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タカシの外資系物語

外資における部下の叱り方・叱られ方 ( その 2 )2008.07.22

Thomas をガッカリさせたタカシ

前回の続き ) 定例の営業会議において、チームの営業目標が未達成だったために、上司の Thomas から叱責を受けた私。「至急、改善レポートを提出すること ! 」という指示を受けてショげていました ( トホホ … (T-T))。と、会議が終わって、Thomas が私のところにやってきて一言。

 

Thomas 「今日の会議、俺はお前にガッカリしたぞ … 」

私 「へ ? (T-T)」

Thomas 「数字もそうだが、それよりも、お前の態度にガッカリした … 」

? 営業成績で怒られた上に、違う理由でも怒られているの ?! う、うそーん !! (T-T)

 

私 「態度、… って ? 」

Thomas 「そう、態度だ。そもそも、俺がどうして、全マネージャーの前で営業成績を伝えているか、わかっているか ? 」

?? 今さら何言うとんねん、このおっさん。みんなの前で未達成の成績を発表されたら、「頑張らなきゃな … 」って、思うだろ ? マネージャーにそれを理解させるためじゃないの ?

 

Thomas 「まだわからんのか ! Don’t disappoint me! ( さらに、ガッカリした … )」

??? なんじゃ、こいつ ! どないせぇ、ちゅうんじゃーーーーーーー !(T-T)(T-T)

 

ちなみに、Disappoint という単語、辞書を引くと、「~を落胆させる、がっかりさせる」と出ています ( 他動詞なので注意ですね。日本人は、自動詞 / 他動詞の区別が苦手ですから。ま、今はそんなこと、どーでもいい ! )。この Disappoint という言葉。日本語の語感以上に、英語の世界では「すんごく、がっかりした … 」というニュアンスが強い。また、「期待を裏切った」という意味もあり、外国人上司にこの言葉を言わせてしまうと、かなりヤバイ状況なんです ! (T-T)

 

Thomas は、何やらブツブツ話していました。この人、興奮すると母国語であるドイツ語が混ざるので、何言っているのか、さっぱりわからなくなるのですが … しばらく聞いていると、彼の「本意」が何となくわかってきたのです。

 

私 「Thomas、ちょっと時間をくれないかな ? 他のマネージャーと話してみるからさ … 」

Thomas 「OK! 任せたぞ ! 」

さて、Thomas が私に伝えたかったこととは、何なのでしょうか ?

Thomas がタカシに期待する「役割」とは ?

まず、上司の Thomas としては、「成績が悪かったからといって、責めているわけではない」と言いたいようです。もちろん、成績が悪いにもかかわらず、のほほーんとされていては困るのですが。彼が言いたいのは、「だれも、目標を下回ろうと思って仕事をしているわけではない。しかし、結果として下回ったということは、クライアントへの説明が悪いのか、スタッフのスキルが足りないのか ( または、ミスマッチなのか )、そもそも提案したクライアントが的外れの先だったのか … 何らかの問題があるはずだろう。だったら、それを解決するための知恵を出し合わなければ、会議などやっても意味がない」ということです。

 

一方で、彼はある意味で、半ば諦めている感もあって、「日本人というのは、建設的な議論をその場で ( 即興で ) やるのは不得意なので、仕方なく、レポートを書かせるようにしている」とも言っています。「しかし、私が本当にやりたいのは、チーム全体が、課題を解決する方向に舵を切ってくれるような環境を作っているのだ」 …

 

Thomas が私に期待しているのは、みんなが沈んだ状態になっている雰囲気の中で、みんなを叱咤激励し、鼓舞し、盛り上げる (cheer up) 役割を担ってほしいということのようです。

 

Thomas は、なぜ私にこのような役割を期待しているのでしょうか ? それは、「タカシは目標を達成したときは、すごく積極的 (aggressive) に議論をするから」ということらしい。うーーむ、にゃるほど。そういうことだったのか … え ? どういうことなのか、さっぱりわからないって ? つまり、こういうことです。

叱られたときこそ、前を向け !

Thomas に言わせると、一般的に日本人というのは、他人の成績に関して口出しするようなことはしない傾向がある。彼としては、それも不満なのですが、ま、それは百歩譲って許したとしよう。でも、中には、他人の成績にまで口を出す奴もいる (= これが、私だと言っています。日本人的には、「おせっかい」ということか ? )。こういう奴がいないと、会議は盛り上がらないし、そもそも開催している意味がないので、Thomas としては私の「おせっかい」は welcome なんですね。

 

しかし、私のような「おせっかい」役も、いざ自分の成績が悪い場合には、途端に黙ってしまう。自分の成績が良かろうが、悪かろうが、「おせっかい」の役割は重要なのだから、その使命を果たして欲しい … と言っているわけです。

 

確かに、私は自分の成績が目標を達成しているときは、非常に「うるさい」のです。こんな風に言うと、「タカシというのは、なんて嫌味なやつなんだ … 」と思われるかもしれませんし、実際に、数名のマネージャーからは疎まれているのも事実。しかし、「そんな提案じゃ売れない」「部下にもっとスキルをつけてもらわなきゃ、ダメ」「そもそも、そんなクライアントにその提案を持っていくのは的外れ」 … などのコメントは、実際に現場にいる人間にしかわからないことなのです。だから、私は目標が達成できなかったマネージャーに対して、非常に厳しいコメントをわざと浴びせ、組織を活性化しようとしています。計算ずくなんですね。

 

しかし、私の良くない点は、自分の成績が良くなかったときには、何も言わないことです。自分の成績が良かったときだけガミガミと言う一方で、悪かったときには何も言わない。本当に必要なことなら、自分の成績にかかわらず、常にガミガミ言って、嫌な役回りを演じてくれよ、というのが、Thomas のメッセージだったのです。

 

とかく、日本人というのは、自分の成績に応じて態度を変えやすい。「成績のいいときは文句も言いやすいが、成績が悪いと、文句を言う資格なんてないから … 」これが、一般的な日本人の心情です。この気持ちも、非常によくわかる。しかし、ことビジネスにおいては、そんな遠慮はしない方がいい。叱られてショげるのではなく、叱られたからこそ、自分自身を叱り、他人も叱るべきだということ … うーむ、言うは易しですが、これを実行するのはかなり難しいことではありますね。

 

ま、少なくとも、叱られたからといって、うつむいて泣いていても、何も始まりません。私は Thomas の意図を汲んで、マネージャーを集めて、対策会議を開くことにしました。そうそう、どうせ私は「おせっかい」で、「嫌味」な奴なんですよーだ ! ならば、その役割を全うしてやろうじゃないですかぁ ! 幸い、私の成績は、悪かったとはいえ、他のマネージャーよりは良かったんで … って、この考えがダメなんですってば !

 

みなさんも、叱られたときこそ前を向いて、叱り返してやりましょう。え ? そんなことしたら、みんなに嫌われるって ? 嫌われて結構、それで組織全体の成績が上がれば、非常に意味があることなんですから、ね ?

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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