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タカシの外資系物語

「悪いところ」をなくすために ( その 2 )2010.09.07

前回のコラム) 「 1 軍は減点法である。席数が決まっているから、ミスしたら、力がなかったら、落とされる。1 軍に定着するためには、良いところだけじゃなく、悪いところも消していかなければならない・・・」 とあるスポーツ新聞に出ていた“格言”に感銘を受けた私。実はこの 10 年ほどの間、私は「自分の悪いところ = 欠点」をいかになくすか ! ということに腐心してきました。

 

私が認識していた、「自分の悪いところ」は、以下の 3 つ。

(1) 過度な自信過剰
(2) 仕事は 1 人でやるのではなく、チームでやる ということを理解していないこと
(3) 人材を育てることの重要性 を理解していないこと

今回のコラムでは、私がいかにして上記(2)(3)の弱点を克服したか、についてお話したいと思います。

クライアントが評価するのは、タカシ? それとも・・・

「仕事は 1 人でやるのではなく、チームでやる」 文章で表現すると、至極当たり前のことのように思えますが、これを認識し、実践していくのは非常に難しい。特に、「 自分で何でもできる ! 」と思い込んでいる生意気な社員にとっては、なおさらだと思います(私もそうでした)。

私の場合、こんな風に考えていました。


「仕事は1人でやるのではなく、チームでやる・・・ ハイハイ、一般論としてはそうでしょうね、と・・・ でも、実際にはデキる奴が 1 人で仕事を回しているんですよねーーー、と・・・」 


この考え方には2つの誤解があります。それは、次のことを理解していないことに起因します。まず、自分に課せられた仕事を、自分 1 人でやるのは当たり前の話であって、特筆すべき内容は一切ないということ。仮に、自分に与えられた仕事を 1 人でできないようなら、本当の“コマッタちゃん”になってしまいます。


次に、仕事というのは、いくつかのかたまり(単位)が集まって、はじめて意味を成すのだということ。例えば、「モノを売る」という仕事だって、ただ売ればいいというものではない。モノを仕入れて、保管して、売り先に届けて、お金を支払ってもらう。アフターサービスだって重要だし、宣伝しないと認知されない。マイケル・ポーターがいうところの「バリュー・チェーン(Value Chain)」が連なってこそ、価値のある仕事となるのです。営業だけがえらいわけでは、決してない。


しかし、頭ではわかっていても、それを行動に移すことは難しいわけで、自分だけの力で売れたと勘違いするわけです。たまたま運が良かっただけかもしれないのに・・・


実は私も、頭ではわかっていても、「なんだかんだ言っても、結局俺の力だし・・・」という考えから抜け切ることはできませんでした。結果、自分中心にわがままな仕事ぶりを押し付けて、周囲の人からは、嫌われていたように思います。

 

では、そんな私が、どのようにして改心したのでしょうか ? それは、体を壊して 2 ヶ月ほど入院したのがきっかけでした。今から 7 年ぐらい前、前職のコンサル時代のことです。当時の私は、自分 1 人で仕事を回していると勘違いしていたもんですから、「俺が行かないと始まらない、プロジェクトが滅茶苦茶になる ! 」と思い込んでいました。思い余った私は、何度も病院を抜け出そうと試みたのですが、医師から「死ぬぞ ! 」と、半ば脅しに近いドクターストップがかかり、ベッドに縛り付けられるように床に伏していました。


「あーあ、苦労して獲得した案件なのに・・・ あのクライアントとの付き合いは終わったな。もう、出入り禁止だろう・・・(T-T)」 さて、どうなったか? いざ退院して会社に戻ってみると、出入り禁止はおろか、私抜きでも、プロジェクトは問題なく回っていました。私が倒れた直後は、多少ギクシャクしたものの、私の同僚が代役で入って、立て直してくれていたのです。


「いやぁ、PMのタカシさんがいなくなって、一時はどうなることかと思ったけど・・・ それにしても、○○コンサルティングさんのチームプレイには、敬服するね!」 クライアントの部長からいただいた、この言葉。部長が評価している対象は、提案して売り込んだ私ではなく、またプロジェクト開始直後に倒れた私への非難でもなく、チームとしてのわが社に対してだったのです。


それ以来、私はチームプレイの重要性を心底理解しました。仕事はチームでやっている、チームでやるからこそ、強い! そして、様々なプレッシャーで潰れそうになったときも、「きっと大丈夫。仮に俺が倒れても、チームのだれかが何とかしてくれる・・・」と思えるようになりました。でも皮肉なことに、人間って、気が楽になると、なかなか倒れないもんですよねぇ(笑)。いずれにしても、会社の様々な部署の人に、優しい気持ちで接することができるようになったのは確かです。

部下を育てなければ、昇進できない ?!

