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タカシの外資系物語

時間が来たので 「ハイ、さよなら!」 って・・・、言えますか? (その2)2012.11.13

    「ハイ、さよなら!」できる条件とは?!

     (前回の続き) 前回のコラムでは、娘の通っている幼稚園で開催されたハロウィン・パーティでの出来事をお話しました。熱血漢で、すごく感じのいいAndrew先生でしたが、規定の時間が来たとたんに、「ハイ、さよなら!」と帰ってしまったという話。彼から “後任” として指定された私は、十数名の園児を引き連れて、“Trick or Treat” をするために、近所を練り歩く羽目に・・・。ま、私も子供は好きですから、それはそれで、楽しかったんですけどね・・・。 ところで、Andrew先生のとった行動、日本人的には 「なんて無責任な人なんだ!」となるのですが、外資系的には、「ま、よくある話・・・」なんですよね。この差は、何なのでしょうか?

     

     

     

     まず、誤解があるといけないので、Andrew先生を弁護しておきたいと思います。確かに彼は、当日午後1時に、パーティーの途中であるにもかかわらず帰ってしまいました。その前提は、「彼が幼稚園と結んだ勤務契約が、午後1時まで となっていたから」 です。 


     加えて、彼は以下の条件が揃っていることを確認した上で、帰る という判断をしています。 


    (条件1) 園児の管理という意味では、残り3人の先生で回せる = 当日は、天候不良等、不測の事態が起きていない 
    (条件2) “Trick or Treat” の行進を案内する(近所を練り歩く)役という意味では、地元の地理に明るい 奈良さんパパ(=私!)がいるので、一行が道に迷うことはない(そもそも、一般人を数に入れるな! という議論はあるが・・・) 


    さらに、彼は同行の父兄に直接、自らの口で、「私は帰ります!」と伝えています。 


    つまり、 
    ① 契約通りに 
    ② 事業(=パーティー行事)の継続性を保持したまま 
    ③ 主要なステークホルダーへの説明義務を果たしている 
    ので、問題ない。 これが、“外資的” 発想なのです。 

    外資系企業との契約がトラブルになる原因とは?!

     「でも、なんか納得いかんなぁ・・・ 無責任な感じがするし・・・」 典型的な日本人の反応は、こうだと思います。実は、私もそう思います。 ①(契約)はいいとして、②(事業継続)については、継続したとはいえ、部外者である 奈良さんパパ(=私!)を使っているし・・・。 ③(ステークホルダーへの説明義務)についても、一方的に告げただけだし・・・。 



     一方、だれ一人として②③に関してクレームせずに、結果、事業(=パーティー)は無事終わっているということ。また、目に見えるリスクもなかったということも、明らかな事実です。 
     Andrew先生のとった行動に釈然としないものがあるなら、彼がハロウィン・パーティーの行進中に帰ってしまうことで、具体的に発生する(発生する可能性がある)問題を、声を上げてクレームすべきなのです。しかし、だれもしなかった。なぜなら、「何となく無責任な気がするが、声を上げてクレームするような問題・リスクはなかった・・・」からではないでしょうか。 


     例えば、次のような状況ならどうでしょう? Andrew先生と園児が遠足に行って、園児数名ががけから谷底に落ちたとします。1人、2人・・・と助けている最中に、「お取り込み中すみませんが、契約の時間になったので、私は帰ります!」・・・ こんなこと言った日にゃ、Andrew先生、父兄全員から フルボッコ でしょう。 ただし、この場合には、契約の時間になったとしても、Andrew先生は 「帰る!」 とは言わないと思います。なぜなら、上記②(事業継続)がうまくいっていないからです。上記に掲げた条件が揃わなければ、帰らないということです。 


     重要なことは、外資流の「ハイ、さよなら!」は、契約面だけでドライに行われるわけではなく、②③のような条件・アクションを伴って実施されるということ。本邦においても、外資系企業との関係において、こじれて訴訟一歩手前・・・ といった話はよく聞きますが、その前段階で、②③と類似した行動が行われているはずなのです。日系企業のよろしくない点は、その段階で伝えるべきクレームを、きちんと伝えていないこと。「常識的に・・・」「感覚的に・・・」というのは、あくまでも “日本人としての” 常識・感覚なのであって、グローバル標準ではないということを、肝に銘じておくべきでしょう。 

    たまには、「ハイ、さよなら!」と、仕事を切り上げましょう!

     以上のように説明すると、次のように感じる方が多いのではないでしょうか。Andrew先生の 「ハイ、さよなら!」って、実はそれほど無責任な話ではないのではないか・・・ その通りなんですよね、それほど無責任な話ではない、というか、全く無責任な話ではない。 


     「いやいや、それでもまだ、俺はおかしいと思う・・・」という、アナタ。だから、いつまでたっても、深夜近くまで残業、休日も出勤・・・ という状態から抜けられないのです!(なーーんて、実は、かく言う私自身もえらそうなことは言えないのですが・・・)。 


     会社との “契約” では、「朝8:50に出勤、夕方5:30に退社」 といった明確な時間が決まっているはずです。規定の時間内はがむしゃらに頑張って、明日以降の目処をつけて、時間になったら 「ハイ、さよなら!」 と宣言して、さっさと帰る。文字にすると、ごくごく当たり前の話。最近はやりの、「デッドラインなんちゃら・・・」「定時に帰る方法云々」 という本も、要は同じことを言っています。しかし、できない。本を読んでも、帰宅時間は早くならない・・・ なぜ、できないのか? 


     原因は、以下の通り、いくつかあると思うんですよね。 
    (1) そもそも、与えられた仕事多すぎて、定時に帰ったのでは、明日の仕事の目処など立たない = 上記②(事業継続)ができない 
    (2) 周りがほぼ全員残業している中で、「ハイ、さよなら!」 と宣言して帰るなんてできない = 上記③(ステークホルダーへの説明義務)が果たせない 
    (3) 人事規則上、勤務時間など、あってないようなものだ = 上記①(契約)が曖昧、または、ない 


     (1)(2)とも、自分、上司・同僚、会社の経営陣、それぞれが考え方を改めないといけない。しかし、他人(上司・同僚、会社の経営陣)をすぐに変えることはできないので、まずは、自分から変わるしかないのです。「残業はしない!」と退路を断って、日中に全神経を集中すれば、効率的にできる部分は必ずあるはずです。また、“捨てる!” ということも重要でしょう。今一度、自分の仕事を見渡せば、意味のないことを、結構しているものです。 
    (3)については・・・ そんな企業は、いわゆる「ブラック」です。辞めたほうがいいかも? 



     いずれにしても、「時間がない、勉強できない/スキルUPできない、家族と過ごす時間がない・・・」と、ブツブツ文句を言い続けるぐらいなら、① 契約通り ② 事業の継続性には留意して ③ ステークホルダーにも説明して 「ハイ、さよなら!」 と帰ってしまった方が、心身ともに健全です。私も、Andrew先生を見習って、週の半分以上は、定時に帰りたいと思っています。みなさんは・・・、いかがでしょうか?

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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