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鈴木美加子のグローバル人材塾

グローバル人材とは、相手の立場に立って誰とでも仕事ができる人2017.01.24


元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。

300か国から人が集まる世界第4位の人種のるつぼ街、オーストラリアのメルボルンでだからこそ感じる「多様性への敏感度」を今日のテーマにします。

 

私はグローバル人材の広義の定義を「いつでも誰とでもどこでも英語で仕事ができる人材」としています。ただこれでは、何を学べばそうなれるかが漠然としてしまうので、「多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できる人材」として、グローバル人材養成塾の世人(せじん)塾を主宰しています。参加者に外国人がいる時は、もうそれだけで多様です。オール日本人の時は、LUMINAというアセスメントツールを使って、日本人同士でもどれほど違うかを一緒に学んでいます。

 

これまでのメルボルン滞在で最もグローバル度が高いと思ったのは、バスツアーのドライバー兼ガイドさんのDonです。みなさん、海外でバスツアーに参加したことがあるようでしたら、その時のことを思い出してみてください。彼/彼女の英語、聞き取れましたか? NOであることの方が多いのが私の経験です。ツアーが始まりDonがマイクを持ってから2分くらい聞いていて、「この人、相当経験あるかトレーニングを受けてるな」と思いました。全員外国人のツアー客に向けて、ゆっくり・口を開けてはっきり話そうとかなり努力してくれてる感じでした。

 

最初の休憩の時に話しかけたところ、「自分の英語にオーストラリア訛りがかなりあることわかってるんだ。僕のお客さんは、みんな外国人だから訛りをなるべく出さないように、聞き取りやすいようにゆっくり話すように注意してるよ。プライベートの時の僕とはぜんぜん違う英語を話してるよ」と笑ってました。お見事、プロですね。多様性を理解し、相手に合わせて仕事をしようとしているところが素晴らしいと思いました。

 

昨日、全豪オープンを観に行きました。この大会も世界中から観客が訪れる多様性の高いグローバルなイベントです。コートへの各出入り口には一人必ず関係者がいて、プレー中に出たり入ったりできないようにコントロールしています。私は初めてだったので、ちゃんとしたチケットを持ってる人間が、何で足止めされて待たないといけないのかが理解できず聞きました。この時の関係者の英語、先ほどのゆっくりはっきりで、「さすが外国人対応、慣れてる」と思いました。初めて全豪オープンに来る外国人のほとんどに聞かれるだろう質問に、オーストラリア訛りで早口で答えていたら、誰も理解できません。そのことをちゃんとわかっていて、相手に合わせているのです。

 

所変わって日本で体験した、残念な例をシェアします。ある大手の日本企業の管理職研修をさせていただいた時のことです。参加者は全員、日本語ができる外国人で海外からこの研修のために来日しています。日本語ができると書きましたが、どのレベルでできるかは本来は要チェックです。丁寧語・謙譲語・尊敬語がある敬語は本当に難しいですし、英語から音を拾っているカタカナ語も外国人を悩ませます。

 

研修が始まり、日本語のレベルにかなりバラツキがあることに気がつきました。事前にレベルは確認してあったので、失礼ながら担当者がほとんど気にかけていない証です。用意してあった内容をそのままやったら理解できないと判断したので、午後の分、全部その場で差し替え、スライドもいちいちやさしい日本語に読み替えたり説明したり、相手に合わせてデリバリーしようと努力しました。

 

研修が終わって、担当者の方がラップアップと翌日の予定などをお話に来られた時、彼女の日本語を聞いていてびっくりしました。相手が理解しているかどうかを全く気にしていないと思われるからです。話すスピードが速すぎるし、「自明の理」のような難しい言葉を使われます。機材を片付ける風を装い、参加者の様子が見える角度まで動いてみたところ、案の定「よくわからない」と参加者の顔に書いてあります。これはいただけないですね。このグローバルな時代に日本語という特殊な言語を、海外チームに押しつけるのもどうかと思いますが、せめてそれなら配慮しないと、「グローバル」から遠ざかってしまいそうです。

 

皆さんは、多様性をどれくらい許容できますか?  許容した上で相手に合わせて仕事できているでしょうか?  ご自分の日常を振り返り、少し努力が必要かなと感じる方は今日からその努力を始めてみてください。多様性の許容は慣れが大きいので、きっとうまくいくようになりますよ。応援しています。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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