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タカシの外資系物語

Intentional ( 恣意的 ) な外資 ( その 2 )2008.02.12

目標値が偏っている理由

前回の続き ) ボスの Thomas から、今年の営業ターゲット ( 目標 ) を告げられるミーティングにおいて、他のマネージャーよりも多くの目標数値を設定されたタカシ。この目標をクリアしなければ、給料の大幅ダウンが見込まれます。そもそも、他のマネージャーと年俸が大きく違わないにもかかわらず、どうしてこのように偏った目標値を設定されてしまったのでしょうか ?

 

Thomas 「今年のターゲットは、マネージャー A = 5.5、B = 4.7、タカシ = 6.2、 C = 3.6 … 」

マネージャー A 「な、なんで、マネージャー間でこんなにも差があるんだよ ? 一体、どんなロジックで決めたんだよ ? 」

Thomas 「ロジック ? そんなもの … 特に、ない。The target is set always intentionally! ( ターゲットというのは、常に恣意的に決まるもんだ )」

 

確かに。 Thomas の言うとおり、目標値をロジカルに決めていたのでは、いつまでたっても決まりません。Thomas にしてみれば、自分が与えられた目標値である「 20.0 」が達成できればそれでいいわけですから、実際には、4 人が満遍なく「 5.0 」でもいいわけです。

 

しかし、Thomas はそうはしなかった。なぜか。それは、この目標値をマネージャーに宣言することこそ、目標達成を実現する近道だと、Thomas が考えたからに他なりません。私に過大な目標を設定して、ストレッチ ( 実力以上の力を出すこと ) させようとしているのか、マネージャー C にわざと少ない数値を設定して、彼のハートに火をつけようとしているのか、私には Thomas の真意はわかりません。ただ、Thomas は自分の意思を数字に込めてアナウンスしたわけで、その行為自体については評価できるのではないでしょうかね。

 

とかく、日系企業の経営者は、「みんな仲良くおんなじ数字」を設定することで、達成できなかったときの責任を全員に負わせます。高度成長期には、これでも良かったのでしょう。結局は、目標は達成できますから。しかし、経済の成長が鈍化・成熟化してくると、できた人 ( 部門・分野・製品等 ) とできない人を明確にしなければ、ズルズルと悪い方向に行ってしまいます。そういう意味では、Thomas は外資においては、経営陣としてごく普通のオペレーションをしているにすぎません。

 

実は、外資にはもっと過激な目標値を設定する人もいます。私の前職時代のこと、今回の例で言うと、「マネージャー A = 20.0、B = 0、タカシ = 0、C = 0 … A 以外のマネージャーは全員、A のサポートをすること ! 」 という目標設定をしたボスがいました。で、結果はどうだったか ? マネージャー A はプレッシャーに押しつぶされ、本来の実力が発揮できず、他のマネージャーもやる気をなくして A のサポートをしようとはしませんでした ( その当時、私は、マネージャー格ではなかったのですが … )。結果、ボロボロ。ま、極端にすればいいってもんでもない、ということです。

「数字」 は 「数字」

さて、外資の目標設定が Intentional ( 恣意的 ) である理由については、だいたいご理解いただけたと思います。残る問題は、「ほとんど同じ年俸なのに、異なる目標値が設定されるのは不公平ではないのか ? 」ということです。

 

もちろん、数字はあくまでも数字でしかありません。それほど苦労しなくても稼げる数字もあれば、非常に難しい分野を新規開拓しないと獲得できない数字もあります。なので、本来なら「数字」は、その「内容」を加味して設定されるべきなのです。

 

しかし、外資においては、「数字」は「数字」であって、その内容はほとんど加味されません。社会一般と会社のルールにのっとってさえいれば、多くの数字を稼いだ人が勝ちなのです ( このことについては、『数字は人格 !?』または、拙著 『>外資流!「タカシの外資系物語」』 ( あさ出版 ) に詳しく書いてありますのでご参照ください)。

 

つまり、目標を達成するという意味では、やはり数字が大きい方が不利なわけです。

 

Thomas 「Takashi-do you agree? ( タカシ、この数値で異論はないな ? )」

私 「Yes, I agree ( ああ、これでいいよ )」
… って、同意してしもたやないですかぁーーーーーー。いいのか、タカシ !?

目標値をクリアして、出世せよ !

では、目標値の大小は、何に影響するのでしょうか ? それはズバリ、「Promotion ( 昇進 ) 」です。今回のケースでいうと、他のマネージャーより多くの目標を設定された A と私は、今後、昇進する可能性がより高いということがいえます。

 

外資の昇進というのは、大きく 2 種類ありまして、1 つは「何もしなくても昇進する人」で、例えば本社採用の MBA 持ちのエリートの場合は、目標が達成できようができまいが、トントン拍子で出世してきます ( こういう人は、そもそも目標が設定されるような役割には就かないことの方が多いですが … )。

 

残りは、「過酷な目標を設定されても、それをクリアしていく人」です。例えば、X 年度に「5.0」の目標を設定されて、「6.0」の実績を上げるとします。実は、これでは昇進はしません。翌 X+1 年度、今度は「6.0」の目標を設定されて、「7.0」の実績を上げたとします。そうすれば、その人は昇進の有力候補となります。

 

つまり Thomas は、前年度に目標を上回る実績を上げた A と私を、来年度の昇進候補として見ている、とマネージャー全員の前で宣言しているわけです。そうなると、A と私も後に引くわけにはいきません。ブツブツ文句を言いながらも、Thomas の Intentional ( 恣意的 ) な目標設定の裏で、「しめしめ、今年頑張れば出世できるぞ … 」 と、ほくそ笑んでいたりするわけです。

 

出世かボーナス大幅ダウンか … あまりにも厳しい二者択一なのですが、ま、これも外資に勤める者の「宿命」です。愛犬ゴルゴのエサのグレードを落とさないためにも、頑張るしかありません。

 

「外資は Intentional ( 恣意的 )…」 確かにそうです。それを理解して波に乗るか、飲まれるか … 今年も過酷な 1 年になりそうです … (T-T)(T-T)(T-T)トホホ

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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