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タカシの外資系物語

「アンガー・マネジメント」 は使えるか ? ( その 2 )2009.11.10

怒りは人生における 「損」

前回の続き) 今回のコラムでは、「アンガー・マネジメント」のエッセンスについてお話したいと思います。


アンガー・マネジメントの目的は 「怒りを抑える」 ということ。人生におけるほとんどの「怒り」は、無駄以外の何物でもありません。部下に対する怒り、家族に対する怒り・・・ あー、言わなきゃ良かったあのセリフ! 一言多いばかりに、どれだけの時間を無駄に過ごしてきたことか! きっかけは、本当に些細なことなんですよねぇ。例えば、こんな感じ・・・


【 奈良家のよくある風景 】
タカシ(私=夫) 「ふーーっ !(今日も、疲れたなぁ・・・トホホ)」
トモミ(家内) 「どうしたの ? 」
タカシ 「え ? ちょっと疲れたから、“ふーーっ ! ”って、言っただけじゃん ! 」
トモミ 「・・・ こっちだって、大丈夫かなと思って、聞いただけじゃん ! 」
タカシ 「(にゃにぃーー ! ) ため息ついちゃ、ダメなのかよ ! うがーーーーーー ! 」
トモミ 「こっちだって、心配しちゃ、ダメなの ! ウキーーーーーッ ! 」

・・・もう最悪です。


この例は、明らかに私が悪い。私が大きなため息をついたことに対して、家内は心配して、「どうしたの ? 」と尋ねただけです。それは悪意どころか、善意のかたまりみたいなもの。その言葉に感謝するどころか、逆に食ってかかっているのですから、弁解の余地もありません。


おそらく私としては、「俺は今日も一日働いて、クタクタなんだよ ! ため息ぐらい自由につかせろよ ! 」といった身勝手な意識があったのでしょう。しかし、クタクタなのは、家事や子育てをしている家内も同様です。それを理解せずに、ケンカ腰で対応するなんざぁ、われながらろくでもない男ですよね、んったく・・・ 


結局、些細なことから口論が起こって、少なくとも 1 時間ぐらいはお互いに気まずい雰囲気になってしまうわけですから、怒ることによって人生の一部を損していると言っても過言ではないでしょう。


上記のように、夫婦げんかで済めばいいですが、ビジネスの世界ではそうはいきません。同僚と口論することで仕事の効率性は落ちるし、相手がお客様なら取り返しのつかないことになってしまいかねません。

短期と中長期で怒りを抑える?

「怒りを抑える」ためには、どうすればいいのか? 「アンガー・マネジメント」では、怒りを抑える方法を、「短期策」 と 「中長期策」 に分けて提示します。


● 短期策  ・・・ (心では怒っていても)怒りの行動に出ないようにする
● 中長期策 ・・・ 根本的に、怒らないような思考構造を作る


当然のことですが、「アンガー・マネジメント」の最終目標は、「怒らない体質を作ること」です。しかし、一足飛びにそこにはいけない。なので、短期的には、怒ってもいいから、それを出さないように工夫しよう ! と言っています。


このように、段階を踏んだ無理のないプランから入るところが、いかにもアメリカ的です。アメリカ人は、「最初は無理なく始めて、段階を経て、長期的に実現していく」というのが大好きな国民です。


例えて言うなら、腹筋を 100 回やるのに、最初の 1 週間は 5 回から始めてみよう。次の 1 週間で 10 回。1 年かけて、100 回できるようになろう ! てな感じですかね。こうすることで、仮に 100 回に到達できなかったとしても、途中までの目標はクリアできたということで、一定の評価をするのです。


一方、日本的には、腹筋 100 回の目標を立てた以上、100 回できければダメ、たとえ 99 回できても途中で挫折したのでは 0 回と同じ ! といった考え方があるように思います。


個人的には、必ずしも、目標の 100 %を達成しなくてもいいのではないかと思います。日本人は、目標に対してあまりにもストイックすぎるので、少しはアメリカ人を見習って、柔軟に対応すべき点もあるでしょう。


一方、アメリカ人の良くない特徴としては、自分が目標を達成するためには、第 3 者である他人がコーチとしてついていてくれないと達成できない・・・ と信じ込んでいるところだと思います。なので、「アンガー・マネジメント」についても、それを専門としているコーチやコンサルタントが山のようにいます。


私が会社の研修で教わったのも、「アンガー・マネジメント」の専門コンサルタントだったのですが、はっきり言って、一度教わればほとんどのことは理解できる。いつまでもコーチとして横に付かれても困るなぁ、というのが正直なところでした。しかし、アメリカでは、それが商売として成り立っているのですから、国民性の違いというのは不思議なものです。

短期策 : 間隔をおいて冷静に !

では、短期策である「(心では怒っていても)怒りの行動に出ないようにする」ための、具体的なテクニックをご紹介しましょう。


ここで重要なことは、「ムカッと来た」後に、いかにして怒りを表現しないで済ますことができるかということです。昔、タレントの竹中直人さんが、「笑いながら怒る人」という持ちネタで一世を風靡しましたが、そういうことではありません。表情が笑っていようが、泣いていようが、怒りを表現してはいけないわけです。


「アンガー・マネジメント」では、「ムカッと来た」場合に、以下のような対処法を提示しています。


(1) Stop thinking ・・・ 考えるのをやめて思考に空白を作り、落ち着かせる
(2) Take a time out ・・・ 「一時休憩」をとって、冷却期間を置く
(3) Use humor ・・・ ユーモアで流す
(4) Take an exercise ・・・ ジョギングや体操など、運動をする
(5) Positive mantra(マントラ:呪文) ・・・ 「大丈夫」「俺は怒らない ! 」などの呪文を唱える


現実的には、相手と会話をしている最中に、いきなりジョギングを始めるわけにはいきませんから、( 4 )はボツかな、と。( 3 )も、思いっきり嫌味の効いたジョークを言ってしまいそうなので、これも難しい。( 1 )と( 5 )は同じことを言っていて、要は、「これは怒るぞ、ヤバイ、ヤバイ ! 」となったら、一瞬間隔を置けということです。怒る瞬間というのは、相手の言葉に対して、反射的に反応してしまうケースが大半ですから、1 クッション置いて冷静になることは、有効かもしれません。( 2 )のようにできればベストですが、これができる相手は、限定的だと思います。


「アンガー・マネジメント」を学んでから、私は怒りそうになったら、「んーーー」と言って、下や横など見て、相手の視線から目をそらし、「時間稼ぎ」をするようにしています。こんなことでも、かなり効果的でして、以前よりも怒り(怒りを表面に出す回数)が減ったように思います。みなさんも、是非お試しください。


次回は、「アンガー・マネジメント」の中長期策である、「根本的に、怒らないような思考構造を作る」方法についてお話しましょう。

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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