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鈴木美加子のグローバル人材塾

グローバル人材は完璧主義を捨てられる2016.11.08

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できるグローバル人材を育成することをミッションとしています。多様性の中に含まれる要素に、「几帳面さの違い」があることについて今日はお話したいと思います。

 

ものづくり大国の日本は、完璧を求めすぎる傾向にあり一緒に仕事をする外国人と摩擦が生じがちなことに気がついていますか?

 

電車に乗ると、「ただいまこの電車は1分遅れています。誠に申し訳ありません」とアナウンスが流れます。

 

研修後のアンケートを見ると教材に対する評価が4で「テキストに誤字が2か所あったのが気になった」と書いてあったりします。

 

100点であることが当たり前の文化には、窮屈な面があるということです。

 

かくいう私も先進国の中で最も大雑把な国と思えるオーストラリアに2年戻っていない間に、ずいぶん感覚が日本人に戻ってきました。これでグローバル人材プロデューサーはないだろうと、来年の1月に、メルボルンに行ってくることにしました。

 

きっかけになったのは、メルボルンの親友が来日した時のことです。都庁前の近くに滞在した彼女と、2度めに会うときに駅の改札で待ち合わせました。向かっている途中で、電車が止まり遅延するとアナウンスが流れたので、私は「10分くらい遅れるかも」とメッセージを送ってしまいました。結果は、5分の遅れで済んだのですが、彼女がなんと現れないのです。

 

ホテルまでやっぱり迎えに行った方がいいかな、道が一本じゃないから行き違うと困るかな、ホテルに電話してみたけど部屋にいないしと、日本語ができない外国人の友のことが心配になり、しまいにはどーしたんだろと腹立たしくなったりしていました。

 

10時30分頃、”Hello Micky”と何食わぬ顔で彼女が現れた時は唖然としましたが、その瞬間、「あー、彼女オーストラリア人なんだった」と思い出したのです。
オーストラリアで10時と言ったら、10時15分から20分くらいまでが許容範囲。私が10分遅れると伝えたので、ちょうど10時30分くらいで彼女にとってはちょうどいいわけですね。そもそも、私は10分くらいの遅刻を、彼女相手に知らせる必要がなかったということです。

 

つくづく、時間厳守の東京人に戻ったなと苦笑しました。

 

母国の文化はそこで生まれ育ったのであれば、居心地がよくそれが当たり前で唯一と思いがちですが、世の中は広く価値観も実に様々で良し悪しはないということですね。しっかり認識しないと、多様性を受け入れられないことになってしまいます。相手に合わせた方が仕事がきちんと回ることもあり得ます。

 

アジア・パシフィックの仕事をしていて、13か国からマンスリー・レポートを集めていた時、締め切りを守れない2か国にはBCCを駆使して、締め切りを2日早めたメールを送っていました。「締め切りを守ってください」と何回頼んでも守れない人相手に、同じ方法を続けていてもうまくいかないので、自分サイドが相手に合わせた実例です。

 

日本人の比類なき完璧主義、几帳面さを他国の方に一方的に押しつけないように気をつけたいものです。仕事でどうしても完璧さを求めたい場合は、なぜ必要なのか相手に英語でロジカルにわかりやすく説明できることが大切ですね。相手は自国の価値観と照らし合わせて理解できないかもしれませんが、仕事上必要と納得はするでしょう。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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