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タカシの外資系物語

“プロ”って、なあに ?!2012.05.15

    著名イラストレーターとの交流

    少し前のことになりますが、イラストレーターの“つがおか一孝”さんの個展を見に行ってきました。この方、90年代に全日空の機内誌『翼の王国』やフィッシング雑誌『Angling』の表紙に魚のイラストを描かれていた方で、みなさんもそのイラストを一度は目にされたことがあると思います。魚を中心に、動物を描かせたら日本有数の腕前を持たれており、その精緻で温かみのあるイラストは、私も奥さんも、そして娘も大ファン ! わが家には、つがおかさんのイラストがそこらじゅうに貼ってあります。 


    どうしてわが家は、これほどまでに、つがおかさんに入れ込んでいるのか ? 実は、うちの愛犬フレンチブルドッグのゴルゴ(久しぶりの登場 ! )をモデルに、イラストを描いてもらったことがあるのです。で、そのイラストが、『あなたや家族の「心」にぴったりの犬種が見つかる本当の「愛犬選び」』(吉澤英生著:マーブルトロン) という本の表紙になっているのです ! すごいでしょ ? (かなりの自慢) 


    つがおかさんはわが家の近所にある某有名公園をよく散歩されるらしく、そこを“庭”として、日々爆走しているゴルゴが目に付いたとのこと。つがおかさん自身、フレンチブルドッグが大好きということもあり、イラストの題材に選んでいただいたようです。ありがたい話や、泣ける・・・(T-T) 


    さらに自慢ついでに言いますと、それと同じイラストが、横浜にある某有名ショッピングモールの、これまた某有名バッグ屋さんの店内に飾られています。そのバッグ屋さんの店長さんがつがおかさんと懇意にされているようで、その関係で飾ってもらっているとのこと。また、そのバッグ屋さんでは、毎年、つがおかさんが描かれた犬の絵をカレンダーにして配っており、そこにもゴルゴは何度か掲載してもらっています。それにしても、“ゴルゴつながり”の人脈は、本当にすごい ! 私個人には人脈らしいものはほとんどありませんが、ゴルゴのおかげで、様々な方との付き合いができて、本当に嬉しく思っています。

    “プロ”と“アマ”を分ける壁

    つがおかさんの個展(『はなし半分展』というタイトル)に話を戻しましょう。以前お話したように、私の奥さんも、一応イラストレーターの端くれでして、そういう意味でもつがおかさんとは仲良くさせていただいています。で、奥さんとつがおかさんの会話。 


    奥さん 「うわぁ、本当にすごい ! 感動です !! 」 
    つがおかさん 「ありがとうございます」 
    奥さん 「ちなみに、このイラスト(ひげをたくわえた老人が2人描かれている)、完成までにどれくらいかかったんですか ? 」 
    つがおかさん 「うーーん、2ヶ月ぐらいかな。1cm四方を描くのに、1日以上かかるからねぇ・・・」 
    奥さん 「やっぱりそれぐらいかかりますよねぇ・・・。でも、本当にすごい、私も頑張ります ! 」 


    2ヶ月て、んでもって、1cm四方を描くのに1日以上て、あんたぁーーーーーーーーー ! (T-T)実際のイラストを見ていただかないと臨場感が全くないのですが(googleで検索すると出てくるので、是非ご覧あれ ! )、めちゃくちゃ細かいんです、これが。毛髪の1本1本が描かれているんです、実際に ! 才能がある、と言ってしまえばそれまでですが、それ以上に、何たる集中力 !! 天才というのは、こういう人のこと言うんだと、再認識してしまいました。 
    2人の会話を横で聞いていた私は、自分には想像できない世界に、目を白黒させて、心の中で大絶叫を繰り返していたわけですが、奥さんの反応はちょっと違っていました。帰りの車中での、奥さんと私の会話。 


