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タカシの外資系物語

SME がやって来た!(その2)2013.03.12

    日本人が、グローバルSMEに協力を仰がない理由とは?!

    (前回の続き) 「日本法人の将来における見込み案件が低調でヤバイ!」 急遽、US本社からやって来たSME(= Subject Matter Expert、各分野の専門家)たちと、見込み案件の積み増し、つまり新規案件の創出作業をやることになったタカシ。突然の “来訪者” に対し、どのような態度で接するべきなのでしょうか? 


    SME 「これから一週間、社長から特命を受けたわれわれと一緒にプランを立てよう。すぐ、予定を空けろ!」 

      

    ・・・って、急に言われてもねぇ。この手の話は、外資ではありがちなんですが、どうも前向きに取り組めない理由があるわけです。 


    【前向きに取り組めない理由】 
    (1) 「予定を空けろ!」と言われても、元々設定していたスケジュールがあるので、入れられない 
    (2) これまでの経験則として、SMEと一緒に作業しても、新規案件が大幅に積み増せるとは思えない 
    (3) そもそも、いきなりやって来て、横柄な態度で 「予定を空けろ!」 と言われていることに対して、ムカつく

     


     上記理由から、よくありがちなパターンとしては、「急に予定変更できない!」と頑なに断り続けるケースです。その結果、SMEが業を煮やして(というか、キレて)、相手の上司や日本支社の社長、ひいてはUS本社の社長に対して、「Japanの 奈良タカシとやらは、全くやる気がない!」という報告を、来日早々に上げられてしまう・・・。実は私、過去にそういう態度をとって、大問題を引き起こしたことがあります。このような形で大問題を引き起こすと、その対応が余計にかかって、とんでもない時間ロスを引き起こします。 
     特に、日系企業から転職してきたやり手の人は、このような形でよくトラブります。「外国人の力など借りても、何も出ない! 俺は俺のやり方でやるっ!!」と言って、SMEに悪態をついて、大ゲンカをする。結果、何も出ないんですよね。ケンカするだけ損、時間の無駄です。 


     では、どうするか? やるんです! つべこべ文句を言わずに、やる!! 【前向きに取り組めない理由】 を考え直して(発想を転換して)みるのです。

    外国人とコラボするために・・・発想転換しよう!

     例えば、以下のように考えてみる。 


    【前向きに取り組むための発想転換】 
    (1) 可能な限り、予定を空けてみる。 
     現状入っている全ての予定が、“クライアントの役員と会う” というレベルのものではないはずです。基本的に、クライアントとのミーティング以外、社内の場合は、基本的に全てキャンセルする。たとえ、相手が日本支社の社長であっても、です。だって、SMEはUS本社の社長特命出来ているのですから、社内では最も優先順位が高いと考えなければなりません。 


    (2)「SMEと一緒に作業しても、新規案件が大幅に積み増せるとは思えない」・・・ という固定観念を捨て、とにかく一緒にやってみる。 
     現時点、将来の見込み案件が少ないのは事実あり、日本支社の頑張りだけで案件数を増やせないのも事実です。ならば、“食わず嫌い” はやめて、グローバルSMEに頼ってみよう。きっと、何か新しい観点でのネタが見つかるはず。もっと言うと、本社が派遣したSMEと一緒にやっても何も出ないなら、それはSMEに実力がないからだ、ということで、“言い訳” にも使えるのです。SMEをヒィヒィ言わせて、「もう勘弁してください・・・(T-T)」と泣かせるぐらい、“使い切る” ことが重要なのです。 


    (3)「そもそも、ムカつく」 という 個人的な感情論は、出さずに棚に上げておく 
     どうやったって、ムカつくんですよ、こういう話は。ジャパンは無能だと言われているわけですから・・・ また、日本の外資系には特に、プライドが高い人が多いので、すぐに 「なんだとぉ・・・!(怒怒怒!!!)」となる。でも、キレたら “負け” です。これは、洋の東西を問わず、ビジネスにおける真理です。 
    相手が外国人の場合には、キレた瞬間に負け。ビジネスは “ゲーム” ですから、ルールに則ってやらないといけない・・・ これが欧米の発想です(というか、日本以外の国は全部そうです)。“キレる” という行為は、ビジネス上、“ルール違反” に該当しますから、正しいことを言っていたとしても、キレたら負けです。落ち着いて、冷静に、“交渉” しなければなりません。 


    SME 「これから一週間、全ての予定を空けろ!」 
    日本人マネージャー 「なんだとぉ、コノヤローーー!」 

    ではなく、 

    SME 「これから一週間、全ての予定を空けろ!」 
    日本人マネージャー 「現時点空いているのは、火曜14時 ~ 15時です。水曜午後は、クライアント役員とのセッションがあるので絶対NG。木曜は、社内ミーティングだけなので、調整可能です。ただし、社内ミーティングをリスケすることで、他部門の作業が遅れる可能性があるので、調整のために半日時間がほしい・・・」 


    と、冷静に、理路整然と対応すればいいのです。 

    タカシが最初に着手したこと

    SME 「これから一週間、社長から特命を受けたわれわれと一緒にプランを立てよう。すぐ、予定を空けろ!」 
    私 「OK! 本日なら、14時 ~ 15時が空いているので、よろしく。明日以降の予定は、至急調整して、本日昼までに連絡する」 
    SME 「Excellent ! じゃ、14時にまた会おう! See you, later !」 
    私 「See you・・・ (あーーぁ、えらいことになったなぁ・・・)」 


    さて、怒涛の一週間が始まります。まず、私が着手したことは何だと思います? それは、「英語が堪能な助手」を探すこと。単純に、作業手としての “助手” が必要なのは当然のこととして、やはり “英語が堪能” であることも必須です。ここでいう “堪能” とは、「日常英会話OK!」程度のヘナチョコ英語ではなくて、交渉レベルの英語ができることを要求しています(TOEIC900台の世界ですね・・・)。この手のセッションは、SMEと話をしながら、その場で資料を作成しなければなりません。日本語でも複雑で面倒くさそうな作業を、英語でやろう、ってんですから、コトバの問題でつまづいている暇などないのです。 


    私 「ナオミさーーん、ちょっと話があるんですけど・・・」 
    ナオミさん 「(ム、殺気!) 断ります!」 
    私 「は、はやっ! まだ何も言ってないのにぃ・・・(T-T)」 
    ナオミさん 「どうせ、ろくな話じゃないんでしょ?」 
    私 「は、はぁ・・・」 
    ナオミさん 「はいはい、何でしょうか? 言ってみなさい!」 


     完全バイリンガルで、コンサルタントのナオミさんを、高級フレンチ・イタリアン・中華のランチ3回セットで “買収” し、手伝ってもらうことに成功・・・ っていうか、そもそも、グローバルSMEはナオミさんが所属する部門から派遣されているのですから、手伝ってもらって当然なんですけど・・・ 


     約束の14時になりました。 


    SME 「タカシ、早速始めようか!」 


    さて、SMEとのセッションは、どうなりますやら・・・ この続きは次回お話しましょう。

     

    (次回続く)

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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