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タカシの外資系物語

Occupation に Occupy されていないか ?2012.01.31

「絆」、「控」、「レベッカ・ブラック」 ?!

昨年の話になりますが、 2011 年を表す漢字が 「絆」 に決定したというニュースについては、みなさんもご覧になったと思います。実は私もこの投票に応募していて、「絆」に投票したんですよねぇ・・・。 そういえば、消費税増税に反対して、民主党を離党した議員が作った新党の名前も 「きづな」 でした。 なんか、既に影が薄い存在になっていますが・・・。

 

さて、では現実の生活の中で、最も多く交わされた 「言葉(単語)」 は何だったのか ? おそらく、「地震」「震災」「津波」「原発」・・・あたりではないかと思われます。「なでしこ」なんても、上位でしょうね。震災を乗り越える原動力として、また、その象徴としての「なでしこジャパン」、そして、「絆」という言葉に日本人の思いが集約されているわけで、今年はそれを成果・結果に結びつけていく重要な年であることは間違いありません。

 

海外に目を向けると、中国でも同様の取り組みがありまして、 2011 年を表す漢字が 「控」 に決まったそうです。中国語で「控」というのは、「管理・抑制(control)」という意味。 2010 年が、「漲(高騰、上昇の意味)」だったので、それを管理する・抑えるってことでしょうか。中国共産党らしい発想だと思います。


では、アメリカはどうか ? アメリカには、「今年の漢字/単語」 のようなものは、私の知る限りないようですが、似たようなランキングとして、グーグルの検索ワードランキングがあります。 2011 年度の検索ランキング第 1 位は、 14 歳の米国人歌手、レベッカ・ブラックさん。だれやねん ! という人も多いのではないでしょうか ? 私も知りませんでした。なんでも、 2 月に YouTube にアップした「FRIDAY」という曲が、「中身がない」「最悪の歌」・・・とネット上で酷評されたようで、それに興味を持った人たちが次々に検索した結果、動画の再生回数があっという間に数百万回( ! )なったそうです。私も実際に聴いてみましたが・・・、ま、お世辞にもうまいとはいえませんが、普通の英語の歌って感じでしたけど・・・ これがネットの怖さというか、もしかすると、新手のマーケティング手法に、国民が乗せられているだけかも・・・ と深読みしてみたりもします。

 

時事的な問題に目を向けると、昨年下半期、ニュースなどのメディアで最も頻出した単語は、「occupy」 だったそうです。「Occupy Wall Street ! (ウォール街を占拠せよ ! )」を合言葉に、 2011 年 9 月 17 日から始まった抗議運動は、アメリカの政財界に大きな影響を与えました。そのスローガンである 「We are the 99% ! 」は、上位 1% の富裕層にアメリカの資産が集中していることを非難しており、アメリカ型市場主義の影の部分を浮き彫りにしました。ただ、資本主義・市場主義において、上位富裕層に資産が集中するのは今に始まったことではありません。 19 世紀半ばに、同様の社会状況を憂いたマルクスが、「資本主義という妖怪が・・・」で始まる、かの有名な『資本論』を著し、それを理論的支柱にした社会主義国家が成立。しかし、社会主義という「大いなる実験」が失敗に終わったのは、みなさんもよく知るところです。 21 世紀型の新しい「ポスト資本主義」はいかなるものか ? それを占う上でも、アメリカ大統領選挙のある今年は、世界史的にも、大きな位置づけとなる可能性が高いと思います(・・・と、ちょっとカッコいいことを言ってみたりもする)。

マイクの説教に Occupy される ?!

 

さて、今回のコラムでは、「occupy」 から派生した 「occupation」 という単語を取り上げたいと思います。これら単語の意味は、「occupy」=占有する・占拠する 「occupation」=仕事・職業 であることは、みなさんご存知ですよね。でも、これらの単語って、相互にどんな関係があるのでしょうか?

