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タカシの外資系物語

素直に “ I’m Sorry ! ” と言うために (その1)2016.06.21

リーダーがファーストクラスに乗る理由

 

先週まで、企業の不祥事に関する記者会見手法についてお話をしてきました。現実社会に目を向けてみると、その話題と呼応するかのように、某知事の不正が世の中を賑わす始末・・・。 最近、組織のリーダーが頭を下げる映像に慣れすぎてしまって、社会全体が、変な感覚に陥っているようにも感じます。リーダーって、こんなんだっけ?

 

個人的には、事が起こってからあれこれと評論家風情で物申すのは好きではないので、その部分はマスコミやソーシャル上の議論に任せたいと思います。ま、今回問題になった某知事がやらかした所業と、それに対する説明のほとんどに無理があり、辞職という結果になったのも必然でしょう。マンガ本は、お小遣いを貯めて買うものです。うちの子供も、そうしています。

 

1つ、世間の論調で気になったのは、「ファーストクラスを使った」「スイートルームに泊まった」の部分です。これに対する某知事の回答が、「(ファーストじゃなきゃ)カッコ悪いでしょ?」だったので大炎上したのですが、これは明らかに議論の本質ではありません。大組織のリーダーが、飛行機のファーストクラス等を使う理由は、以下を配慮してのことなのです。

 

(1)   セキュリティ(安全面)・・・ま、飛行機の場合はひとたび離陸してしまえば、ファーストは安全、エコノミーは危険、という話でもないのですが(墜落したら同じなので)・・・。ただし、何かあったときに、座席の周囲にいる人の身元を確認しやすいという意味では、ファーストクラスがより有利でしょう

(2)   セキュリティ(情報統制)・・・搭乗中に、何か一大事が(地上で)起こり、その報告や意思決定をする場合、ファーストの方がやりやすい

(3)   健康面・・・長時間のフライトで疲れないようにするため

 

飛行機や新幹線の搭乗ランクについては、一般企業にも該当する話です。外資の場合、日系よりもその度合い(役員と一般社員との格差が激しい)わけですが、私の経験則に照らしてみると、(3)の理由に妥当性を感じます。

 

前職時代、リーマンショック後の景気後退時に、「外国人マネジメントも、日本支社の一般社員と同様に、飛行機のエコノミーや新幹線の普通席に乗ることで、コスト削減に貢献しよう!」キャンペーンが実施されたことがあります。私も一度、アメリカ本社から来た外国人マネジメントを、クライアントである地方銀行に連れて行く際、本人が「どうしても・・・!」と懇願するので、新幹線の普通席を手当てしたことがあります。あいにく、夏休みシーズンに重なったこともあり、座席は3連席の真ん中・・・。見ると、その外国人マネジメントは、あまりの窮屈さに、一点を見つめて動かなくなっていました。おい、おーーーい、大丈夫かーーーーーーーーっ! (T-T)  

予想通りというか、クライアント訪問でも、その外国人マネジメントは疲労のあまり、ほとんど発言することなく、さんざんの結果に終わりました。だから、グリーンに乗れって、言うたやないですかーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!(T-T)(T-T)

 

リーダーをモニタリングする仕組み

 

リーダーに期待されるのは、その人しかできない大きな仕事を成し遂げることです。だから、移動中は鋭気を養ってもらわんと、困るのです。あんたが出張するに際して、多くのスタッフが動き、事前の段取りをしているわけで、その努力(≒ファーストクラス代よりも高額のコスト)を無にしてはいかんのです。

 

一義的に、某知事に問うべきは、ファーストクラスに乗り、スイートに泊まるに値する仕事をしているかどうか? であって、ファーストクラスに乗ることの是非ではない。もちろん、ファーストクラスはぜいたくすぎるから、ビジネスクラスでいいんじゃないか・・・、という話もあるでしょう。しかし、それを検討する優先順位は、仕事の成果をモニタリングすることに比べれば、低いのではないかな、と思います。

 

ここ数年、法令順守、コンプライアンスという言葉が一般化してきました。ここでいう “法令” というのは、いわゆる 有罪です・無罪ですといった “法律” よりも広義の意味であることは、社会通念として理解されていると思います。

 

“法令”順守のためには、いくつかの条件が必要です。まずは、リーダーの常識性と確固たる意志です。某知事は、これがなかった。本物のリーダーというのは、だれも見ていないところでも、常に自分を律し続けることができる人です。

 

次に重要なのは、客観的にプロセスをモニタリングする仕組みです。後段で詳細に述べますが、今回の件で、最も重要な教訓は、この点だと思います。これは推測にすぎませんが、某知事が良からぬことをしているのは、複数の人が認識していたと思うんですよね。しかし、止められなかった。このこと自体は、私はある程度は仕方ないと思います。明確に “法律” を犯しているわけではなく、倫理上、社会通念上よろしくないんじゃないか・・・、ということについて、組織の最高権力者に物申すことができる人など、そうそういないからです。

ならば、そういうグレーゾーンの話を、くみ上げる機能が必要です。良くない話こそ、スピークアップしてもらう仕組みがなければ、また同じことを繰り返す可能性を残したままになる。今回の事件による損失については、新しい知事を選ぶ選挙のコストばかりが取り沙汰されますが、議会が空転したことによるコスト、例えば、解決するはずの待機児童問題等、その便益を早期に受けることができたであろう市民の逸失利益も大きい。だからこそ、是非、教訓として将来につなげていきたいと感じています。

 

“I’m sorry” と言ってはいけない?!

 

さて、前置きが長くなってしまいました。以降では、某知事の応対から得られる教訓について、みなさんと共有したいと思います。それは、“ I’m sorry ” の言い方です。前回までの内容を踏襲する部分もあるのですが、せっかくの機会なので取り上げたいと思います。

 

「外国人相手に、むやみに “ I’m sorry ” と言ってはいけない!」という話を、よく聞きます。その理由は? というと・・・

 

「“I’m sorry” と言うと、自分の非を認めることになり、自分だけが非難される可能性が高いから」

 

という説明がされています。外国人との付き合いを論じたある本(けっこう、有名な著者だったりする・・・)には、こんなことも書いてあります。

 

「“I’m sorry” ではなく、“Excuse me” の方が、謝罪している感がユルいので、こっちを使え!」

 

・・・なんか、話がショボくないっすか? どっちでも、ええやん・・・、て感じです。

 

外資系企業に20年近く勤めた私の感覚からすると、外国人は予想以上に “I’m sorry” を使います。もちろん、全く口にしない人もいますが、それはその人がアメリカ人だから、戦略的に “I’m sorry” を使わないわけではなく、単なる頑固者で分からず屋だというケースがほとんどです。日本人にも、ほぼ同じ割合で、そういう人はいると思います。

 

一方で、外国人が “I’m sorry” を口にする場合、必ず、ある条件が成り立っています。つまり、むやみに “ I’m sorry ” とは言っていない。では、その条件とは何か? 続きは・・・、次回お話しすることにいたしましょう。

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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