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タカシの外資系物語

外資系における 「お客様対応」 とは ? ( その 2 )2008.11.18

だれが、「あなた」を対応するか?

前回の続き) 日系と外資における 「お客様対応」 の違いとは、ズバリ 「お客様を分類して対応する」 ということです。

 

「なーーんだ、そんなの当たり前じゃん。儲かる顧客とそうでない顧客をセグメントに分けて考えるなんざ、マーケティングの基本中の基本じゃないの ? それぐらい、うちの会社でもやってるよ!」 果たして、本当にそうでしょうか ?

 

確かに、多くの日系企業では、顧客を属性別にセグメント化して対応しています。その結果、懇意の客には手厚い対応がされる一方で、いわゆる一見の客は適当に対応されるケースが多く存在します。老舗の飲食店などで、この傾向が顕著ですね。また、一般の企業においても、同様の対応がされています。ポイントカードで、ポイントの多い客が優遇されるのも、その一例でしょう。

 

上記で述べたレベルでは、日系でも外資でも大差はありません。しかし、大きく異なる点があるのです。それは、「だれが対応するか?」 ということです。

 

日系企業でよくありがちなのは、「顧客のセグメント化はできているが、結局は1人の営業パーソンが複数のセグメントを対応している」という状態です。私も日系の銀行員時代に、このような状況に直面しました。古くから付き合いのある「懇意企業」、ときどき取引をしてくれる「普通企業」、そして全く付き合いのない「新規企業」。このように複数のセグメントを1人で相手にしていると、何が起こるでしょうか ?

それは、「懇意企業にほとんどの時間を割いて、空いた時間は普通企業の対応をする。新規企業にはほとんど時間をかけない」 という状態になるのです。

 

「ほとんど時間をかけない」とは言っても、新規企業から問い合わせがあれば返答しなければなりません。しかし、そもそも身のこなし方として時間を割く気がないので、かなり適当な対応になってしまいます。「この人はこれまでほとんど取引がない。今後も大きな取引は見込めそうにない。ならば、その場限りの対応でいいか !」なんていう具合です。

 

前回のコラムで述べた、日系メガバンクの私に対する対応は、まさにこれ! どうせ振込だけしかしない客に対しては、形式的な対応をしておけばいいや・・・ こういう意識が働いたに違いありません。

外資では、「あなた」に応じた担当者が対応する

外資はどうするか ? 外資とて、日系と同じ仕組みにしていたのでは、「懇意ではない顧客は適当に扱う」という状況が生じてしまいます。だから外資では、そもそも対応する「担当者」を分けるのです。

 

多くの外資では、顧客からの問い合わせは、営業パーソンに直接つながりません。顧客からの問い合わせは、まずは「コールセンター」という、電話がいっぱい並んでいる専門部署で、専門の担当者が受け付けます。顧客から問い合わせがあった場合は、コールセンターで内容の分類を行うと同時に、その顧客のセグメントを確認します。私が問い合わせた外資系の銀行の場合、以下のようなオペレーションを実施したはずです。

 

(外資系銀行Bの場合 - [“裏” のオペレーション] 含む)

私 「もしもし、奈良タカシと申しますが、□□銀行の××さんいらっしゃいますか ? 」

担当者B 「奈良タカシさん、いつもお世話になっております。本日はどのようなご用件でしょうか?」 [「奈良タカシ」ね・・・と!(顧客データベースを検索する) あら、口座の残高が 3 万円しかないじゃない!ダメだこりゃ、適当に、時間かけずに済まさなきゃ・・・]

私 「振込の件で、問い合わせの電話を2件いただいていたんですが・・・」
担当者B 「さようでございますか。わざわざご連絡ありがとうございます。お電話いただいて誠に恐縮なんですが、本日の業務は全て終了いたしております・・・」 [また明日、そっちからかけてきてよ、時間ないんだから・・・]

私 「多分、振込相違だと思うんですよ・・・ 取引がどうなっているか、確認いただけないでしょうかねぇ?」

担当者B [全くうるさい人ねぇ・・・] 「申し訳ございません。本日は確認作業もすべて終了しております。もしよろしければ、明日の9時以降に、私どもからお電話差し上げたいと思いますが、いかがでしょうか? 時間をご指定いただければ助かります・・・」 [しょうがないわねぇ・・・ こっちから、かけてやるか・・・]

 

ま、悲しいかな、こんなところでしょう。表面的な会話を比較すると、日系よりも外資の方が顧客を丁寧に扱っているように感じられますが、実はそうでもありません。状況は、どっちもどっち、それほど大差はない。専門の担当者が対応している分だけ、外資の方が洗練された対応なので、何だか丁寧に扱われているように「錯覚」しているだけなのです。

「顧客-支店主義」 をやっつけろ!

最近は、日系企業においてもコールセンターを導入して、顧客からの問い合わせを一元的に受ける仕組みが整い始めています。しかし、外資に比べるとまだまだ不十分な点が多い。例えば、受付だけはコールセンターが行うが、実際の顧客対応は、支社 (支店) の営業パーソンが実施するという形態がほとんどです。前回、私に問い合わせを返した日系のメガバンクも、最初はコールセンターの担当者が私に電話していたようですが、「電話がかからない」ことがわかると、コールセンターの担当者は、私の対応を支店に引き継いだようです。

 

どうして、このような中途半端なことが起こるのか ? それは、日本では「お客様に関しては、支社 (支店) の営業担当者が最後まで責任を持つ」という、「顧客-支店主義」が根強く残っているからだと思います。支店=顧客管理、本社=支店管理 という枠組みでルールが設定されているので、顧客関係の問題は、何が何でも支店で解決するように誘導されるのです。
しかし前述のように、あらゆる顧客を支店が対応していたのでは、営業パーソンは時間がないのも確か。時間がないので、自分にとって重要でない顧客への対応は、いきおい適当になってしまう。適当になるので、新規顧客が増えないし、トラブルも絶えない・・・ という悪循環を招いているのです。

 

一方、外資では、「営業の分業化」が進んでおり、支社は懇意顧客を中心に対応し、新規やトラブル客についてはコールセンターなどの本社部門が責任を持って対応するようなルールを作っています。もちろんこれを実現するためには、支社とコールセンターの引継ぎは十分になされており、その前提となる顧客データベースなどの情報システムも完備されている必要はありますが。

 

また、日系企業において、新規やトラブル顧客の対応が不十分になる理由の 1 つとして、その評価体系が整備されていないことも挙げられます。日系企業の大半は、結局のところ、取引金額などの「数字 (ボリューム) の大きさ」で営業パーソンが評価されるので、新規よりも懇意の顧客に足が向きがちになります。また、トラブル客を鎮めたところで、何も評価されないケースがほとんどですから、真剣に顧客の苦情を受け付けようとしない傾向も顕著です。最近は、クレーム客こそ宝の山だという発想が芽生えてきたので、今後は変わってくるかもしれませんが・・・

 

いずれにしても、お客様対応において、日系が外資よりも遅れているのは確かです。しかし元来、日本人には「おもてなしの心」が備わっているはずです。少し発想を変えることで、その良さが十分に発揮できる体制を整えていく必要があるように思いますが、みなさんの会社はいかがでしょうね ?

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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