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タカシの外資系物語

日本柔道における “国際化”ステイタス2012.08.28

    タカシ、五輪で絶叫!

    みなさーーんっ! 当コラム 『タカシの外資系物語』 は、今回で連載600回をむかえました! パチパチパチ!! これもひとえに、読者のみなさんのおかげです。引き続き頑張りますので、ご愛読の程、何卒よろしくお願いいたします!!! 


    さて、記念すべき600回目のテーマなんですが・・・ やっぱり、これだけは避けて通れない、“オリンピックの話” をしたいと思います。 


    今回のロンドン・オリンピックに関する分析は様々なメディアで発表されており、加えて、すでに閉会式からかなりの日数が経っていますので、このコラムでは、話題をピンポイントに絞りたいと思います。


    その話題とは・・・、 『日本の柔道は、なぜこんなに凋落したのか?』


    「その話題自体、多くの識者が分析しとるぞ!」 ま、確かにそうなんですが、私自身が柔道の経験者(これでも、黒帯=初段!)なもので、個人的な思い入れが強いんです・・・。ということで、しばしお付き合いください。 


    ここ数年、柔道はかなりのルール変更が実施されてきました。当然ですが、ルール変更というのは競技者・指導者のニーズや要請、とりわけ、大きな “きっかけ” があって起こります。 


    今回、何かと物議をかもしたビデオ判定も、そのきっかけは、シドニー五輪における篠原選手(現・全日本男子柔道監督)の誤審問題に端を発しているというのは、みなさんもご存知のところではないでしょうか。 


    実は私、シドニー五輪の100kg超級決勝は、自宅のTVでリアルタイムで観ていました。相手のドゥイエ選手が仕掛けた「内股」を、篠原選手は「内股すかし」で返す! これに対して、主審と副審の一人はドゥイエの技を有効とし、もう一方の副審は篠原の技を一本と宣告しました。結果、ドゥイエ選手の有効が採用され、タイムアップでドゥイエ選手の優勢勝ちとなった・・・という話。私自身、TVの前で、「やったー!篠原一本! ・・・って、なんでドゥイエのポイントやねん!! 誤審やないかーーーーーーーーーっ!!!」 と、絶叫したのを覚えています。 

    ルール改正の功罪

    しかし、冷静に考えると、これも柔道なんですよね。 


    人間が判定をする以上、その場の雰囲気で判定されてしまうのは、ある程度仕方がない。また、返し技というのは、どうしても評価が低くなるし、判定も多数決で負けているので、その点でも分が悪いわけです。柔道を含む武道は、スポーツであると同時に、精神修養的な側面も大きいわけで、審判が下した判定に、とやかく言うのは好ましくない、という考えも根強くあります(誤解いただきたくないのですが、この誤審騒動、個人的には腹わたが煮え繰り返るほど悔しかったのですよ!・・・(T-T))。 


    この誤審騒動を受けて、今回取り入れられたのが、ビデオ判定の制度。主審・副審以外に、試合場全体の審判を統括する審判員 「ジュリー(Julie)」 が設置されました。 それはそうと、ジュリーて・・・ 沢田研二か・・・ このビデオ判定 およびジュリーの設置により、柔道男子66kg級の試合において、主審・副審の旗判定が真逆に覆るという “珍事” が起こったのも、みなさんご存知のところだと思います。 


    個人的な考えとして、「ビデオ判定 およびジュリーの設置」は、ルール改正が悪い方向に変更された例だと思います。 


    一方、ルールが良い方向に変更されたケースもあります。それは、「変則技の禁止」でしょう。数年前のことですが、「連絡技や返し技などではなく、相手の脚を直接攻撃すること」は禁止されました。ロンドン五輪の柔道競技で唯一の金メダルを獲得した松本薫選手は、決勝にて、相手選手がこの反則を犯したために勝利しました。 


    実は、日本柔道はここ数年来、外国選手の変則タックルなどに苦しめられてきました(No.270 『「なんじゃコリャ」に勝てるか?』 参照のこと)。実際、前回の北京五輪や最近の世界柔道は、柔道なのかレスリングなのかわからないような技が頻発し、顔をしかめるファンも多かったように思います。それが、今回のロンドン五輪では、それなりに古きよき柔道に戻っており、見ていて安心感があったのは確かだと思います。 

    日本の柔道は、“ズルく” ない?!

    さて、『日本の柔道は、なぜこんなに凋落したのか?』 についての回答なのですが、私は柔道の “国際化” の動き に、そのヒントが潜んでいると思っています。私なりに、柔道国際化の変遷をまとめると、以下の通りとなります。 



    (1) 国際化以前 
    世界には、日本の “柔道” しか存在しない時代 ・・・ 東京オリンピックでの競技採用 ~ 山下・斉藤時代 ~ 田村・野村の三連覇・古賀・吉田時代まで



    (2) 国際化突入 
    日本の “柔道” に対して、変則技を駆使する “なんじゃコリャJUDO” が出現した時代 ・・・ お家芸とされる男子重量級が、軒並み勝てなくなった(含む:篠原誤審事件)



    (3) 国際化ひとまず安定 
    日本の “柔道” の良さを一部見直し、“なんじゃコリャJUDO” は排除される。一方で、ビデオ判定・ジュリー設置等、「グローバル基準」 での審判方法が導入される ・・・ いかに審判ウケするポイントを稼ぐか、が勝負。依然として、「きれいな一本で勝つ」方式の日本は惨敗・・・ 


    (2)の混沌期において、なんじゃコリャJUDOに戸惑って勝てないのは、ある程度仕方がないかもしれません。しかし、(3)の ひとまず安定期 において勝てないのは、やはり戦略ミスなのだと思うのです。 


    (3)においては、ポイントを取るや、いかに逃げ回るか、という戦略が重要となります。だから、手の内はなるべく明かさない方がいい。なのに、日本チームはシード権欲しさに、国際大会に出まくって、手の内を明かしまくり、おまけに疲労を溜めまくっている・・・ これでは勝てんわけです。 
    一般に、(3)の安定期 ~ 成熟期を経験したスポーツは、「いかに “ズルく” しのげるか?」 が戦略の柱になっています。サッカーなんて、典型的ですよね。往年のブラジルのように、圧倒的な実力があれば別ですが、力が均衡してくると、ヨーロッパの “ズルい” チームが勝つわけです。柔道も同じだと思います。 


    一定のルールの枠内で、いかに “ズルく” しのぐか? というのは、ビジネスの世界でも同じです。独占企業なら別ですが、多くの場合、ビジネスの勝敗は、他社とのコンペを経て決まります。コンペ(=試合)では、大差で勝っても、僅差で勝っても、同じ勝ち。負けの場合も、またしかり。どうせ負けるなら、試合放棄するぐらい大差で負けて、そこで蓄えた余力を使って、僅差で勝つのが理想的です。その際の、戦略立案とリソース配分こそが、経営者の仕事ということになります。 


    『日本の柔道は、なぜこんなに凋落したのか?』  私は、まだ間に合うと思っています。まだ、“凋落” ではない。“国際化” とは “標準化” と、ほぼ同義です。もはや、日本は特別な存在ではない。標準化の枠組みの中で、いかに日本の特色を出すか? 次世代の柔道選手に課せられた大きな課題だと思います。 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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