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タカシの外資系物語

恒例 2012採用面接にて・・・( その 2 )2012.06.05

    理系院生、就活苦戦中 !

    前回に引き続き、今年の採用面接(=私が面接官として参加した最終面接)におけるエピソードをお話しましょう。 


    (院生Bさんの場合) 
    院生Bさん 「T大学・理工学系大学院のBです。よろしくお願いします」 
    私 「よろしくお願いします・・・(T大の理系院生か、すげぇな・・・ それに、人当たりも良さそうだし、これは他の企業との取り合い必至だね・・・) Bさんは弊社を第一希望とお考えのようですが、弊社以外にプロセスが進んでいる会社はありますか? 」 
    院生Bさん 「御社以外には、メーカーのX社が最終選考に残っています」 
    私 「えっ ? 弊社と・・・ もう1社だけ ? 」 
    院生Bさん 「ええ・・・ 他に3社受けていたんですが、落ちてしまいました・・・」 
    私 「就職を希望されているわりには、弊社を含めて5社しか受けてらっしゃらない・・・ どうしてですかね ? 」 
    院生Bさん 「実はボランティアをやってまして・・・ その国際会議が、先日、日本で開催されたもので・・・ その準備作業と就職活動との両立が難しかったのは確かです・・・」 


    “ボランティア”については後述します。それよりも何よりも、T大理系大学院卒の才媛で、英語もできて、人当たりも良く、ビジュアルもいい(かなりカワイイ)Bさんが、半数以上の会社から不採用を食らい、未だに内定を1つも取れていないという事実に驚くしかありません。院生は不利だという一般論はあるでしょう。しかし、文系ではなく、T大理系ですからね。一昔前なら、引く手あまただったはずです。うーーん、何とも解せませんねぇ・・・ 


    マクロ的には、昨今における、日本の製造業不況の影響は、理系院卒の採用に影響を及ぼしているのは確かでしょう。もちろん、われわれのようなコンサル会社でも、理系の院卒は積極的に採用してきたわけですが、ここ数年、日本のコンサル業界そのものが製造業不況に大きく影響を受けています。製造業の景気が良くないと、プロジェクトを発注してもらえないですからね。コンサル会社だけでなく、日本のサービス業全般が、製造業不況の影響を受けているわけですが・・・。 
    このような経済状況に加え、面接官との相性や“運”なんてのが悪く働くと、Bさんのように T大理系院卒であっても、就活苦戦(下手すると全敗)なんて結果もありえるということでしょう。 

    採用面接における“ボランティア”活動

    次に、採用面接における“ボランティア”の扱いについて、少しお話しましょう。ボランティアのやりすぎで就活の時機を逸してしまったのは、彼女の勝手ですから、ここでは話題にはしません。特定個人の話は別として、最近一般に、ボランティア活動を面接でアピールする学生さんが増えているので、話す際の留意点をお話したいと思います。 実は、Bさんとの面談で、こんな会話がありました・・・ 


    私 「・・・ボランティアにかなり力を入れられたとのことですが、それは、どういう内容でしょうか ? 」 
    院生Bさん 「はい、世界の“ストリート・チルドレン(路上生活をしている子供たち)”を救うNPOに参加しています」 
    私 「そのような活動をしようと思った、きっかけは ? 」 
    院生Bさん 「私、海外旅行が趣味なんですが、東南アジアや南米、アフリカ諸国を旅行した際に、多くのストリート・チルドレンを目にしたのです。同じ地球上に暮らしていながら、北半球と南半球の違いがあまりに大きいことにショックを受け、微力ながら、何か役に立ちたいという思いから、活動に参加しました」 
    私 「そうですか、いわゆる“南北問題”というのは非常に古くから言われていることですが、まだまだ抜本的な解決策は見出せてないですからね・・・。で、具体的に、どのような策でもって、解決を図ろうと考えているんですか ? 」 
    院生Bさん 「NPOでの活動は、各国で啓蒙活動を行って、企業から大口の寄付をもらうことがメインです。しかし、寄付を募るだけではなくて、今後私自身としては、“ITの力”を使って、南北問題是正に挑戦したいと思っています」 
    私 「ITの力・・・ というと ? 」 
    院生Bさん 「現在、ITの力を使って、都市を再生する“スマートシティ”構想 が多くの都市で推進されています。電力の需給調整や交通規制、ITを使った教育、効率的な農業等、途上国が都市化していく過程において、“スマートシティ”の考えを適用すれば、その国が発展して、住民の生活レベルが向上するまでの期間が劇的に短縮できると思うんです ! 」 


    ここまでの会話はVery Goodでしょう。特段の問題ありません。強いて言えば、“ITの力”という部分が具体性を欠きますが、ま、許容範囲です。では、次の会話はどうでしょうか ?

