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タカシの外資系物語

Google新サービスに対する 日米の認識 “差” とは ?2012.03.27

    「タカシ=ヘルニア」 の情報がネットを駆け巡る ?!

    冒頭から私事で恐縮なのですが、ここ10年来、ひどい腰痛に悩まされています。原因は、「椎間板ヘルニア」・・・ 実は私、頚椎にも同じ症状の「頚椎ヘルニア」を持っておりまして、「ダブル・ヘルニア」となっています。ハハハ・・・ って、全く笑い事ではないのですが・・・(T-T)  



    「ヘルニア」というのは、簡単にいうと、背骨がズレて、(背骨から出ている)神経に接触することにより、首・腕・腰・足などにしびれや痛みを引き起こすものです。かかりつけの医者からも、「奈良さん、アナタの背骨、まるで “落ちかけのダルマ落とし” みたいでガタガタになってますよ。うまい例えでしょ? ハハハ・・・(って、笑い事か!) くれぐれも気をつけて・・・」と言われる始末です・・・(T-T)(T-T) 



    私の場合、毎週末欠かすことなく、痛み止めの注射を打って何とかしのいでいるのですが、これも対処療法であって、完治というわけではない。むしろ、症状は悪化傾向をたどっている・・・ こんな状態を、もう10年以上も続けているわけでして、痛みがひどいときなどは、西洋医学以外にすがりたくなったりもします。「西洋医学以外って、何やねん?」 マッサージとか、カイロプラクティックとか、宗教とか・・・(宗教は違うか・・・)。そういうわけで、暇さえあれば、インターネットの検索サイトで、有効な治療法を探している毎日です(みなさん、いい治療法あったら教えてください!) 



    そんなある日、いつものように某検索サイトで、「ヘルニア 腰痛 治療・・・」等のワードを入れて検索していました。「パッとしないなぁ。今日もいい治療法、見つけられず・・・」と諦めて、その検索サイトをいったん閉じてから、某ショッピングサイトにアクセスしたところ、“奈良タカシさんへのオススメ商品” として、腰痛の本や新型のコルセット等、ヘルニア患者向けのかなりマニアックな情報が出てきました! 「ん?これって・・・、情報が・・・、つ、つながってるの・・・?」 なんと、ついさっき私が検索サイトで使ったワード群に関する情報が、別のショッピングサイト内でも引き継がれていたのです! 



    ネットの世界では大した技術ではないのでしょう。私自身も、自分が興味を示していることに対して、その都度オススメ商品をリコメンドしてくれているわけですから、便利だし、悪い気はしない。でも、ですよ! 何かこう、自分の行動や思考が全て監視されているようで、気持ちが悪いのも確か。別々のサイト間で、私の閲覧履歴を引き継いでいい、なんて許可した覚えもないし・・・(もしかしたら、知らないうちに、許可のボタンをポチッと押していた可能性も否定できないが・・・)。ま、この程度のことなら、目くじら立てて問題にするほどの話ではないのかもしれませんケドね。 

    タカシ、“丸裸” にされる ?!

    最近、Googleが発表した “新サービス” が話題になっています。そのサービスとは、同社の検索や電子メールなど60以上のサービスで収集する個人データをひとまとめにして、有効活用するというもの。これは、年齢・趣味・過去の購入履歴だけでなく、メールのあて先や内容なども考慮して、オススメ商品の案内を届けるサービスの提供が可能となることを意味します。確かに、複数のデータの組み合わせで利用者のニーズが明確になり、より最適な広告を享受できるというメリットはあるでしょう。一方で、個人の様々な情報が集約されることで、“丸裸” にされてしまうという恐れもあります。 



    Googleのこのアナウンスに対し、欧米ではプライバシー侵害や情報流出を懸念し、延期を求める声が上がっているようです。 「ん? Facebook等で、あれだけの個人情報を公開しておきながら、こういうことには反対するんだ・・・」 そうです。欧米、特にアメリカというのは、こういう国民性なんですよね。「自分でやっている分には構わないが、他人に勝手にいじられるのはイヤだ!」 そりゃま、ごもっともの正論なんですけど、このあたりの切り分けというか、割り切りが、日本人は違和感を覚えるときがある。逆に日本人は、そもそもネットの世界は裏で何をされているかわからんので、ハナから疑ってかかっているフシがある。日本において、Facebookのユーザー数が思ったほど伸びないのも、こういう文化的・思想的背景があると思います。 