    私 「それにしても、つがおかさんはすごいよね。まさに、“天才”って感じだなぁ・・・」 
    奥さん 「そうね・・・つがおかさんが“天才”であることは間違いないけど・・・でも、絵の才能がある人は、世の中にたくさんいる。短期的に集中力を発揮できる人もいる。一方、つがおかさんがすごいのは、自らの才能と個性と、その集中力を、継続して切らさずに発揮しているところにあるんじゃないかしら ? そこが、“プロ”と“アマ”を分けている“壁”だと思うのよね・・・」 


    “プロ”と“アマ”を分けている“壁”ねぇ・・・つがおかさんと比較するのはおこがましいのですが、イラストレーターの端くれとしての奥さんの意見は、ド素人の私とは違って、非常に含蓄のあるものでした・・・。 

    “プロ” のバーが低すぎる ?!

    さて、“プロ”って、一体何なんでしょう ? 私自身、“プロ” になりたくて、日系企業を辞め、外資に転職したはずなんです。しかし、実態はどうか ? 外資で身に付いたことといえば、アメリカ流 = MBA流の「超効率化された仕事術」程度のもんです。なんといっても、著作が『外資流 ! 』ですからね・・・(『外資流!「タカシの外資系物語」』 奈良タカシ著:あさ出版 絶賛発売中 ! と、ちょっと宣伝・・・)。 


    百歩譲って、つがおかさんが達成した世界、うちの奥さんが追い求めている世界は“芸術(アート)”であって、私が追い求めているのは“ビジネス”なので、ちょっと違う、と考えてみたとします。じゃ、“ビジネス”の世界における“プロ”って、一体何なのか ? グローバル・スタンダードという錦の御旗を掲げても、やっていることといえば、効率化という名の下に、「手の抜き方」「楽な方法」を追い求めているだけではないのでしょうか ? ときには徹夜作業をして、普段以上の集中力を発揮したとしても、それは単に「やっつけ作業」を片付けているだけではないのか ? つがおかさんのような“プロ”の仕事を見せ付けられると、ときに、たまらないほどに空しくなるんですよね、これが・・・(T-T) 


    外国人の同僚と話していると、よく、「I’m professional ・・・」とか、「He is an expert ・・・」みたいな言い方をします。私自身も、コンサルタントとして、「私は、金融機関のプロセス改革を専門にしています・・・」と、臆面もなく自己紹介することがある。でもそれは、単にその分野に長年携わって、同業者の平均以上のプロジェクト数をこなしてきただけであって、本来の“プロ”には程遠いような気がするのです。 
    違う言い方をすると、「その仕事は、私がやった方が少しだけ早くできる」だけで、「他の人がやると、私よりも時間がかかるが、時間をかければ同じことをやることが可能」なのかもしれない。それは、“プロ”ではなく、単に“慣れている人”にすぎないのかも・・・。一方、つがおかさんの仕事は、他の人が時間をかけたとしても、到底、その域には達し得ない。だから、“プロ”なのである。このように考えることもできます。 


    もう1つ重要なことは、“ビジネス”の世界における“プロ”のバーが低すぎる点です。猫も杓子も“プロ”を名乗りすぎ・・・。少なくとも、芸術やスポーツの世界における“プロ”のバーは、ビジネスの世界よりも、はるかに高い。バーを低く設定することで、伸びしろが限られてしまう。だから、現状に妥協して、“えせプロ”がはびこってしまう・・・。  
    うちの奥さんは、それが叶うかどうかは別にして、イラストレーターとしての“プロ”であるつがおかさんを目標にしている。手前味噌ながら、そこはすごいと感心します。 


    ま、これだという正解のない話ではありますが、私も“プロ”に少しでも近づくために、もう少し、バーを高く設定したいと思います。スティーブ・ジョブズや松下幸之助は、到底近づけない “神様” ではなく、ビジネスにおけるプロとしての “目標” であるべきなのではないか、なーんてことを考える、今日この頃です。では ! 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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