次は、「人材を育てることの重要性」です。外資にいると、人材育成に関する意識は、ややもすると希薄になりがちです。なぜか? それは、「外資はプロの集団なんだから、育成なんて必要ない!」 「覚えなきゃいけないことは、自分の力で何とかしてくれ!」 という暗黙の了解みたいなものがあるからではないでしょうか。


一方で、外資の人材育成プログラムは、非常に充実しています。私は今の会社に入って 7 年になりますが、この短期間の間に、6 回もの海外研修に行かせてもらっています。ほぼ、年に1回の割合です。また、研修の受講期間を合計してみると、なんと 8 ヶ月にもなります。つまり、8 ヶ月/ 84 ヶ月(= 7 年)ということですから、私の総労働時間の 10% 程度は、研修を受けていたことになるのです。


上記のことから、何がわかるでしょうか ? 1 つには、「外資では、人材育成という作業を、上司や先輩に委ねない」ということでしょう。典型的な日本企業では、いわゆる OJT が人材育成の基本となります。上司や先輩から、手取り足取り教わることで、自分のスキルを高めていく。これは非常に効果的である一方、上司や先輩に過度の負担をかけるというデメリットもあります。OJT も重要だが、それ以上に、上司や先輩には、収益に直結する仕事をしてほしい・・・。 外資では、このような考えの下、人材育成を上司や先輩ではなく、会社自らが行うようなプログラムを設定しているのです。


話を戻しましょう。人材育成は、上司や先輩が手取り足取り行うのではなく、会社がやってくれるもの。そうなると、一般社員の間では、人材育成に関する意識が希薄になります。一義的に、自分に課せられた仕事ではないわけですから、それも仕方ない。しかし、そこに大きな落とし穴があるのです。


短期的かつ直接的な落とし穴は、「人材が育ってくれないと、自分自身が昇進しない」ということです。外資では、昇進試験の際に、必ず尋ねられる質問があります。それは、
「Who is your successor ? (あなたの後継者はだれですか ? )」 
自分の後継者は自分で育てなければならないわけで、会社は後継者を見つけてきてくれるほど親切ではありません。自分の後釜を指名できないと、いつまでもその地位から抜けられないのです。実際に、部下の育成を怠った結果、自分の後釜がいないばかりに、実力はあるにもかかわらず出世できない同僚を何人も見てきました。


そして、本質的な落とし穴としては、「部下を育成しなければ、業績は上がらない」ということがいえます。以前にもこのコラムで書きましたが、「マネージャーの最大の仕事は、マネージャーを育成すること」なのです。なぜなら、部下が育てば、いい仕事をするわけで、そうなれば自然と収益も上がるからです。部下が育たない組織は、いくらプロが集まっていても、成果は一定限度に限られてしまいます。より大きな成果を求めるなら、部下を育成することが、一番の早道だということです。


3 年前、私のチームには、40 名の若手がぶら下がっていました。その年私が取り組んだのは、「部下の育成」のみでした。昨日は A くんの相談に乗り、今日は B くんにアドバイス・・・ と、来る日も来る日も、配下メンバーの育成だけに邁進した結果、40 名もの大所帯ながら、1 人あたりの収益率が社内でもトップクラスのチームになったのです。ガリガリと「収益 ! 収益 ! 」と言っていたのでは、このような成果は得られなかったように思います。


さて、みなさん ! 自分の「悪いところ = 欠点」をなくすのは、本当に骨が折れる作業です。しかし、役割がより上位になるに従って、欠点の克服は必須となるのも事実。特に、若いみなさんは、30 代、40 代になった自分を想像しながら、長期計画で欠点を克服されることをお勧めします。では !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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