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タカシの外資系物語

ボスが Tracking する理由 ( その 1 )2009.02.16

ターゲットを達成せよ !

私は外資系コンサルティング・ファームに所属している「コンサルタント」ですが、コンサルティングを「売る」という行為も行っています。つまり、「セールスパーソン」も兼ねています。年初に営業目標を立て、見込み客や新規開拓を行っているわけです。

 

外資では、必達の営業目標のことを Committed Target と呼んでいます。 Committed というのは、「約束した」 という意味でして、Target を Commit (約束) した瞬間、雨が降ろうがヤリが降ろうが、その目標は達成しなければなりません。達成しない場合には、ボーナスがほとんど出なかったりするというのは、これまでにもお話してきたことと思います (詳細は、『外資における部下の叱り方・叱られ方』 参照のこと)。

 

仮に、私に課された Committed Target が、「 1 億円」 だったとしましょう (現実には、もっともっと多いのですが・・・(T-T)。現実の話をすると気持ちが萎えるので、ここは「 1 億円」とさせてください)。極端な話を言えば、「 1 億円」 を 1 月に達成してしまえば、今年はそれで終わり ! 残りはブラブラ過ごしてもいいわけですが、いまだかつて、そんなラッキーなことはない ! 同僚にも、先輩にも、そんなやつはいない ! つまり、 1 年間死ぬ気で頑張り通して、それでも達成できるかどうかわからんような金額 (巨額)、 1 回ラッキーなことがあったぐらいでは到底達成できない金額 (巨額、しつこい ! )が、 Committed Target となっています。

<BR>普通に考えると、四半期毎に 「 2,500 万円」 稼いで、年間で「 1 億円」達成というのが理想的。ですから、セールスパーソンとしての私は、まずは 1-3 月で 「 2,500 万円」 という目標を置いています。私のボスである Thomas も、同様の視点で私を管理しています。つまり、「タカシは、1-3月において、2,500万円を売り上げることができるか ? 」ということを監視しているわけです。

 

私 「1 st Quarter (1-3月) のプランですが、 A 銀行様の案件で 1,500 万、 B 証券様の案件で 1,000 万を見込んでいます・・・」
Thomas 「ターゲットが 2,500 万なのに、見込みを同じ金額で積んでどうするんじゃ ! 見込みは4 倍以上積め ! 」 「アクションプランがなってない ! 来週などと悠長なことを言ってないで、今日中にアポを取ってこい ! 」 「なにぃー、昨今の金融危機で、お客様がIT投資を控えているだとぉ ?  知るか、そんなもん ! Commit した金額が達成できないなら、クビだ、クビ ! 」

 

上記のようなやり取りは、外資だけでなく、どこの営業部門でも交わされている会話でしょう。ま、外資の場合には、ボスが 「クビだ、クビ ! 」 と言った場合には、本当に解雇されることが結構ありまして、単に 「クビだ、クビ ! 」 を口癖にしている日系の部長さんとは少し違うかもしれません。実際に、私の目の前で、「You’re fired ! (おまえ、クビ ! )」とボスに言われ、解雇された人を何人も見ています。

日系と外資 : Trackingの違い

外資では、上司が部下の営業目標を監視することを、「Tracking (トラッキング)」 と言います。トラッキングの方法は、ボスによって様々。高圧的にやる人 (「アホか、お前は ! クビだぁー !」)、冷静に状況を分析する人 (「交渉が難航している原因を、一緒に分析してみよう ! 」) 等々。外資の場合は日系よりも、後者の割合が多いような気がしますが、外資だって赤鬼のように怒りまくっているボスは結構います。

 

では、外資と日系を比較して、ボスの Tracking における相違点は何でしょう ? 実は、決定的に異なる点がいくつかあります。
まず、失注した (見込んでいた契約が取れなかった) ときの対応が挙げられます。日系なら、こんな感じでしょう。


私 「見込んでいた案件を、ライバル B 社に持っていかれてしまいましたぁーーー(T-T)」
日系ボス 「アホかお前はーーーーっ ! なんで負けたんやーーーーー ! 」 (なぜか、関西弁)
私 「価格で負けたんですわーーーー ! B 社の方が数百万安かったんどすわーー ! 」 (何弁やねん・・・)
日系ボス 「どうしてもっと安く提示しなかったんだ ?! なぜだ、なぜだ・・・」
日系ボスの典型的な対応は、「失注を叱責」し、「失注の理由を問いただす」ことにかなりの時間をかけます。

 

一方、外資のボスはこんな感じ。

 

私 「見込んでいた案件を、ライバル B 社に持っていかれてしまいましたぁーーー(T-T)」
外資ボス 「アホかお前はーーーーっ ! 」 (ここまでは同じ。関西弁を話すことは、ほとんどないが・・・)
外資ボス 「で、どうするんだ ? 」
私 「へ ?  (T-T)(T-T)」
外資ボス 「代わりの 1,000 万、どこから持ってくるんだ、って聞いてるんだよ。お前、 commit したんだろ ? 」

代わりを持ってくれば、良し !

1,000 万の案件を失注したなら、代わりに 1,000 万の案件を持ってくればいい・・・ 外資系の場合、最終的に commit した金額が達成できれば、その過程については、とやかく言われることはありません。日系の場合も、究極的には同じ発想なのでしょうが、外資ボスの 「淡白さ」 には敵わないと思います。日系の鬼上司の下にいた営業パーソンなら、きっと拍子抜けするに違いありません。

 

では、日系ボスの対応はムダなのか ? 私はそうは思いません。失注の理由を問いただすことで、失敗の分析をしています。なので、次回以降の営業活動に効いてくる。叱責を通して、部下の育成をしているわけです。

 

基本的に、外資では、部下の育成は上司の義務・役割ではありません。上司の役割は、「部下を管理し、 Committed Target を達成させること」に尽きます。なので、達成できない部下は、育成されることなく、はずされます。

 

では、育成はだれがやるのか ? それは、中途が多いので、そもそも能力があると見なされているか、ないしは研修やEラーニングで身に付けることになります。外資に転職後、私もかなりの量の営業研修を受けました。が、やはり実戦に勝るものはないようにも思います。日系ボスによる 「 OJT 」 というのは、日本のビジネス社会において、かなりの効果を上げているのではないでしょうかね。

 

さて、次回は Tracking の「頻度」についてお話しましょう。これはかなり日系と異なります。ご期待ください !

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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