomas のお眼鏡にかなったようです。外資の場合、マネージャーに昇進させると同時に、 1 つのチームを任せます。いわゆる、「 1 チーム 1 マネージャー制」が厳格に守られています。日本企業のように、「部長」「担当部長」「部付部長」「部長待遇」 ・・・ などといって、 1 つのチームに複数のマネージャー = 部長 ( もどき ) がいるような状況はありえません。 


また、新米だろうがベテランだろうが、マネージャーはマネージャー。仮に、半年間やってみて、成果が出ないようなら、スタッフへの降格もありえます。ま、これは私も同じ立場ではあるのですが ・・・ 。 


チームを 2 分割にした、もう 1 つの理由は、「管理スパン」の問題です。管理スパンというのは、マネージャーが管理可能なスタッフの数を指します。経験上、私は IT コンサルティング・ファームのマネージャーの管理スパンは、 20 人程度だと思っています。しかし、昨年の私のチームは 30 名もいました。これでは、組織がうまく回りません。なので、私はことあるごとに、 Thomas にチームの人員を減らしてほしい、または分割してほしい ・・・ ということを話していたのです。

Thomas の目玉人事

以上のように見てみると、「 Thomas はスタッフのことも考えているし、それほど自分勝手な人事異動とは思えんが ・・・ 」とお感じになるかもしれません。実はもう一つ、今回の隠れた「目玉人事」があるのです。それは、「 B さんを役員補佐 ( Executive Assistant) に抜擢したこと」でしょう。役員補佐というのは、秘書ではありません ( 秘書は別にいます ) 。役員補佐の仕事は、文字通り、役員である Thomas の仕事の補佐をするわけですが、 Thomas が忙しいときには、その代行をする権限を与えられており、本社とのパイプも太くなるため、出世への近道といわれています。 


B さんも A さんと同様、私のチームの優秀なスタッフなのですが、 A さんと B さんの大きな違いは、「 B さんの方が、英語がうまくて、 Thomas に従順である」ということでしょう。この「従順である」というのがポイントです。役員補佐は、いわば Thomas の「分身」なわけですから、 Thomas の意のままに動かなければなりません。自分の意見を持ってはいけないのです。実際、 Thomas には、昨年の 10 月までは C さんという役員補佐がいたのですが、意見が合わないために、 C さんは転職してしまいました。よって、役員補佐は、しばらく空席になっていたのです。 


このように、いわゆる外資の人事異動というのは、組織の責任者が、自分が動きやすいような組織を自らデザインして決定します ( もちろん、そうでない所もありますが ) 。決めるのは、組織の責任者 Thomas であって、人事部ではありません ( そもそも、外資の人事部は、人事関係のアドミニストレーション = 事務処理のみ行なう組織で、人事異動の中身には一切タッチしません )。組織を決める醍醐味の裏には、ありとあらゆる責任を、自らがかぶる可能性もあるわけで、ま、なかなか大変な仕事です。 


A さんの台頭、 B さんの役員補佐就任 ・・・ お前は焦らないのか、って ? えらく余裕があるじゃねぇか、って ? いやいや、配下スタッフが昇進していくのは、いいことじゃないですか。ハハハ ・・・ いやね、実際のところは、内心穏やかでないのは事実です ・・・ (T-T) でも、チーム人数を減らしてくれって言ったのは私ですから、ある程度は仕方ないですな。これで仕事もやりやすくなったことだし、今年は心機一転頑張りますかな。まだまだ、若いもんには負けませんぞ ! ( って、オッサンかわしは ・・・ )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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