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タカシの外資系物語

当世 “セミナー” 事情から見る日本社会の大変化(その2)2016.07.12

研修費用 自腹 と 会社負担 の境界線とは?!

 

(前回の続き)セミナー・研修について、講師として登壇経験もあり、かつ、聴講する側として参加するのも大好きなタカシ。そんな “セミナー・フェチ”(?!)のタカシが気付いた、最近のセミナー参加者の特徴の中に、「自費(自腹)で参加する人が増えた」というのがあります。これって、何を意味しているんでしょうかねぇ・・・?

 

質問です。みなさんは、セミナーや研修に “自腹” で参加したことはありますか? もちろん、これって、セミナーの内容や目的、参加する時間帯にもよると思います。

 

一般に、日本人が自腹でセミナーに参加する条件は、以下のような感じではないでしょうか。

 

(1)   目的 ・・・ 自己啓発やスキルアップ、自身の趣味・娯楽のため

(2)   時間帯 ・・・ 早朝・夜間・休日等、仕事がないとき

(3)   費用補助 ・・・ できれば、教育訓練給付制度 などで助成されるもの

 

逆に、会社が社員に対して、業務指示・命令で参加させる研修・セミナーだとこうなります。

 

(1)   目的 ・・・ 業務上の必要性、社員の成長促進、Reward(ご褒美)的な場合もある

(2)   時間帯 ・・・ 原則、業務時間中。時間外の場合、残業扱いか否かなどの問題が出るので

(3)   費用補助 ・・・ 会社が業界団体などに加盟し、年会費を払っているような場合もあるが、大きな決定要素ではない

 

(1)  について、明らかに自身の趣味・娯楽のため、というのは自腹でいいとして、“自己啓発” や “スキルアップ” に分類されるようなものは、会社負担 にしてほしいですよね。ま、そう簡単にはいかないでしょうが・・・。

例えば、英会話学校に通うことを考えた場合、会社負担で行かせてもらえる人というのは、英語が必要な部門にいて、今後の活躍が期待されている・・・という人が対象になるでしょう。基本的には選抜されたエリートを対象としているのであって、だれもかれもが行けるわけではありません。

 

最近では、福利厚生のカフェテリア・プランおいて、自己啓発を目的とした専門学校のみならず、趣味や娯楽のための活動費用についても、補助が出る会社も多がくなってきました。しかし、自身のスキルアップのためにかかるコストというのは、自分で投資するというのが原則であることに変わりはありません。

 

MBAは高いのか?!

 

さて、このあたりについて、欧米ではどのように考えられているのか? 実は欧米では、ほぼ完全に、研修やセミナーへの参加費用は、自腹です。よって、それが業務時間に実施されるような場合は、有給を取って参加しなければなりません。

 

このことは、海外のMBA(ビジネススクール)などを見れば、よくわかります。企業が費用を負担して、企業派遣でMBAに来ているのは 日本人だけ で、それ以外の国から参加している人は、ほとんど自腹です。日本の企業派遣MBAの場合は、留学期間中も、基本給の何割かは支給されますが、自腹参加の人は期間中の生活費も必要です。その総額(学費+生活費)は 1,000万円以上と言われています。

 

「1,000万円か・・・ 高いなぁ・・・(T-T)」そう、高いんです! しかし、参加する人は途絶えない。なぜか? それは、高額の投資に見合うリターンがあるからです。 

 

「ホントにぃ? そうは思えないけど・・・」日本人の多くは、そう考えています。 

 

「確かに・・・、MBAホルダーになれば、より高いサラリーを得られる 可能性は高くなるけど、でも・・・、ねぇ?」つまり、可能性は否定しないが、期待値が低いと考えられているのです。

 

日本人の留学生減少は、内向き志向だけではない?!

 

日本において、MBAの 費用対効果が低い と見做される理由は、以下の通りだと思います。

 

【日本人の大半がMBAを自腹で獲得することが見合わないと考えている理由】

①    費用の問題 ・・・ 留学期間中にかかるコストとして、学費+生活費もろもろで、約1,000万円。それに加え、試験に合格するための勉強や英会話学校、通信教育、参考書にかかるコスト、約200万円(これについては、学生時代まで遡ってコスト換算すべきという説もある。学生時代に、ある程度の英語力を身に付けていなければ、留学レベルまで到達するのは容易ではないので・・・)。あと、忘れがちなのが、留学期間中に稼いだであろう給料です。逸失利益ですね。650万/年 × 2年 としましょう。ということで、合計 2,500 万円なり!

②    マーケットの問題 ・・・ 日本というマーケットで、MBAを売りに高いサラリーを得ようとすることは、欧米等他国のマーケットで同じことをすることに比して、難しいのではないか?という懸念

③    資質の問題 ・・・ そもそも、英語のレベルが世界最底辺にある日本において、MBAを取るということ自体、極めて難しいのではないか? という懸念(そりゃそうだし・・・。こう言ったら、身もふたもない・・・)

 

一時ブームになった 会社辞めて、自費でMBAとるぞ! ブームが、ここ数年下火になってきた理由は、日本の若者が内向きになったこと以上に、上記の理由が大きいと思っています。日本人は 石橋をたたいて渡る 訓練を、学生時代に教え込まれるので、目に見えないコストやリスクを想定しちゃうんですよね。そこが、いい面でもあり、悪い面でもあるのですが・・・

 

少しMBAに特化した話になったので、戻しましょう。 欧米のビジネスパーソンが、有給を取って、かつ、自腹で費用を負担してまで、研修やセミナーに参加するのはなぜか? それは、

 

高い確率で回収する見込みがあるから

 

です。その “見込み” は、いつかわからん遠い将来において、もしかしたら今よりも給料の高い企業に転職できるかもしれない・・・といった、漠然としたものではない。もっと現実感のあるものなんですね・・・。次回は、研修という投資をリターンに代える術についてお話しすることにいたしましょう。

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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