プロセス重視か結果重視か
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元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。
今回のテーマは、仕事のやり方に関係があります。

日本人が英語人と仕事をするときに、先方がストレスを感じやすいことの一つに、プロセスにこだわりすぎることが挙げられます。

ホフステード6次元モデルを聞いたことがありますか？ 世界の文化を６つの指標で紐解くのですが、ビジネスの現場に大きな影響を与える指標に「不確実性の回避」があります。将来が予想できなくても前進しながら調整していくのか、不確実さに違和感を感じ、なんとかして失敗を避けようとするのかの違いになります。

日本の不確実性回避度は1から100の物差しで92点、リスク回避の傾向が高いです。もちろん個人差はあり、日本人でもリスクを取る方はいらっしゃるので、あくまでも平均点での話です。失敗をしないためには、適当に走りながらゴールを目指すのではなく、きちんと確立されたプロセスに則って失敗しないように走りたい人が多いということです。

ある日、電車の中でインド人と隣り合わせになりました。観光客ではなさそうと思いながら話しかけたら、日本に赴任して3か月めとのこと。「日本とインドの違いは？」と聞いてみました。

「日本ではプロセスが非常に重要な気がする。A地点からF地点に行くには、A→B→C→D→E→F の順番を踏まないといけないように感じる。インドでは、とにかくF地点まで行けばいいんだから、最短距離と効率を考える。A→B→Fでも、A→D→B→Fでもなんでもいい。」

来日してまだ3ヵ月だというのに、よく見てるなと感心すると同時に、それだけ突出して日本はプロセス重視の文化なのかなぁと思いました。

また、ある研修に参加したアメリカ人が興味深い話をしてくれました。 研修の途中で、10分間でテーブルごとに3問のお題を解決することになったそうです。彼以外は日本人のテーブルで、途中から彼はちょっとイライラしそうになりました。チームメート達が1問目を延々と議論していて答えが出ず、時計を見たらもう5分も経っていて、これでは全部終わらないと焦ったからです。

結果を出すこと重視で、プロセス（順番など）は関係ないアメリカ人の彼は、「1問目をスキップして、取りあえず2問目をやりませんか？ もう5分経ってるんでこのままだとタイムアウトになっちゃいます。1問目は後でやりましょう。」と提案し、「それは良いアイディアだ」になったそうです。超特急で、なんとか3問全部やり終えて結果オーライとなりましたが、彼にとっては理解しがたい異文化体験だったとのことです。

「不確実性回避が高い」ことが悪いわけではありません。失敗を避けるためやり方にこだわり、順番・規則にこだわることで高い品質を担保することができることは多いです。ただ、走りながら考えるタイプの人にはストレスになり、一緒にプロジェクトをするときに、進み方が遅く思えてイライラさせる可能性があるということです。文化の架け橋の役回りの方がいたら、文化の差を説明できると双方のストレス度を下げることができます。

みなさんの個人的な「不確実性回避度」は、どんな感じでしょう？ 高いだろうなと思う方は、外国人との仕事では相手はストレスに感じるかもしれないと、頭に置いておくだけでもだいぶ違います。日本流が唯一無二と期待すると、今度はこちらがストレスになるので、文化の差を説明できることが理想です。

ボーダーレスな多様性の時代、自国民の特性・本人がステレオタイプの日本人かどうか・相手の文化的な背景に気を配って仕事ができると、衝突が少なく効率的に働くことができます。グローバル人材を目指して、意識してみましょう。