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タカシの外資系物語

アクション・ラーニングしよう ! ( その 2 )2003.09.26

前回の続き )アクション・ラーニング形式のトレーニングを企画し、全社に募集をしてみたものの、1 週間たっても応募者が 2 名しかいません。私は知り合いのスタッフ S くんに尋ねてみました。


私 「『New Training - Action Learning -』っていうメール、見てくれたかな ?」


S くん 「なんすか、それ?・・・あーあー、なんか面倒くさそうな研修の話っすね」


私 「(ガーーーーーーーーン、め、面倒くさそうとは・・・) あ、いや・・・。でね、どう思った ? 参加したくない ?」


S くん 「何するのか、よくわからないんですよ。Action Learning って言われても何のことかわかんないし・・・もっと具体的に説明しないとダメだと思いますよ」


やっぱりな・・・私は企画をしている段階から、何となくコンセプトに頼りすぎているような気がしていたのです。トレーニングに参加する人は、自分の業務を犠牲にして参加してきます。その分のたまった仕事は週末にやったりしているのです。それほどまでにして参加しようとするからには、絵に描いたようなコンセプトではなく、「参加すればどんな成果があるか」ということを明確にしてやらねば、だれも参加しないでしょう。


私 「ありがと、よくわかったよ !」


S くん 「あ、でも、具体的に説明してくれたところで、ボクは参加しませんからね !」


ガクッ ! そんなハッキリ言わなくても・・・


S くんからの指摘を受け、早速私は全社向けに追加メールを発信することにしました。追加発信の目的は、トレーニングで期待される成果を具体的にすることです。ただし、アクション・ラーニング形式のトレーニングは、当社にとって初めての経験です。試行錯誤の部分もあるので、下手に大風呂敷を広げるのではなく、トレーニングの内容を具体的に、かつ正直に伝えることにしました。私が発信したメールは以下の通りです。


「みなさんはプロジェクトにおいて、以下のような経験をされたことはありませんか ?


・プロジェクトの反対派をうまく巻き込むことができない


・一方で、賛成派に限って時間が取れず、スケジュールが遅れがち


・コンサルタントが何でも解決してくれると勘違いされている


・反対に、顧客がコンサルタントを全く信用していない


・顧客からスコープ外の要求をされて困る


・一方で、弊社のスタッフ自身も、スコープを理解せずに作業を進める…


このような問題の解決法は、市販の「MBA 本」や「プロジェクト管理本」をいくら読んでも載っていません。実際には、プロジェクトの「修羅場」」を経験しないとわからない部分が多いというのが正直なところだと思います。


しかし、われわれは現実にいろいろな「修羅場」を経験してきたはずです。これまで当社のメンバーが経験してきたプロジェクトにおいて、どんな修羅場があったか、それをどうやって解決してきたか、これらの事例を共有する機会があってもいいのではないでしょうか ?


私がこのトレーニングの主旨に賛同し、ファシリテーターとしての参加を自ら申し出たのは、これをきっかけに「当社流・修羅場解決法」をデータベース化したいという思いがあったからです。


「絵に描いた餅」ではなく、あくまでも実際例に基づいた議論をしたいと思っています。


みなさんの積極的な参加を期待しています・・・」


このメールが功を奏したのかどうかは定かではありませんが、その後 1 週間で 13 名の申し込みがありました。その前の 2 名と合わせて、合計 15 名。


「1 グループ 5 名で 3 グループ、これなら行ける !」


私と人事担当者は、募集を打ち切りました。実はもっとたくさんの人を集めたかったのですが、いかんせんファシリテーターが私を含めて 3 名しか手当てできなかったのです。前回ふれたように、スキルの高いファシリテーターを集めることができずに、募集を打ち切ったわけです。なんか悲しい話です・・・


翌日から、私は参加者の事前アンケートにじっくり目を通していくことにしました。参加者が期待していることを理解し、可能な限り彼らのニーズに応えてやること。これはトレーニングの企画を担当した者としては、是非ともやらねばならない仕事だと思ったからです。


入社 7 年目 I くん 「プロジェクトに反対しているお客様の対応方法を、経験のある方から教えていただければと思っています」


中途入社 3 年目 M さん 「スコープの設定方法で苦労しています。何か Tips(ヒント)みないなものがあるなら教えて欲しいです」


・・・私は頭を抱え込んでしまいました。「教えて欲しい」、「教えてください」、教えて、教えて・・・彼らが期待していることは、だれかから何かを「教わる」ことなのです。しかし、アクション・ラーニングの精神というのは、だれかに何かを教わることではありません。解答など、だれも知らないのです。知らないからこそ、みんなで悩んで、よりよい解答を見つけていこうとすものなのです。


「ま、第 1 回だから・・・企画してるこっちだって、よくわかんないし・・・とりあえず、やってないとわからないよな・・・」


私は自分を言い聞かせるようにして、アンケート用紙のチェックを再開しました。


「私は、顧客が当社を評価する最大のポイントは、プロジェクトの管理能力だと思っています。スタッフのみんなが持っているノウハウを結集することで、よりレベルの高い方法論を構築する第一歩とできればいいと考えています・・・」


お、こいつなかなかヤルじゃん。こういう感じの人を待ってたんだよね、っと・・・名前は、っと・・・


「金融事業部 S 入社 5 年目」


なんと、冒頭で私がコメントを求めたスタッフの S くんでした。彼は、私が追加メールを発信した当日の深夜に申し込みをしてくれたようです。なんと泣かせる話ではないですかぁーー(T-T)!


彼のアンケートは、以下の文章で終わっていました。


「PS タカシさん、せっかく参加するのですから、それなりの成果を持って帰らせてもらいますからね !」


トレーニングは、いよいよ明日に迫っていました。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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