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有元美津世のGet Global!

ヨルダンでボランティア2016.11.29


以前、カンボジアでのボランティアについて書きましたが、英語に自信がある人、英会話力を伸ばしたいという人にはヨルダンでボランティアをするという選択肢もあります。

私は、今、クルーズでUAEやオマーンを回った後、インドにいるのですが、ドバイでクルーズ船に乗船する前の12日間、ヨルダンを周遊しました。レンタカーで北はジャラシュからサウジアラビアと国境を接するアカバまで回ったのですが、ワディラムではベドウィンキャンプに宿泊しました。
砂漠のど真ん中で、たき火を囲んでベドウィンの楽器演奏を聴きながらベドウィン料理を堪能した後、ベドウィンテント(寝心地のいいベッド付き)で寝る、または星空を見ながら屋外で寝ることも可能です。

UAEやオマーンは石油が出るので、生活水準は比較的高く、貧しい人を見ることは少ないです。一方、ヨルダンは石油産出国ではない上に、昔からパレスチナ難民を最も多く受け入れており、最近ではシリア難民も60万人以上受け入れ、人口の10%に達しています。元々、脆弱だった経済は、さらに疲弊し、日本政府も(難民を受け入れる代わりに)ヨルダンに財政支援を行っています。

ヨルダンは世界遺産のペトラ遺跡(映画「インディージョーンズ・最後の聖戦」のロケ地)が有名で、クルーズでアカバ港に着き、1~2日、ペトラで過ごすという観光客が多いですが、ヨルダンにはペトラ以外にも見どころ満載です。遺跡だけでなく、峡谷も多いのでハイキングやロッククライミングなどが楽しめます。

「中近東に行く」というとアメリカでも日本でも「危なくないの?」とよく言われましたが、ヨルダンもUAEもオマーンも、他国に比べ、治安はいいと思います。アブダビのショッピングモール内にある観光局に携帯電話を置き忘れたのですが、気づいて取りに戻るまでに、すでにクルーズ船に届けられていたという驚きの対応でした。地元の人たちは非常に親切で、オマーンではピクニックをしている家族連れが見知らぬ外国人観光客に果物やケバブをくれるくらいです。

ヨルダンではシリアとの国境から車で1時間くらいのところにも行きましたが、その先で戦争が起こっているというのが信じられないくらいの長閑さでした。 

観光業に頼るベドウィン

経済的に苦しいヨルダンですが、数年前から戦争やテロの影響で、観光業はさらに打撃を受けています。ベドウィンキャンプでも「4年前に比べて観光客が7割減った」と聞きました。元々は遊牧民だったベドウィンですが、今では大半が定住し、観光業に頼らないといけない状態なのです。

私が泊まったベドウィンキャンプでは(他のキャンプでも)、1週間以上であればボランティアとして無料で宿泊することができます。私も「1か月くらいボランティアしようか」と考えているくらいなのですが、オーストラリアやカナダでワーキングホリデーをしようと思っている方がいれば、ヨルダンでベドウィンの暮らしに触れながらボランティアをするというのは、どうでしょうか。

ヨルダンの難民キャンプでボランティアとして働くのは敷居が高いとしても、観光客やボランティアとして地元の経済に貢献する、観光業を支えるというのもアリだと思います。
観光業に携わるベドウィンの人たちは最低でも片言の英語を話します。観光客と触れるうちに覚えたそうです。ヨルダンを訪れる観光客はヨーロッパの人が多いですが、現地の人とは英語でのやりとりになりますので、ボランティアとして働くには英語力が必要になります。現地の人も観光客も英語ネイティブではないので、流ちょうな英語は求められません。フランス語やドイツ語ができると、さらにプラスでしょう。


ワディラムの月光に照らされた砂漠、峡谷の幻想的な風景--私も若いときに体験していたら違った人生を歩んでいたかもしれないと思うくらいなのですが、そうした中で働くことで、地元への寄与よりも、反対にもらえるものの方が多い貴重な体験になるかもしれません。



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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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