    仕組みを理解して反対するアメリカ人、感覚論で反対する日本人

    では、アメリカ人というのは思慮が浅いのかというと、私はそうではないと思います。例えば、クレジットカードの “使い方” ひとつ取っても、それを垣間見ることができる。アメリカ人が現金を持ち歩かずに、支払いはほぼカードを使うのは、みなさんもご存知だと思います。問題は、お店への提示の仕方。たいていのアメリカ人は、かなり場末のレストランとかでも、ウェイトレスに平気でカードそのものを預けたりします。これが日本なら、かなりの高級レストラン(≒信用できる)で、かつ、ちょっとキザに振舞いたいときにしか、カードを完全に預けたりはしないと思います(最近はそうでもない人も増えてきたようですが、少なくとも私は、未だにカードを預けるのには抵抗感があります)。 



    このことについて、アメリカ人の同僚に尋ねたことがあります。

    私 「おいおい、こんな店(って言ったら失礼なんだけど・・・)で、カード渡しちゃって大丈夫なの?」 
    アメリカ人同僚 「へ? なんでダメなの? クレジットカードはデビットカードと違って、即座に口座から資金が落とされるわけじゃないし・・・ それに、カードの使用内容については、案内が来たらきっちり確認してるしね。万が一悪用されても、保険かかってるから大丈夫だと思うよ・・・」 



    ポイントは3点だと思います。 
    (1)クレジットカードは、即座に資金決済されない 
    (2)クレジットカードには、保険がかかっている 
    (3)請求明細を、きちんとチェックする 



    普通に教育を受けたアメリカ人のほとんどは、上記の3点を理解し、実践しています。一方、日本人はどうか? 高等教育を受けた人であっても、(1)を理解していない人は多い。また、(2)は理解していても、「何かあったときに保険の請求をするなんて面倒だし、もしかしたら、全額弁償されないかもしれない・・・ だったら、アテにしないでおこう」と考えている人が多い。(3)については、最低限のチェックはするものの、明細をナメるようにチェックする人は少ないのではないでしょうか。そもそも、日本のカード会社の請求は正確なので、そこまでする必要がないという面もありますが・・・(アメリカのカード会社というのは非常に杜撰なので、アメリカ人は、「この請求は間違っているかもしれない」という疑念の目で、本当に明細をナメるようにチェックする人がほとんどです)。 



    以上のことからわかるのは、アメリカ人というのは、物事の仕組みを十分に理解した上で、そこから得られる最大限のサービスを享受しようとしていること。逆に、日本人というのは、物事の仕組みを十分に理解していないために、そのサービスが持つポテンシャルを活かしきっていないということ、ではないでしょうか。Googleの新サービスに対しては、アメリカ人・日本人ともに、賛否両論があろうと思います。しかし、反対派のアメリカ人は、その仕組みを十分に理解した上で反対している。一方、反対派の日本人は、「なんだかよくわからんけど、胡散くさそうだから、近づくのはやめよう・・・」といった、“感覚論” で反対している人が、相当数いる。 
    仕組みの理解・不理解の差は、長い年月の間に、相当なインパクトを及ぼすと思います。特に、ITの世界では。日本人が、新規のビジネスモデルを発想するのが不得手なのも、平均的に優秀な割に、物事の仕組みを理解していない人が多いからではないでしょうか。この現状を打破するためには、既存の殻を突き破った一部のリーダーが国民をぐいぐいと牽引することに加え、教育が平均を底上げする必要もあるでしょう。もちろん、果敢にトライすることを良しとする文化的土壌作りが前提となりますが。 



    「イテテテ・・・」  なーんてことを、腰に湿布を貼りながら、考えてみました。実は私も、未だ、Facebookに登録してなかったりします。Facebookを使って、ヘルニア痛の仲間を募れば、治療法なんて簡単に教えてもらえるのかもしれません。でも、わけのわからん輩が、「お友達になってください」って来たら、どうしよう・・・ ま、いっか、とりあえず、試してみたいと思います。では! 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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