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タカシの外資系物語

自己責任と日本人-パスポート・センターにて ( その 2 )2009.07.14

タカシ、クレーマーと化す ?

前回の続き) パスポート・センターにて。写真の不備 (人相の問題ではない ! メガネに光が反射して、瞳の一部が見にくくなっている状態) を指摘された私。担当者に、「その写真で申請するかどうか、自己責任で決めてください。ただし、その写真で申請する場合には、備考欄に 『写真不備で申請したことを承諾する』 の一筆を入れること ! 」 と言われ、ブチ切れてしまいました。さて、その後の展開は・・・ ? (詳細は、前回のコラムをご覧ください ! )


私 「・・・パスポートって、 『国民であること』 を 国が認定してくれる身分証明書じゃないの。なんだ、このへんてこりんな運用は ! 」
担当者 「お客様、この運用は国土交通省からの通達に基づいて実施しておりますので、ご意見等ございましたら、国土交通省にお話いただけませんでしょうか ? 」
私 「にゃにぃ ! よーしわかった、国土交通省の担当につないでくれ、直接聞く ! 」
担当者 「そういうサービスは行っておりませんので、奈良様自らご連絡いただけますでしょうか ? 」
私 「にゃ、にゃ、にゃんだとーーーーっ ! 」
担当者 「ふーっ ! そろそろ勘弁していただけませんかね、後ろもつかえておりますんで・・・ じゃ、この写真で申請されるということで、よろしいですね ! 」
にゃんと、その責任者と思しき担当は、私の申請書の備考欄に、『写真不備で申請したことを承諾する』 と書き始めたのです。
私 「ちょ、ちょっと待てやー、おらーーーーーーーー !  ○#$※★Σ?℃@&%ーーー ! 」
 いつの間にか、私の周りは人だかりになっていました。 「どうしたの ? 」 「ほら見てよ、クレイマーが暴れてるわよ ! 」 なんでやーーーーーーーーーーーーーーっ!(T-T)(T-T)(T-T)

 

タカシ、写真館のおばさんと話す

「・・・というわけなんですよ、トホホ・・・」
「そりゃ、ヒドイ目に遭ったわね・・・」


え ? で、結局どうしたのかって ? 撮り直しですよ、撮り直し。パスポート・センターの横にある写真館で、再度、申請写真を撮り直すことにしました。
「弱っ! あれだけ文句言ってたのに、折れたのか ? 」 いやいや、いつまでもゴネてても仕方ないし、そのうち本当の「クレーマー」に仕立て上げられちゃ、困るじゃないですか。ま、私が大人の対応をしたということですよ、フハハハハ ! (かなり屈辱的ではあるが・・・(T-T))


私 「こういう不備って、よくあるんですかね ? 」
写真屋のおばさん 「あるある、何十年も前から、写真の不備はあるわよ」
私 「ふーーん、そうなんだ・・・」
写真屋のおばさん 「でも、備考欄に一筆書け ! っていうのは、去年ぐらいからかしらねぇ・・・ 写真不備って言われた人は、ほとんどが撮り直すのよ、普通は。でも、ときどき時間のない人が、『不備でも何でもいいから、申請する ! 』とか言い出すの。そういう人が、外国でトラブルになって、役所にクレームが来たんじゃないかしらね ? 」
私 「少しでも問題ありそうなら、『ダメ ! 』って言えばいいのに・・・」
写真屋のおばさん 「でも、一律ダメにしちゃうと、『もし、問題なかったら (=申請時に日本人の担当者は NG と言ったが、どこの国でも問題なく入国できたら)、どうするんだ ! 』 って、いう人がいるみたいよ ! 」


・・・にゃるほど、どっちもどっちですねぇ。「クレーマー」の問題については、別の機会にお話しするとして、今回の直接的な原因となった「自己責任」について考えてみたいと思います。さて、私と担当者は、どうして口論になったのでしょうか ?

日本人は、責任を取りたくない ?

私はこう見えても、「自己責任だ!」と言われれば、それに従う覚悟はあるつもりです。外資系に勤めているのも自己責任だと思いますし、仮に来週、会社が倒産しても仕方ない。自分で選んだ会社ですから・・・(もちろん、そんなことになっちゃ、嫌ですよ ! 当たり前ですけど・・・)

 

ですが、パスポートの写真を自己責任で出せというのは、嫌なわけです。なぜか ? 外国への入国時にトラブルが発生すると厄介なことになるので、そのリスクは極力下げておきたいからです。つまり、パスポートに関することについては、一切自己責任を負いたくないわけです。

 

「自分が自己責任を負える (負いたい) のか ? 負えない (負いたくない) のか ? 」 後になって反省すると、私自身が明確ではなかったのは確かです。 「パスポートについて自己責任を負うのなら、この写真でもOKです。取り直す必要なし。負えないのなら、取り直してください・・・」と言われたわけですから、「負えないので、取り直してきます・・・」と言えば、口論せずに済んだわけです。


さて、殊勝にも自ら反省した後で・・・ では、担当者 (または申請のプロセス) には改善点はないのか ? アメリカ人の同僚 Rick に、このエピソードを話した際、彼が真っ先に 「おかしい ! 」 と言ったのは、 「申請書の備考欄に一筆書く」 ということでした。
Rick 「いちいち、何かあるたびに一筆書いてたら、備考欄がいくつあったって、足りやしない。だから日本の処理プロセスは遅いんだよ ! 申請書の裏にでも、 『申請書に書いてあることは全て、自己責任 ! 』 とでも書いておけば、それで OK だろ ? 自己責任って、そういうことじゃないの ? 」
Rick いわく、「そもそも日本人は自己責任という発想に慣れていない」 とのこと。慣れていないのに無理やり適用しようとするから、話がややこしくなるのだそうです。


うーーむ、かなり核心を突かれているような気がしますね。従来、日本においては、かなり上位の特定層でない限り、 「責任を取る」 という発想が希薄です。責任を取らなくてもいい代わりに、ズバ抜けた成功 (≒アメリカン・ドリームのような大成功) もないよ、というのが、日本の考え方の根底にあります。そういう基本的な発想のもとに、急に 「自己責任」 という概念を入れたものですから、混乱しているわけです。


加えて、近年はやりの 「法令順守:コンプライアンス」 の影響も大きい。とにかく、一筆もらっておけば、トラブったときの責任回避ができる、と考えてしまうのです。でも、仮に外国への入国時にトラブったとして、日本国に 「責任回避」 されても困るんですがね・・・


ま、いずれにしても、私にも反省点は多いわけで・・・ 写真館で頭を冷やしたことだし、再申請に行ってきますかね。
写真屋のおばさん 「はい、できたよ ! 」
私 「どうも ! 」
写真屋のおばさん 「今度はうまくいくといいね。もし、その写真でもダメなら、また来ればいいよ。何度でもタダでやり直してあげるからさ ! 」
私 「ありがと ! (泣ける・・・)」
写真屋のおばさん 「どんなことでも、言い方 1 つなんだよね・・・ 同じことを言うんでも、角が立たない言い方ぐらい、いくらでもあるんだけど・・・ 最近の若い人は、ものの言い方が下手だよね・・・」
確かに。今の日本人に一番足りないのは、相手を思いやったコミュニケーション、話し方そのものなのかもしれませんね !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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