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タカシの外資系物語

「ギブ・アンド・テイク」 の違い ( その 2 )2008.01.29

アメリカ人と日本人の傾向とは ?

( 前回の続き ) 米国事例を伝え、日本の事例を勉強するという目的で、米国本社から日本支社に派遣されたリック。しかし、ペアを組んだカズヤからは、「リックは話を聞いてばかりで、何も教えてくれない … 」と困っています。さて、リックは「ギブ・アンド・テイク」について、どのように考えているのでしょうか。

 
リックとの会話 ( 前回のコラム参照のこと ) の中から、私はあることに気付きました。以下でご説明しましょう。

 

【会話 1】
私 「リック、日本の事例はどうだった ? 参考になったかな ? 」

リック 「ああ、すごく参考になったよ。初日から、あんなに詳細なケーススタディを話してくれて、本当に感謝してる。ありがとう ! 」

この会話からわかることは、カズヤが話した日本の事例は、リックにとっては予想外に詳細なものだったということです。リックの口ぶりから、「初日から、こんなに詳細に話してくれなくてもいいのに … 」といったニュアンスが含まれているように思われます。「ギブ・アンド・テイク」の観点からすると、ポイント ( 1 ) 「日本人は最初からギブし過ぎる。アメリカ人は、様子を伺いながら段階的にギブする」 という言い方ができるでしょう。

 

【会話 2】
私 「で、さ … リックから話してもらったアメリカの最新事例なんだけど … もうちょっと聞かせてもらえないかな ? 」

リック 「何を ? 」

私 「いや、だから事例を … 」

リック 「事例の中の “何” を知りたいの ? 」

この会話からわかることは明確でして、それはポイント ( 2 ) 「アメリカ人は、( ギブする場合でも ) 要求されたことしかギブしない。日本人は、相手が要求しようがしまいが関係なく、持っているほぼ全てをギブする」 ということではないかと思います。

様子を伺いながら「ギブ」するアメリカ人

ポイン ト ( 1 ) についていうと、一般に、アメリカ人というのは、当初は相手の様子を伺う傾向が強いように思います。相手を信用していないわけではないのですが、本当にコイツと話をしていいのか、ということを慎重に見極めているようなイメージです。

 

「日本人の方が、その傾向が強いように思うけど … 」 確かに、印象としてはそうですね。しかし、私の経験では、日本人というのは、同じ会社に所属しているというだけで相手を信用し、この仕事に適した人材かどうか、自分が話をするに値する人材かどうか … というような見極めはほとんどしない傾向があります。また今回の場合のように、「アメリカ本社から派遣された ( =本社にいるバリバリの ) 社員」というだけで、「すごく頭のキレるやつで、事例もたくさん知っているはず … 負けてはならない ! 」という印象を持ってしまうため、最初から100% フル回転で対応するわけです。

 

一方で、アメリカ人はこの相手が自分と話をするに値するか否かについて、かなり時間をかけて材料を集め、判断しているのです。また、初対面の人を警戒する理由の 1 つとして、「すぐ辞めるかもしれない … 」という意識もあるようです。つまり、必要な情報だけ入手して、すぐ転職するんじゃないか、という心配。これについては、私も過去に、苦い経験をしています。NY でプロジェクトをやっていた際、中途のアメリカ人が同じチームに入ったので、それまでのプロジェクト経緯を詳細に説明した途端、その翌日に転職されてしまったことがあります。

 

ボス 「Competitor( 競合先 ) に転職されたら、どないするんじゃい ! この、ドあほーーーっ !( 怒 )」

私 「 1 週間で辞めるなんて、思ってなかったんでしゅ …(T-T)」

なんてこともありえるのです。

小出しに「ギブ」するアメリカ人

ポイント ( 2 ) については、明らかに日米の考え方の違いだと思います。一般に、アメリカ人というのは、最小限のギブで最大限のテイクを得ようとします。要は、相手が納得すればいいわけですから、小出しにチョロチョロと出して、相手が満足しているかどうかを、頻繁に確認しようとします。

 

一方、日本人というのは、とにかく知っていることの全てを、相手に伝えようとしがちです。「せっかくアメリカから来てくれたんだから、120% を伝えないと、“バチ” があたる … 」とばかりに、です。“バチ” って、あんた … そんなもん、あたらんって …

 

この考え方は、日本人の「手取り足取り教える文化」にも、色濃く根付いています。日本人というのは、「教えてくれ ! 」と言われたら、あたかも自分のコピーを作るかのごとく、自分が持っているものすべてを教えようとするのです。例えば、機械の使い方なら、マニュアルに書いてあるような基本機能はもちろんのこと、自分が経験として知っているコツや機械の弱点なども含めて、相手に教えるのです。実は、この精神こそが、モノ作り大国としての日本の基礎となっているようにも思えます。

 

結局のところ、今回の話は、そもそもアプローチの違うリックとカズヤが、誤解を持ったままコミュニケーションしたことに原因があります。「アメリカ人のギブ・アンド・テイクというのは、こういうもんだ … 」ということを理解していれば、ま、なんてことはない話といえます。

 

ここで 1 つ疑問がわくと思います。「最初にドバッと全量をギブする日本人」 と 「相手の様子を伺いながら、小出しにギブするアメリカ人」 さて、最終的にギブする量は、日米とも同じなのでしょうか ? つまりアメリカ人も、最後には、日本人と同じだけギブしてくれるのでしょうか ?

 

これについて私の意見を述べると、仮に同じケーススタディを相手に教えた場合、伝える情報量は、日本人の方が多いように思います。それは前述の通り、日本人の場合は、伝えるべき「事実」に加えて、「コツ (Tips)」のようなものも含んでギブする傾向があるからです。「コツ」まで伝えることで、「ね、このコツ、すごいでしょ ? 私の考えに同意してくれるでしょ ? 」とばかりに、相手も自分と同じ考えであることを求めたがるのです。一方で、アメリカ人というのは事実だけを伝え、その事実をどのように捉えるかは聞き手の勝手、というスタンスをとります。よって、日本人よりも情報量そのものが少ないように思います。

 

同じ「ギブ・アンド・テイク」なのに、なんか日本人の方が損してるよな … ま、それはそれでいいじゃないですか。重要なことは、アメリカ側からも、十分な情報を引き出すことです。そのために重要なことは、相手の「小出し」攻撃に屈して、すぐに「OK」と言ってしまわないことです。相手が「助けてくれー、もう話すことありましぇーーん(T-T)」と言うぐらい、「これについて、もっと教えてくれ。もっと、もっと ! 」 と言い続けて、相手の情報を出し尽くすようなアプローチが必要だということです。

 

ということで、私もリックにしつこく付きまとうことにしました。

 

リック 「事例の中の “何” を知りたいの ? 」

私 「その事例では、顧客満足度はどの程度向上したの ? 」「コストは下がったの ? 」「スタッフのスキルは ? 」

リック 「そこまでのことは、俺は知らないな … 」

私 「じゃ、アメリカにいる同僚に聞いてよ ! 」

突然の「 ? 」攻撃に、リックは一瞬たじろいていましたが、それなりのことは教えてくれるようです。リック、今度はそっちの番なんだから、よろしくね ! 今晩、お寿司でも連れてってやっからさ !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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