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タカシの外資系物語

外資と“イクメン” (その 1 )2011.01.25

タカシ、家族との団欒

年末年始の休暇も終わり、みなさんの職場でも、既に通常の仕事モードに切り替わっていることと思います。外資系企業では、外国人スタッフ(特に役員層)はクリスマス休暇をとって本国に帰るケースが多く、一方日本人中心の現場では、正月休み → 年始の挨拶回り となるため、かなりの長期間、会社が浮き足立って、通常の雰囲気ではなくなります。外国人の役員にしてみれば、「何を大げさに年始の挨拶に時間を使っとるんじゃ! 電話で “Happy New year!” って言えば、終わるじゃないか・・・」と思っているフシもあり・・・。一方、日本人としても、「クリスマス休暇って、この年末に忙しい時期に休むなよ! ケーキ食ったら、それで終わりでいいだろ・・・」と考えている・・・(あくまでも私見です)。しかし、それを言ったら元も子もない。お互いに多様な考え方・生活様式・文化を受け入れてこそ、真に強い企業が生まれるわけですから。


私自身はというと、正月休みは家族とゆったり過ごしました。私は横浜中華街のそばに住んでおり、中華街は正月も営業しているお店が大半なので、中華料理ばかり食べていたような気もします(ふ、太ったか・・・(T-T))。奥さんと 3 歳になった娘と一緒に、愛犬ゴルゴを引き連れて、散歩を堪能していました。

 

個人的には、娘と長時間一緒にいられたことが、この休暇における最大の成果だと思います。普段はなんだかんだ言って、平日は午前様とは言わないまでも、それに近い状況が多い・・・。帰宅しても、娘は当然のことながら寝ています。「帰ってきたよ~♪」とか言って、寝顔に頬を摺り寄せても、「ううーーん、パパぁ・・・ ブッ(おならの音。うちの娘はよく屁をこく・・・)」ってな感じで、ほとんど全くコミュニケーションになりません。休日は休日で、要領の悪い私は、半分ぐらいは仕事をしているので、一緒に遊ぶ時間も限られます。そういう意味では、まとまった時間に集中的に娘との接点を持つことが、これまでほとんどなかったわけで、そろそろ自我が芽生え始めた娘との時間は、本当にかけがえのないものになりました。正月以来、「パパー、パパー」と飛んでくるようになってくれたのですが、日常に戻った今、積極的にコミュニケーションが取れない状態に戻り、少し苦々しく感じます。


最近、「イクメン」という言葉が流行っています。今回のコラムでは、外資における「イクメン」の考え方をご紹介し、同時に私の意見もお話したいと思います。

“イクメン” を外国人に説明する

先日、外国人の同僚から、次のような質問を受けました。「タカシ、最近日本では“IKUMEN”というのが流行っているそうだが、これはいったい何なんだ?」(英語での質問)

 

実は、外国人に「イクメン」という言葉を説明するのって、結構骨が折れるのです。まず、「イクメン」というのは、「育児するMEN(男性)」という意味ですが、日本語と英語が混成した造語なので、外国人にはわかりにくい。加えて、もともとあった「イケメン(カッコいい男性)」という言葉にも引っ掛けており、そのニュアンスを外国人に伝えるのは、ほとんど不可能に近いのです。


英語には、“housewife” “stay-at-home wife” という言葉あり、この “wife” の部分を“husband” にしたものだ、と言えば一発で伝わるのですが、これもちょっと違う。「専業主婦」とか、「主夫」といったニュアンスと、「イクメン」とは一義的には関係がありません。


苦し紛れに、「mmm・・・ “ IKUMEN ” means that・・・ men do child-care・・・」 などと説明してしまうと、「えっ! 日本人の男性は、子供をケアしないのか? もしかして、家族と別居しているのか?」といった、ウンザリするくらい面倒な誤解をされてしまうのです。


そもそも、「イクメン」というのは、日本固有の背景を前提としなければ、理解が困難です。元来日本では、「男性は働き、女性は専業主婦」という典型的な家族像がありました。戦後の高度成長期、連日徹夜で働くモーレツ男性社員が多数を占め、その傾向が顕著となった。特に育児については女性に任せっきりで、家庭を顧みないかわりに、家族を養えるだけの収入を稼ぐのが男性の仕事という認識が生まれました。

 

やがて低成長時代に入り、男性の稼ぎだけでは家計が立ち行かなくなりました。同時に、女性の才能を積極的に活用する素地も出来始め、女性の社会進出が一般化した。男女が共働きとなると、女性だけに育児を任せていたのでは、女性の負担が大きすぎます。育児をはじめとする家事全般において、いかに夫婦で役割分担をするか・・・ このような文脈の中で、男性の育児参画、つまり「イクメン」が登場してきたわけです。

デスクに家族の写真を貼っているか ?

 

外国人、特にアメリカ人と比較した場合、上述のような背景の違いを理解しておかないと、妙な誤解を生むことになります。アメリカでは、基本的に全てにおいて、「男女平等」です。夫婦共働きは当たり前だし、家事も同様です。

 

家事については、料理などは女性がするケースが多いですが、その代わりに、掃除とか家の修繕などは男性がします(アメリカでは、日本では想像できないほど日曜大工が盛んで、家そのものを旦那さんが作ることもあります。アメリカ人の男性と話していると、彼らは、「家事≒日曜大工」と認識しているようで、「俺は妻より家事をやっている!」と自慢する人が結構います。ま、私の場合は日曜大工も妻に任せている(『自分でやり切る “力”』参照のこと)ので、そういう意味では夫失格ですな・・・トホホ・・・)。
育児も同様で、夫婦ともほぼ同じ時間を割いている。なので、育児を分担するという概念自体がないのです。


加えて、アメリカ人と日本人を比較した場合の最大の違いとして、アメリカ人は(子供を中心とした)家族を、積極的に職場に “持ち込む” ことが挙げられます。例えば、外国人スタッフのデスクに行くと、決まって家族の写真が飾ってある。休憩時間には家族の様子を確認する電話を頻繁に入れたりもする。また、オープンオフィス(社員の家族に職場を開放すること)の日などは、家族が日本にいる場合には、ほとんど全ての外国人スタッフが、家族を職場に呼んでいます。


一方、日本人の場合は(たとえそれが外資系社員であっても)、家庭と職場には大きな “壁” があるように思います。デスクに家族の写真を飾っている社員はあまり見かけませんし、オープンオフィスへの参加率も、10 % 程度ではないでしょうか。根底には、日本人の奥ゆかしさがあるのでしょうが、この「家庭は家庭、会社は会社」という大前提が、「イクメン」促進上の阻害要因になっていることは間違いないでしょう。


さて、次回のコラムでは、日本企業における「イクメン」の課題を、より具体的に外資と比較してみたい。また、いくつかの自治体の首長が、「イクメン」推進の立場をとって話題になっていますが、そのあたりについての私なりの見解もお話ししたいと思います。
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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