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タカシの外資系物語

God is in the details ! ( その 1 )2009.09.01

誤字だらけの報告書

「おいおい、誤字脱字が多すぎないか ? ・・・ ちょっと、たるんでんじゃないの ?! 」
私は今、チームメンバーが作成したプロジェクト報告書をレビューしています。報告会はいよいよ明日。早く内容そのものの最終確認をしたいのですが、内容以前に、誤字脱字などの基本的なミスが多すぎて、辟易としてしまいました。で、思わず冒頭の言葉が出たというわけです。


私 「例えば、これなんか、“決裁” じゃなくて、“決済” だろ ? 何年、金融のコンサルやってんだよ ! 」
メンバー 「・・・(しーーん)」
私 「あと、こっちは “特徴” じゃなくて、“特長” だよね、メリットのことを言ってるんだから・・・」
メンバー 「・・・(すぃーーん)」
私 「あと、もう 1 つ ! ページ毎のヘッダー文のフォントが違う ! MS UI Gothic の 24 pt で統一するんじゃなかったっけ ?  (くぅぅ・・・ われながら、細かい ! )」
メンバー 「・・・(すぅうぃーーん)」
・・・いかんいかん、怒りのあまり、ついつい怒鳴り散らしてしまった・・・ みんな、萎縮してしまったかな ? ・・・と、メンバーの顔色を見ると、


 あっけらかん !!

 

なんじゃーーーーーーーー、その 「はいはい、わかりましたよ・・・」 みたいな、うすら笑いはーーーーーーーーーーーーっ ! (T-T)
メンバーAくん 「タカシさん、一言いいですか ? 」
私 「ん ? 」
メンバーAくん 「後で修正すればいいじゃないですかねぇ・・・ ま、“決済”の間違いは恥ずかしいけど、残りはそうでもないかなって・・・ 最悪・・・」
私 「最悪 ? 」
メンバーAくん 「・・・修正しなくても意味わかるし、そのままでもいいかな、と・・・」
にゃ、にゃんだとぉ―――― ! $#дбЭЯ●@Л――――(言葉にならんわ・・・(T-T))

タカシ、座右の銘を書く!

私はプロジェクトルームのホワイトボードにある言葉を書いて、メンバーに次のように告げました。
「1時間後に再度レビューするから、誤字脱字とか、全て修正しておいて ! 1 時間後には、内容だけを議論できるようにしておこう、よろしく ! (ふぅ、落ち着け、落ち着け・・・ 怒鳴ってばかりじゃ、話にならないからな・・・)」
会議室を飛び出た私は、自分の気持ちをおさえて、1時間待つことにしました。1時間後には、全ての誤字脱字が修正されていることを期待して・・・


さて、私がホワイトボードに書いた言葉は何か ? それは、「God is in the details !」 というもの。ドイツ人建築家のミース・ファン・デル・ローエの言葉で、日本語に訳すと 「神は細部に宿る」 となります。「物事の本質は、細部にこそ現れる。だから、細部をおろそかにしてはならない・・・」といった意味でしょうか。私の座右の銘の 1 つです。
もちろん、メンバー A くんの 「後で修正すればいいじゃないか ? 」という意見も、わからんでもない。私個人が作業しているなら、迷わず、そういう方法を採ると思います。しかし、私の経験上、特に若手の作業 (≒成果物) について言えば、「細部(誤字脱字がある等)はボロボロだが、全体としてはまとまっている」 という成果物を目にすることは、まずありません。つまり、「全体がまとまっているものは、細部にも間違いはない」 ということです。細部をおろそかにする作業姿勢は、全体にも波及するということです。


自分の若いころも、同様のことが当てはまったように思います。私は日系の大手銀行に勤めていましたが、銀行というところは、特に細かいことを気にする体質にあったように思います。
「奈良くん、この字、間違ってるぞ ! 」 「は、はぁ・・・(んなもん、どうでもいいじゃねぇか ! )」 
若いころの私は、上司や先輩に細かい指摘を受けるたびに、心の中で反発していました。しかし一方で、反発している間は、一皮剥けなかった。心を入れ替えて、細部にも細心の注意を払うようになって以降、スキルが大きく向上したのです。なぜか ? それは、仕事に対する取り組み姿勢自体が変わったからなのだと思います。当たり前のことですが、誤字脱字をなくすことがスキルを向上させるわけではなく、誤字脱字など細かいことにも注意を払って仕事をするようになるということが、スキル向上につながったということなのでしょう。つまり、プロとしての「気構え」の問題ということです。

最近の若い連中は・・・ ?

私は、「最近の若い連中は・・・」 という言葉が嫌いです。たいていの場合、この文脈に続くのはその若手特有の話ではなく、いつの時代にも共通する話がほとんどだからです。なので、今回の件についても、「最近の若い連中は、細部をおろそかにしやがって、けしからん ! 」と言うつもりは、毛頭ありません。しかし、客観的に見て、最近の若手が細部をおろそかにする傾向が強いという事実は、やはりあるんじゃないか・・・。みなさんも、そう感じませんか ? 


なぜか ? 私はいくつかの理由があると思っています。

【最近の若手が、細部をおろそかにする傾向にある理由】
(1) 取り組み志向として、細部よりも、全体感を重視しているから
(2) 細部を重視しなくても、適当に何とかなる環境で育ってきた (教育を受けてきた) から


一般に、外資系企業 (つまり、欧米人) では、細部はあまり重視されません。実際に、私は外資系企業に転職して以来、細かい部分の間違いを指摘されたことはほとんどありません。また、「God is in the details !」 (神は細部に宿る) という言葉についても、元は英語であるにもかかわらず、外国人の同僚は知りませんでした。
「細部をおろそかにする」 ことの根本は、日本社会全体が欧米流の考えに染まってきたことの結果なのかもしれません。では、どうして外資系企業 (欧米人) は、日本人に比べて、細部を重視しない傾向にあるのか。これは結構、根深い文化的差異が原因のように思います。


「そろそろ、修正終わったかな ? 」 プロジェクトルームに戻る前に、そのことについて、少し考えてみたいと思います。

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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