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タカシの外資系物語

外資系金融マンの悲哀 ( その 1 )2008.10.28

デリバティブ、破裂 !

「株価最安値更新 ! 」

みなさん、株価がえらいことになっています ! 10/27 時点の日経平均株価は、バブル崩壊後、最安値を更新し、7,162.90 円。つい 2 か月ぐらい前までは、13,000 円近辺にあったわけで、この短期間に、日本企業の時価は半分程度に目減りしたことになります。

 

かく言う私も、小額ながら株式投資を行っており、現状の評価「損」は見るのも無残な結果になっています ( だから、見ないようにしている。泣ける …(T-T))。が、そんなことよりも、日本の経済自体が不景気になることの方が、よほど心配です。コンサルティング業界というのは、不景気なときにもそれなりにビジネスはある ( 企業がコスト削減などを計画する ) のですが、やはり景気がいい方が忙しい。うちの会社でも、プロジェクトの打ち切りなどの噂が聞こえてきて、経営陣はかなり危機感をつのらせています。

 

そもそも今回の騒動、巷では「サブプライム危機」とか、「リーマン・ショック」などと言われていますが、私自身は、これらは 1 つのきっかけや表面的な結果であって、事態の本質ではないと思っています。では、本質は何か ? それは、「デリバティブで膨れ上がったマーケットが破裂した」ことだと考えています。

 

では、「デリバティブ (derivatives)」とは何でしょうか ? これは、「金融派生商品」と訳されます。実は私、銀行員時代には、デリバティブのトレーダーを 2 年ほどやっていましたので、一般の方よりは少しばかり詳しい。簡単な例を使って、ご説明しましょう。

 

A さん 「A さん、申し訳ないんだけど、10,000 円貸してくれないかな ? 」

B さん 「しょうがないなぁ、1 ヵ月後に返してくれよ。はい、10,000 円 ! 」( でも、A さん本当に返してくれるかな … 少し心配だなぁ … )

 

B さん 「C さん、ちょっと相談があるんだけど … 実はさっき、A さんに10,000 円貸したんだけど、返してもらえるかどうか心配で、心配で … なんとか助けてくれないかな ? 」

C さん 「じゃ、こうしよう。僕に 1,000 円払ってくれれば、もし A さんが返してくれなかったとき、僕が A さんの代わりに 10,000 円を肩代わりしてやるよ。でも、仮に A さんがきちんと返済したとしても、1,000 円は僕のものだから、文句言うなよ ! 」

A さん 「わかったよ、1,000 円払うから、よろしくね」

「カジノ」化するマーケット

上記の例は、典型的なデリバティブ取引となっています。まず、A さんは B さんに、10,000 円を借りました。ここまではよくある話でして、デリバティブでもなんでもありません。単なるお金の貸し借り、いわゆる「融資」というやつです。次に、突如として、2 人の貸し借りには全く関係のない C さんが登場します。C さんは、1,000 円払えば、万が一お金を返してもらえなかったときに、A さんの代わりに10,000 円払う約束をします。ここからが、デリバティブとなっています。

 

「C さんは、A さんの借金の保証人じゃないの ? 」 それは違います。確かに、お金を借りる側の担保などが不十分な場合、保証人をつけるケースはあります。上記の場合なら、A さんが C さんに頼んで、自分の借金の保証人になってもらったならば、それに当たります。しかし、上記の場合、A さんと C さんは全く関係がありません。全く関係のない C さんが、A さんと B さんのお金の貸し借りという「実取引」の「派生」として登場しているのです。

 

では、C さんは何のために、A さんと B さんの借金のクビを突っ込んだのか ? それはズバリ、「金儲け」のためです。おそらく C さんは、「1/10 以上の確率で、A さんは B さんに 10,000 円返すことができる」と見込んでいるのです。C さんにしてみれば、上記のような取引を数多くやっておけば、みんなが 1/10 以上の確率で返済してくれるので、結果的に儲かるわけです。

 

さて、賢明なみなさんはもう気付かれていることと思いますが、デリバティブというのは、実際の経済活動を行っている当事者 ( 金を借りた A さんと貸した B さん ) 以外の人 ( C さん ) が勝手に登場して、その経済活動について「賭け」を行っているのです。つまり、「博打 ( ばくち )」なんですな。

 

上記のデリバティブを、CDS(Credit Default Swap) といいます。破綻したリーマン・ブラザースや国有化された AIG という保険会社は、CDS のトップ・プレーヤーでした。もちろん、そもそもデリバティブが開発された当初は、「B さんからリスクを買い取ることで、円滑な経済活動をはかる」ことを目的としていました。しかし実際には、マーケットはすぐに一攫千金を狙った人たちで溢れかえり、一種の「カジノ」と化してしまったのです。

コラムも破綻 ?!

「カジノ」というのは、客が賭けたお金のうち当選した分を、胴元がきちんと支払っていれば成り立ちます。しかし今回の場合、胴元の一部が、「サブプライム」という何とも胡散臭いローン商品に入れ込んでしまい、お金を返せなくなってしまった。買ってもお金が戻ってこないわけですから、カジノにいた人々は大混乱。その胴元の親分格が、リーマンをはじめとするアメリカの投資銀行だったというわけです。

 

専門的にはいろいろとあるので、あまり深く突っ込まないで欲しいのですが、ま、本質はこんなもんです。これが本当のカジノなら、「バカだねぇ … ギャンブルなんかするからだよ … 」で済んだのですが、これを実際の株式や債券のマーケットでやってしまったために、一般企業や大衆を巻き込んだ大混乱となってしまったのです。今回の騒動で、例えばアイスランドなどは、全ての銀行が国有化 ( つまり、民間の銀行がなくなってしまった ! ) されたりしているわけで、国際経済の観点からも、かなり深刻な事態を招いています。

 

「なーんだ、タカシもそれなりにまともな話が書けるんじゃないか … 」いや、だから、これでも元銀行員で、バリバリのトレーダーだったんですから …(汗) 

 

さて、かなり前置きが長くなってしまいました。今回のコラムのテーマは、「外資系金融マンの悲哀」です。以前から何度か話していますが、一口に「外資系」といっても、その中身は千差万別です。収入面から見ると、外資系金融に勤める人の年収は、他の業種に比べて、ズバ抜けて高い ! 「外資は高給取り」という錯覚は、実は、外資系金融のみを対象としているといっても過言ではありません ( つまり、外資金融以外の外資系企業の給料は、それほど大したことはなかったりします。うちの会社もしかり … (T-T))。

 

外資系金融に勤める人の給料はなぜ高いのか ? を説明するためには、今回のマーケット混乱の話を引き合いに出すのがわかりやすいので、頭だしとしてお話しました。では、本題である外資系金融マンの実態とは ? 今回の騒動で、彼らはどうなってしまうのか ? それは … って、前置きが長すぎて、紙面がなくなってしもーたわーーーーーーー(T-T) 今回のテーマについて、まだ何も書いとらんやないかーーーーーーーーーーーい(T-T)(T-T) ハァハァハァ …  ということで、本題は次回のお楽しみということで。

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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