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タカシの外資系物語

昇進して良かったこと・・・って、何?!(その1)2013.03.26

    パートナー候補 A子さん からの電話

     先日、同僚のマネージャー:A子さんから、電話がありました。 


    A子さん 「タカシさん、ご無沙汰してます・・・ ちょっと、お願いがあるのですが・・・」 
    私 「ん? どした?」 
    A子さん 「今度、“Expert研修” を受講することになりまして・・・」 
    私 「おぉっ! そりゃすごいね、おめでとう!!」 

      

     “Expert研修” というのは、わが社におけるマネージャー向け研修の最高位に位置するもので、この研修を受講することが、パートナー(役員級)に昇進するための “必須条件” となっています。いわば、「役員への登竜門」 というわけ。当然のことながら、この研修の受講メンバーとしてノミネーションされるだけでも大変でして、前年の業績評価が最高ランクであると同時に、上司の強力な推薦を要します(つまり、上司に好かれていないとダメなんですな・・・)。さすが、A子さん、最初の関門はクリアしたということですね。 


    A子さん 「ありがとうございます! それで、ですね・・・ 研修の事前準備(宿題)として、“パートナーへのインタビュー” というのがありまして、それもタカシさんにお願いしたいな、と・・・」 
    私 「それって・・・ 直属上司のBさんでなくていいの?」 
    A子さん 「直属上司はダメみたいなんです。それと・・・ 本番の昇進試験のときに、タカシさんに推薦状を書いてほしいな、って考えてるんで、それもあって、是非・・・」 


     わが社では、パートナーへの昇進試験を受験する際、パートナー5名分の 推薦状(※) が必要となります(※通称 “Soundings” と呼んでいます。Soundingsのもともとの意味は、「(密かな)調査・打診」。つまり、A子さんの評判を、複数の役員から聴取するという目的のもの。しかし実際には、当文書の下書きは申請者自身が書いているという説もある(全然、秘密じゃない!)。というか、私のときなど、ほとんど自分で(=自作自演で)書いて、聴取された役員に私自身が配って回っていました・・・)。 
     A子さん、研修の事前課題やSoundingsに加え、今後のプロセスに関するアドバイスも欲しいと言っているのでしょう。よし、快く引き受けようじゃありませんか! 


    私 「OK ! 今日の夕方なら、30分程度時間取れるけど・・・」 
    A子さん 「ありがとうございます! じゃ、会議室とって、連絡します。よろしくお願いします!!」 

    タカシ、英語でのインタビューを拒否する?!

    で、その日の夕方・・・ 


     A子さん 「・・・では、早速インタビューを始めますね。研修の事務局から、サンプルの質問項目が来てるんで、それに沿って進めます。 OK, Let’s start. First question, when you promoted Partner ・・・」 
    私 「ちょ、ちょっと待った! もしかして・・・ 全編、英語でやるの?」 
    A子さん 「はい、この通り、質問項目も英語で来てるし、研修そのものも英語ですから・・・」 
    私 「(ま、そりゃそうなんだけど・・・) 日本語でやろうか・・・、ほら、日本人同士なんだし・・・ それに、もう夕方だから・・・ 疲れちゃったでしょ・・・ ハハハ・・・ (なんやねん、その理由!)」 
    A子さん 「は、はぁ・・・ いいですよ・・・ (軽蔑のまなざし・・・)」 


    ・・・極めて、情けなし (T-T) 


    A子さん 「では、1問目。パートナーになって、仕事のやり方は変わりましたか?」 
    私 「(げっ! なんちゅう、ざっくりした質問!!) そ、そうねぇ・・・ 業績目標の数値も増えて、責任も重くなったし・・・ 何よりも、管理スパンが拡大して、配下の組織が大きくなったからね・・・ どんどん権限を委譲していかないと、仕事が回らなくなったよねぇ・・・ (こ、こんなしょうもない回答でいいのか?)」 
    A子さん 「OK、2nd Question、corporate strategyを理解して、仕事を進めていますか?」 
    私 「(おいおい、英語が混ざり始めとるぞ!!) 当たり前! 2015年に、売り上げ○○億円達成という計数目標をベースに、組織としてやるべきことを設定しています・・・ (これじゃ、US本社からの尋問と同じじゃないですか! トホホ・・・ (T-T)(T-T))」 


    ま、そんなこんなで、インタビューは進み、残すところ、最後の質問となりました・・・ 


    A子さん 「・・・最後の質問です。 “パートナーに昇進して、良かったと思うことは何ですか?” 」   

    パートナーに昇進して良かったこと・・・が、ない?!

     パートナーに昇進して良かったこと、良かったこと・・・ えーーっと、何だろ・・・ 何かなぁ・・・ もしかして、ない?! 
     確かに給料は上がったよな、だけど、会社業績に連動する幅が広がって、この不景気な情勢では、前よりも実質下がってるし・・・ やりがい? やりがいはあるんだけど、プレッシャーが強すぎて、そんなもん、感じてらんないし・・・ 組織経営の醍醐味を味わえる? カッコつけていえばそうなんだけど、毎日毎日、出てくる課題に対応するだけで精一杯だし・・・ そもそも、いつもフラフラ・・・  なんか、ないのか? ホントに、ないのか?? 早く答えなきゃ・・・(T-T)(T-T) 


    A子さん 「タカシさん、どうかされましたか? 質問、わかりにくかったかなぁ・・・」 
    私 「(汗っ!) ん? あ、ごめん、ごめん、ちょっと別のこと考えちゃって・・・ パートナーになって、良かったこと、だよね? あ、そうそう、研修が手厚くなったよね。パートナー候補になって以降、海外での短期MBAに行かせてもらったり、ビジネス英会話の補習を受けさせてもらったり・・・ すごくお金をかけて、育ててもらってるのは確かだと思うよ・・・」 


    これは事実だと思います。一般に、外資系企業というのは、幹部候補生の育成・スキル開発に、多大なコストをかけます。逆に、若手には、ほとんどコストをかけない。そもそも、スタッフの大半は、中途の即戦力が前提ですから。「上に行きたきゃ、自分で這い上がれ!」って感じ。 
     一方、日系企業は、この逆だと思います。“真っ白な” 学生さんを採用して、コストをかけて、自社の文化を浸透させていく一方で、ある程度、自社の人材として “完成した” シニア層には、それ以上の育成コストはかけないようにする・・・ 


    A子さん 「ありがとうございます! これで、質問はすべて完了です。本番の昇進試験でも、強力なサポートとアドバイスをお願いします!」 
    私 「あ、あぁ・・・ ご苦労さん、頑張ってね・・・(超・ウワの空・・・)」 


     ・・・正直、すごいショックでした。昇進して良かった と 思えることが、ほとんど ない ! ってか? なんやねん、それ! 一体、何のために働いてるんだろ、俺・・・(T-T)(T-T)(T-T) 


    ふとしたことから、「昇進した自分を否定して、仕事を全く楽しんでいない!」という現状に気付いた私。悶々としながら自席に戻ってみると、人事部の担当役員からメールが届いていました。 

    「組織の現状に関して、貴職のご意見をいただきたいと思います。今週中に、30分程度、お時間をいただけませんか?」 

    また、インタビュー? “組織の現状” って、そんなこと語っている気分じゃないんだけどなぁ・・・ 


    しかし、人事部の担当役員との面談、その席で、タカシは頭をガツーーンと殴られるような衝撃を受けることになります。次回、必見です! 

    (次回続く)

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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