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タカシの外資系物語

学歴の話2004.08.17

日系企業は学歴が全て

読者のみなさんの中には、外資系企業には学閥が存在しないと思っている方が多いのではないでしょうか。外資系企業の考え方は「実力第一主義」ですから、基本的には、実力さえあれば学歴や学閥は関係ありません。


以前にもお話した通り、私が新卒で入った日系銀行は「学歴が全て」でした(『学閥をぶっ飛ばせ !』参照)。経営の中枢には東大と京大、マーケティング系なら一橋、金融工学なら東工大、これらに加えて早稲田と慶応が「うじゃっ」と固めていました。「うじゃっ」と、などと言ってしまうと怒られそうですが、早慶出身者の数(というか全体に占める割合)は、それはもう半端な数ではなかったのです。例えば、私と同期入社したのは 160 人でしたが、その半分は早慶出身者でした。ちなみに、同期の出身大学別構成は、以下のような感じだったと思います。


(1) 名門国立大(東大・京大・一橋・東工大・阪大) 20 名 
(2) 早慶 80 名 
(3) 首都圏私大(上智・ICU・中央・明治など) 20 名 
(4) 地方国立大(北大・東北大・名大・神戸大・九州大) 10 名 
(5) 地方私大(同志社・関西学院など) 10 名 
(6) その他 20 名


この中で、私は(6)に当てはまります。私の大学の出身者は、銀行内全体でも 5 人ぐらいしかいませんでしたから、(6)の中でもかなり弱小な部類でしょう。

学閥別新人歓迎会 ?

銀行に入って入社式のオリエンテーション後のことです。私は京大出身の K くんと仲良くしていたので、彼と話していました。


「K くん、ちょっと飲みに行こうか ?」

オリエンテーションに参加していたある先輩社員が、K くんを飲みに誘いにきました。その先輩も京大出身だったもので、私は直感的に「さては、京大閥の飲み会をやるんだな」と思い、その場を立ち去ろうとしたのです。


「タカシ、一緒に行こうよ !」


げ、げっ…… K くんは基本的には「いいやつ」なのですが、少し勘が悪いところがあるのです。私は断りきれずに、その先輩と K くんと一緒に、飲み会に行くことになってしまいました。


2 人が連れられて行ったのは、会員制と思しき銀座の高級クラブ(みたいなところ、行ったことないのでよくわからん……)でした。店に入ると、上座の席には取締役人事部長(京大出身)が座っているではありませんか !


「ほらぁ…… やっぱり思った通りじゃん…… とほほ……」


時すでに遅し。その後は予想通り、京大出身社員による、京大出身新入社員のための激励会が展開されました。私は今さら、「実は私、○○大出身ですねん、ほなサイナラーー」と言って立ち去るわけにもいかず、京大出身者のふりをしていたのを覚えています。「うーーぬ、なさけなし…… こいつらには絶対負けん……」

学閥のメリット・デメリット

その後、私は銀行内の留学生試験に合格したのですが、合格者 3 名中私以外の 2 名は、一橋と慶応の出身でした。私の同期の京大出身者から合格者が出なかったものですから、社内の京大閥のえらいさんから「いちゃもん」(文句)が入ったそうです。


結局、銀行の海外撤退に伴い、合格者 3 名の留学は無期延期になりました。合格者の 1 人、一橋出身の H くんは銀行を辞めて、親戚中から借金して、自力でシカゴ大学に行きました。私も留学延期が決まったときはそれなりにガッカリしたのですが、H くんほどの執着心はありませんでした。ただ、「この銀行にいても、思うような仕事はできないな。そもそも出世しないし……」と考え、半年後に、外資系のコンサルティング会社に転職したのです。


ここで誤解していただきたくないのですが、私は何も、東大や京大・一橋の連中がどうだこうだと言っているわけではありません。彼ら(彼女ら)は、壮絶な受験戦争の勝者であり、仕事の面でも平均以上の実績を残す人がほとんどでした。ですから、偏差値が高いことと仕事で成功することには、それなりの相関関係があることは間違いないと思っています。


また、日系企業に見られるような、自分の出身校の後輩を異様に可愛がるという慣習も、日本のビジネス社会においては、ある程度機能してきたのだと思います。企画部長は東大卒、人事部長は京大卒という具合に、特定のポストを特定の大学出身者のために確保することで、その大学出身者のモチベーションを上げる(自分もあのポストを目指そう ! と頑張る)効果はあったはずです。一方で、私が銀行に残っていても、企画部長や人事部長になることは、万に一つもなかったでしょう。


