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タカシの外資系物語

“失敗” すれば “出世” する?!(その2)2013.02.19

    日本社会における “失敗”

    (前回の続き) 「アメリカ人は “失敗” に寛容か?!」 という問いに対し、前回のコラムでは、アメリカ人が “失敗” そのものに関して寛容なわけではなく、“失敗” から得た “教訓” を活かすことが非常に評価される社会なので、上記問いのように感じるだけである。重要なのは、失敗の “次” だ! という話をしました。今回は、“失敗” と “出世” の関係について考えてみましょう。


     みなさんは、『スリーパーズ』 という映画をご存知でしょうか? 主演は、ブラッド・ピット。簡単にストーリーをお話しすると、少年時代の些細ないたずらで他人に重症を負わせてしまった少年たちが、少年院を出た後にどうなったか? を辿るドラマです。ブラッド・ピット扮する少年マイケルは、その後、地方検事(!)になります。そう・・・、アメリカというのは、そういう社会なのです。 


     日本において、上記のようなパターンは、極めてレアでしょう。制度で禁止しているわけではないでしょうが、社会の仕組みがそれを許していない。たとえどんな理由であれ、“失敗” を犯したが最後、そこから這い上がるのは、並大抵のことではありません(少し補足しておくと、この映画の中でも、仲間の少年のうち2人は、大人になって、再度犯罪を犯してしまいます。アメリカ社会であっても、やはり逆境から這い上がるのは難しいことが描かれています・・・)。 

      

     日本社会においては、「いかに “失敗” しない人になるか?」 が非常に重要なのです。東大を頂点とした教育システムなどは、まさにその典型でしょう。日本の入試問題の大半は、個性的な解答に割り増し点を与えるテストではありませんから、個性など必要なく、いかにそつなく間違えないかが重要なポイントとなります。 
    余談になりますが、高校時代の模擬テストで、こんな経験をしたことがあります。私は、国語の長文読解の論述問題を、自分の考えや社会の動向も含め、自信満々に解答しました。で、後日、返却された採点結果を見て愕然!  


     「非常に優れた解答ですが、本文に記述されていないことに論旨が及んでいます。勇み足です。よって、得点なし!」 と、赤ペンで大きく書かれていました。勇み足って・・・、なんやねん、それ!!!(T-T) 


     話を戻しましょう。「日本社会では “失敗” は許されない」 この事実は、厳然として存在する。しかし、最近は異なる兆しも見えてきたように思います。端的な例は、「安倍首相の復活」 です。体調不良だったとはいえ、一度は政権を投げ出した人が、選挙で大勝ちし、再度首相になる・・・ 民主党の自爆とはいえ、選挙は民意ですから、日本国民も 「“失敗” から得た “教訓” を活かす」ことを、安部さんに期待しているし、そういう社会になって欲しいと願っているのかもしれません。 

    昇進プロセスにおいて “失敗” をチェックする

     さて、本題です。“失敗” と “出世” との関係。ほとんど失敗を経験してこなかった人よりも、多くの失敗をしてきた人の方が、人間的に強い。よって、リーダー的な立場になってからも、活躍が期待できる・・・ うーーむ、ま、そうなんですよね。理念ではわかっています。しかし現実には、失敗しない人の方が、出世している・・・。失敗が多いけれども、ポテンシャルがあるような人は、大企業を飛び出て、ベンチャーに走ってしまう・・・。 


     なぜか? それは、“理念” ばかりで、“仕組み” に落ちていないからです。欧米、特にアメリカ社会では、あるべき “理念” を、しっかりと “仕組み” に落とします。だから、大企業にも、多くの失敗を経験した、ユニークな人材が残る。よって、ベンチャーのみならず、大企業においても、革新的(イノベーティブ)な発想を生み出す人材が育成されるのです。


     例えば、私が所属する会社の昇進試験にも、その “仕組み” が垣間見られます。特に、上位マネジメントへの昇進になればなるほど、その傾向が強い。 
    私がパートナー(役員)試験にトライしたときのこと。試験にあたり、[Business Achievement] (=成し遂げたこと、要は、自分の業績 です)をみっちりと記載して申請しなければならないのですが、その申請書には、 


     ・・・must include your lesson learned (失敗から得た教訓を記述すること) 


     と明確に書かれていました。また、上級マネジメント向けのプレゼンでも、直接的な営業成績(数字)よりは、失敗から得た教訓について、かなりの時間をかけて質問されました。要は、失敗を経て、そこから得た教訓を活用していない者は、パートナーになれない、昇進しない、ということなのです。


     幸い(?)なことに、私は失敗の数だけは、他の同僚のだれにも負けないと自負しているので、このテストは楽勝でしたが・・・(いいのか、悪いのか・・・)。いずれにしても、キャリアパスにおいて、失敗経験をチェックする仕組みを持っているということがわかります。

    日本で “失敗” しても “出世” する 外資エリート達

     外資系企業の場合、よく、本社から、若手バリバリの役員が送り込まれてきます(私の会社にも、私より5歳下のアメリカ人専務がいます)。日本に送り込まれる前、彼ら・彼女らの大半は、ほとんど “失敗” をせずに、順調に出世の階段を上がってきました。 


     「このままいけば、早期(例えば、30代)に、本社の上級マネジメントに昇進か?!」 


     実は、こういうエリート人材に限って、日本に送り込まれてくる可能性が高い。なぜか? それは、日本という難しいマーケットで、“失敗” を経験させるためなのです。アメリカではバリバリだったエリートも、その多くは、日本のマーケット攻略に苦しみます。というか、私の知る限り、日本のマーケットで成功している外国人経営者は、日産のゴーンさんぐらいのもんです。99%の確率で、「こんなはずではなかった・・・」と、凹んで本社に戻っていきます。 
     でも、彼ら・彼女らの多くは、本社に戻って、出世する。日本で失敗したにもかかわらず、です。なぜか? それは、日本での “失敗” から “教訓” を学んだからです。 
     このように、外資系本社のエリート社員にとっては、「日本への赴任」 が、キャリアパスの一環として組み込まれています。最近は、日本の代わりに、中国やアジア、BRICs諸国への赴任も、エリート社員のキャリアパスとして、定着してきているようです。 


     一方、本社から日本に来て、再度、本社に戻ったエリート社員たちのうち、そのまま消えてしまう人が、ごく一部います。おそらく、その人たちは、 
    「日本というのはとんでもないマーケットで、われわれでは対応できない。宇宙人みたいなもんだ!」 
    とか言うだけで、何も “教訓” を得なかったのでしょう。こういう人は、外資では “秒殺” されます。“仕組み” が存在するというのは、そういうことでもあります。そういえば、5年ほど前にアサイニーで日本に来たアメリカ人上級役員、どこに行ってしまったことやら・・・ 


     ま、いずれにしても、外資の世界では、“失敗” はその次の対応でリカバリー可能、もっといえば、出世のチャンスでもあります。失敗にめげずに、アグレッシブに行動する人が勝つ! というのは、普遍的な事実のような気がします。みなさんも、どんどん失敗して、成功を手に入れてください。では! 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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