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タカシの外資系物語

財政破綻国は“働きすぎ” ? ( その 1 )2011.10.04

ギリシャがヤバい !

最近、ヨーロッパの経済危機が話題になっています。リーマンショック以降、アイルランド・ポルトガルといった国の信用不安が問題になっていたのですが、ここにきて、ギリシャが深刻な財政赤字になっていることが判明し、ドイツやフランスといったユーロ主要国が、その救済に乗り出す事態となっています。

 

今回の経済危機の特徴は、リーマンや GM といった「企業」、サブプライムローンといった「金融商品」ではなく、「国そのもの」 がヤバくなっている・・・ というところにあるでしょう。国民や企業にもしものことがあった場合、“国” という経済主体が、最後のセイフティーネットにならなければなりません。その最後の砦である “国” が、戦争などの特殊事情があったわけでもないのに、破綻の危機にあるわけですから、シャレにならんわけです。

 

もちろん、ここ 10 年を振り返ってみても、アルゼンチンやアジア諸国などで同様の経済危機(ヘッジファンドに仕掛けられた通貨危機)があったわけですが、今回はヨーロッパ(EU)といった先進諸国、かつ複数の国が密接に関わりを持った地域を対象としていることから、そのインパクトは、過去の比ではありません。われわれ日本人も、「ありゃりゃ、ギリシャも大変だね・・・」と、のんきに構えている暇もなく、強烈な株安・円高に襲われているのはご存知の通り。日本も大幅な赤字財政にあることを踏まえると、ホントに他人事ではありません。

 

上記の文脈で、「ギリシャがヤバいよね・・・」というのは、ギリシャという国家に “リスク” がある、ということを意味します。これを、「ソブリン・リスク」といいます。最近は、一般のニュース・メディアでも、この言葉が頻繁に出てくるようになりました。

 

「ソブリン(sovereign)」というのは、「主権・国家」という意味でして、私は銀行員時代に米国債やドイツ国債などの、いわゆる「ソブリン債(国債や政府保証債のこと)」のトレーディングをやっていた時期があったので、個人的には馴染みのある言葉です。しかし一般的には、相当英語ができる方でも、この言葉をご存知ない人の方が多いのではないでしょうかね。

 

さて、何故に私がこの言葉にこだわっているかというと、その“語感”に原因があります。「○○リン ! 」って、あんた・・・ ! 。 「ミポリン」とか、「ゆうこリン」とか、なんか、萌え系アイドルのにおいがしませんか ? えっ ? 全然しないって ? こりゃ、失礼しました・・・(T-T)

ギリシャ人は働き者 ?!

 

バカ話はこのくらいにして、本題に戻りましょう。今回のギリシャ経済危機について、その経済および地政学的な見解は専門家に委ねるとして、実はこんな興味深い記事を見つけました。

 

EU加盟国の中で最大の負担を負うドイツは、勤勉な自分たちがなぜ怠け者のドイツを助けなければならないのか、と不満たらたらだ。メルケル首相も今年 5 月、「休んでばかりの国と休みの少ない国が、通貨を共有するなんてあり得ない」と憤った。
だが、この批判がお門違いであることが判明した。ある統計によれば、ギリシャ人のほうがドイツ人よりも「働き者」なのだ。年間の労働時間は、ドイツ人の 1390 時間に対してギリシャ人は 2119 時間。ギリシャのほうが年間の休日日数が少なく、実際の退職年齢もやや高いのである。 (日本版NEWSWEEK 2011/9/14号)

 

誤解のないようにお話しておくと、この「労働時間統計」というのは、非常に当てにならない、信憑性が低い統計値だと言われています(国によって、時間の計測方法がバラバラで明確な定義がない等)。上記記事の元となっている統計は、「OECD Employment Outlook」というものなのですが、例えば、日本の年間労働時間は 1733 時間、韓国は 2193 時間、フランスは 1562 時間、オランダは 1377 時間・・・ というように、非常に怪しい数字となっています。

 

ま、細かい話をすると突っ込みどころ満載なのですが、そこは目をつぶるとして・・・ 議論を大きく捉えると、「(おそらく)ギリシャ人は、勤勉と言われているドイツ人よりも働いている」というのは、かなり確からしい事実のようです。日本人も、ドイツ人よりは働いているはず。では、なぜ、労働時間の長い国に限って、国が豊かになるどころか、財政破綻状態に追い込まれるのか? そこが問題なのです。もちろん、国の「政策ミス」という理由も大きいでしょう。しかし、本当にそれだけなのでしょうか?

仕事の成果はどこに消えた ?!

仮に、ギリシャ人・日本人・ドイツ人とも、ほぼ同じ “質” でもって、労働しているとしましょう。つまり、各国民間に、働き方の巧拙はないとする。とすると、ギリシャ人・日本人が、ドイツ人よりも超過して働いた分の “成果” はどこに消えてしまったのか ?

 

1 つ考えられるのは、「ムダなことに時間を使っている」という可能性です。例えば、経済発展につながらない「ハコモノ」の公共投資をしたとする。ほとんど使われない「ハコモノ」であっても、受注した側の労働者は、当然のことながら、一生懸命働きます。しかし、そこから得られるのは、いたずらに使われた労働時間 と 税金の無駄遣い ≒ 国(国民)の借金 です(もちろん、「ハコモノ」建築分の費用はGNPとして計上されますが、それ以上の経済発展には寄与しないことの方が多い。だれも通行しない「道路」なんてのも、その典型ですね)。日本のような、-おそらくギリシャもそうだと思うのですが-、資源に恵まれておらず、かつ、賃金も発展途上国ほど安くはない(なかった)国が、見た目だけでも経済発展したと見せかけるためには、国が身銭を切って、国民をこき使う政策が手っ取り早いのです。国が仕組んだ策によって、国民は朝から晩まで働かされる。よって、国民の労働時間が、他の先進国よりも多くなる傾向にあるのではないでしょうか。

 

私の論旨展開は、かなり無理があることはわかっています。ギリシャは、国家ぐるみで赤字隠しをしていたり、脱税などもまかり通っていたりしますので、今回の財政危機は、そういう側面も大きいでしょう。しかし、ギリシャも、そして日本も、国民は相当な労働時間を強いられている、という事実は動かしがたい事実なのです。

 

そして、同じことが企業一般にも当てはまるように思います。欧米先進国と同様の成果(または下回る成果)しか出せていないにもかかわらず、日本のビジネスパーソンの労働時間はやたら長い。かといって、日本のビジネスパーソンが、欧米先進国に比べて、ダラダラ仕事をしているわけではない。われわれ日本人ビジネスパーソンが、欧米先進国の彼ら・彼女らよりも長く働いた分の成果は、一体どこに消えてしまったのでしょうか ? 次回のコラムでは、実例をもとに、その謎に迫りたいと思います(結局、今週は前置きで終わってしまいました。スイマセン・・・(T-T))
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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