しかし、有名大学出身者の「悲劇」は別のところにありました。彼らの大半は、来るべき将来の約束されたポストの予備軍として、若い段階からエリート扱いされたために、いわゆる「現場」の仕事をしなかったのです。それは、俗にドブ板営業と呼ばれるような過酷な営業活動であったり、私がやっていたシステム開発の仕事であったりと様々なのですが、決定的な違いは、現場の仕事を経験した人には他業界でも通用するようなスキルが身についたということでしょう。


私が外資系のコンサルティング会社に転職できたのも、システム部門での経験があってのことですし、仮に私が京大卒で本部のエリート部門に配属されていたら、転職はできなかったと思います。ちなみに、入社時の新人激励会に出席していた京大卒の同期の連中は、いまだに銀行に勤めています。限られたポストを目指して熾烈な出世競争を繰り返す彼らと、転職していった私と、どちらがよかったのかは、今の段階では何とも言えないのですが。

外資にも学閥があった……

さて、話を本題に戻しましょう。以上のような経緯から、外資に転職した私が一番に期待したのは、「これで学閥ともおさらばできるな……」ということでした。で、実際のところはどうだったかと言うと、確かに外資には日系企業のような「学閥」は存在しないように思います。しかし、全くないかというと、そうでもありません。例えば、私が前に所属した会社は、非常に多くの K 大学出身者がいました。これは、日本支社の社長が K 大学出身だったことと、そもそも業界自体に K 大学の人が多かったというのも理由の 1 つだったと思います。


「K 大学閥」は、割合的には銀行時代を凌駕するほどの大勢力でしたが、私はそれほど気にはなりませんでした。なぜなら、日系企業とは異なり、K 大学であるというだけで評価されることはなかったからです。つまり外資では、K 大学出身であろうが何であろうが、成果を上げなければ評価されないわけで、その点では日系企業に比べて、はるかに平等な評価制度だったと思います。日系企業の場合は、成果を上げようが上げまいが、「○○大学」というだけで出世するケースも多く見られますからね。


ただし、幹部の中途採用(ヘッドハンティングなど)の場合には、K 大学閥の威光が大いに働いていたと思います。ま、社長にしてみれば、同じ大学の出身ということで、何となく親近感を持つのもわかる気がしますし。しかし、それは採用段階だけの話であって、その後出世していくためには、成果を上げなければ話になりません。結局のところ、出身大学だけで実力の伴わない人は、早晩淘汰されていくのが現実です。

「学歴」とは一生続くもの

外資の学歴としては、大学よりは「MBA を持っているか」という方が重要かもしれません。欧米人の同僚のほとんどは MBA ホルダーですし、現在は持っていなくても、将来必ず MBA を取る意向の人がほとんどです。 
数年前に一緒に仕事をしたアメリカ人のエレンは、ペンシルバニア大学ウォートンの MBA でした。


エレン 「タカシはMBA コースに行かなかったの ?」


私 「(行けそうだったんだけど、延期になっちゃたんだよ…… トホホ) うん、でも日本じゃ持ってない人の方が圧倒的に多いんだよ。MBA なんてなくても、偉くなってる人はたくさんいるしね」


日本の場合は、学歴 = 大企業での出世 という考え方に偏りすぎているのも事実です。ベンチャー企業で成功する人が多数出てきている昨今においても、一流大学を出てベンチャーを興すなんて言うと、「バカなことを言うな ! 一流企業に入って、安定した道を選びなさい !」という人の方が、まだまだ多いのだと思います。大企業から外資系に転職するのだって同じような話でして、私のような三流大学出身者だって、周囲からは「せっかく銀行に入ったのにもったいない……」と言われたものです。


しかし、ものは考えようです。出世する見込みのない大企業で漫然と過ごすことの方が、ずっと「もったいない」かもしれません。


エレンは次のようにも言っていました。


「MBA は目的じゃなくて手段なのよ。MBA で学んだことをきっかけに、自分のやりたいことをさらに突き詰めていく手段なの。MBA 取ったら人生終わりってわけじゃないんだから……」


うーーむ、確かにその通りです。人間は一生涯を通じて「学習」して大きくなるわけで、その値打ちが 19 歳のときの偏差値で決められてはたまったものではありません。「学歴」というのは大学を卒業した時点で終わるのではなくて、どんなに歳をとっても継続していくものなのでしょう。そして、日系・外資系を問わず、そのような「一生涯続く学歴(= これまでにどのようなスキルを得てきたか)」を正当に評価できる企業が、今後勝ち残ってくことになるのでしょうね。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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