 

「Takashi, ヒック ! You understand the origin of “occupation” ? ウィーッ ! 」
(おいおい、また始まったよ・・・ マイクの説教が・・・ トホホ・・・)

 

同僚のマイク(アメリカ人)は、酔っ払うとすぐに “説教” を始めます。日本のおっさんか、こいつは・・・ “説教” の流れは、決まって以下の通り。

 

(1)“occupation”(仕事・職業) は、“occupy”(占有する・占拠する)と同じ言葉を語源としている
(2)なぜなら、仕事は “自分の時間を占有する” からである。常に気を配っていないと、仕事に人生を占有されてしまうリスクに晒されてしまうのだ
(3)もう 1 つ、仕事は “社会の中に占める自分の地位を明確化する” 手段でもある。仕事を通じて、自分を社会にアピールしなければならないのだ
(4)にもかかわらず、日本人というのは、仕事を利用するどころか、振り回されてばかりである。しっかりせんと、いかんぜよ !

 

最後が土佐弁かどうかは別として、要約すると、こんなことを言っているようです(多分・・・)。だからどうなんだ、という感じもしなくはないですが、マイクの主張もわからんでもない。そもそも、「occupy」 から派生したと思われる 「occupation」 が、どうして “仕事・職業” という意味になるのか、学生時代から不思議に思っていましたので、ふーーん、そうなんだ・・・ と妙に納得してみたりして。

 

 

Occupation を通じて、社会を Occupy しよう !

実は、マイクの指摘というのはそれなりに的を射ているようで、慶応大学の花田光世教授も同様の指摘をされています。花田教授の指摘を要約すると、以下の通り。

 

(1)“仕事・職業” を表す単語には、「job」 「occupation」 等々・・・ がある。「job」は組織内の位置づけを表し、「occupation」は自分が社会の中で位置づけられている役割や機能を表している
(2)また、「job」 よりも 「occupation」 の方が、役割分担が明確化されており、欧米人の職業観に近い。
(注:上記は花田教授の『キャリア論』から抜粋したものですが、『キャリア論』自体はもっともっと深い内容となっています。上記内容は、その端っこをつまんだレベルなので誤解なきよう。花田教授の『キャリア論』は面白いので、是非ご一読ください ! ちなみに、うちの奥さんは学生時代に花田教授の授業を受けたことがあるそうなのですが、「全然覚えとらん・・・」と言っていました。花田先生、ゴメンナサイ・・・)

 

欧米人は、あらかじめ決められた役割以外のことはしない。一方で、日本人は役割分担自体が柔軟で、周囲のケア・サポートをしながら仕事を進める・・・ このような文脈で、日本的経営の強さが語られることが、よくあります。
一方で、日本人は自分の役割に固執せず、執着心がないために、そこに “誇り” を感じない人が多い。同僚のマイクや花田教授の「occupation」議論は、その点を指摘しているのだと思います。実際に、日本人はあれほど長時間働いている割に、自分の役割に関して “こだわり” を持った人が少ないのも確か。最近、特にそんな印象を受けます。「ま、適当に・・・ 可もなく、不可もなく。多少の残業も OK ! OK ! でも、仕事に対して、それほどの思い入れはないよーーーん ! 」 という輩は、若手だけではなく、ミドル層にも多い。みなさんの職場でも、そうなのではないでしょうかね。

 

「仕事に “誇り” を感じろ ! なんてこと自体がナンセンス。そういうアナタは、どうなんだ ! 」 と攻められると、グゥの音も出なかったりもするわけですが、しかし、それでは寂しい。人生の多くの時間を費やす “仕事” が、単なる “作業” と同じでは悲しいではないですか ! 

 

欧米人が仕事に “誇り” を感じている理由は、間違いなく、キリスト教の世界観が影響しているのですが、それと同じぐらいに、上記で述べた “occupy”(占有する・占拠する) の意識も強いように思います。「仕事というのは、黙っていたら、人生を占有されてしまう存在である。そうならないように、自分が社会を占有する手段として、仕事を活用すべきである」 このような発想は、日本人には希薄なのだと思います。
ウォール街のデモではないですが、もっと声高に、もっと大胆に、自分の仕事をアピールしてもいいのではないか。俺はこれだけやっているんだ、私はこれだけ社会に貢献しているんだ、そんなプライドを持ちたい。仕事に振り回されないためにも、そのような気概を持って、今年の仕事に当たりたいと考えています。以上、タカシの雑感でした。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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