     


    私 「Bさんは、弊社を第一希望とのことですが、弊社のどこを評価して、そのようなお考えをお持ちになったのですか ? 」 
    院生Bさん 「はい、御社が取り組まれている“ボランティア”活動に興味があります。定期的な植樹活動 や 日本で廃棄されたPCを途上国で再利用する活動 等々、積極的に活動されていますよね ? 」 
    私 「は、はぁ・・・ (ボランティアねぇ・・・、一応、コンサルティング会社なんだけど・・・)」 
    院生Bさん 「あ ! も、もちろん、コンサル業界において、積極的に “スマートシティ” 関連のコンサルを推進されているという点 “も”、第一希望としている理由の1つです・・・」 


    “も”って、あんた、コンサルは付録かい・・・ 

    事業会社の“本業”とは ?!

    賢明な読者のみなさんは、もうおわかりでしょう。後段の会話における問題点、それは、「話の順序が “逆”」 ということです。Bさんは、わが社の強みを、「ボランティア活動」 → 「“スマートシティ”コンサル」 という順序で話しましたが、常識的に考えて、これはおかしい、順番が逆。ま、前段の会話の流れから、こうなってしまったのは仕方ないですけど。Bさんも、後段の会話の途中で、「しまった・・・」と気付いたようです。 しかーーーし ! “鬼”面接官の私には、そんな言い訳は通用しません。だって、クライアントの前で、こんな非常識な会話をされては困りますからね。 


    Bさんのは典型的な事例ですが、最近、学生時代に取り組んだ内容として、“ボランティア”を前面に押し出す学生さんが増えています。前述の通り、“ボランティア”自体はいいことですから、それ自体に問題はありません。しかし、それを押しすぎるのは、面接“戦略”としては、非常に危険です。Bさんのように、“ボランティア”を軸に企業を選んだような印象を与えると、それこそ命取りです。なぜなら、一般事業会社である限り、その本業は 「金儲け をして株主・従業員・社会に価値を還元すること」であって、“ボランティア” ではないからです(当たり前ですが)。 


    もちろん、ほとんどの企業は、CSR(Corporate Social Responsibility = 企業の社会的責任)の一環として、“ボランティア”活動にも取り組んでいます。しかしそれは、本業での儲けを社会に還元する方法の1つ、“手段”に過ぎないわけで、本業ではない。酷な言い方ですが、そんなに“ボランティア”がしたいなら、事業会社ではなく、NPOやJICAとかに入ればいい・・・。これが、面接官の率直な意見・感想です。 
    ただし、“ボランティア” 活動というのは、面接で話す 「素材」 としてはいい。私なら、以下のような展開で、“ボランティア” を語ると思います。参考にしてください。 



    ・学生時代には、「・・・」という問題意識から、ボランティア活動に取り組んでいました ← 単に漫然と取り組んでいたわけではなく、問題意識を持っていることが重要。 
    ・ボランティア活動において、様々な年齢・考え方を持った人と仕事を進める中で、他者を認め、チームとしてまとめていく“ダイバーシティ”の重要性を理解しました ← 外国人との接点があれば、それは猛烈にアピールすべきです。 
    ・社会人になってもボランティア活動は続けるつもりですが、入社後数年間は、本業の仕事を重視したいと思います。仕事に慣れて、小さな分野でも構わないので、自分の専門領域ができたら、ボランティア活動の方も徐々に再開していきたいです。自分の専門領域が、どのようにボランティア活動に活かせるか考えながら、相互にシナジー効果を出せるようにしたいと思います。 


    さて、次回は「採用面接で、インターン活動をアピールする際の留意点」をお話しましょう。インターンの話をする学生さんも増えているのですが、私の経験上、ほぼ全ての人が評価を得られない議論に終始しています。つまり、逆効果。しない方がマシ ! どうしてそうなるのか、ご説明いたしましょう。では ! 
    (次回続く) 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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