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タカシの外資系物語

A 子説得作戦 ( その 2 )… 経験を糧に独自のキャリアを築く2007.09.11

タカシの職務経歴に無駄はないか ?

前回の続き ) 経営戦略コンサルタントを目指している A 子さん。業務プロセスや IT 系のプロジェクトばかりに関与させられ、「今やっている仕事は、全て無駄です ! 」と文句を言っています。


私はそんな A 子さんに対して、「どんなにくだらないと思える仕事だって、無駄なものは 1 つもないんですよ … 」とアドバイスしました。今回のコラムでは、自身が目指すキャリアと現状の仕事との間の「ギャップ」について、どのように考えるべきかお話しましょう。


本題に入る前に、まずは私がこれまでやってきた主な仕事を見てみましょう。 

( 1 ) 大学卒業後、日本の大手銀行に入社し、システム部門に配属 ( 海外業務担当 ) 
( 2 ) システム部からディーリング部門へ異動 
( 3 ) 外資系銀行へ出向 
( 4 ) 銀行を退職し、外資コンサルティング会社 A へ転職 
( 5 ) 外資コンサルA社から同業 B 社に転職 ~ 現在に至る


銀行員としての業務経験、システム開発の経験、外資系金融機関への出向、そしてコンサル経験という具合に、確かにこの職務経歴を見る限りにおいては、「外資系コンサルにおいて、金融機関向けに IT コンサルタントをやる」という現在にキャリアに対して、無駄なものは 1 つもなかったように見えます。しかし実際には、そうそううまく事が運んだわけではないのです。

銀行員なのに、泥棒かスパイ ?

例えば、 ( 1 ) の銀行システム部時代。私はシステム部に 5 年間在籍したのですが、いわゆる SE としてシステム開発に従事できたのは、たった 2 年でした。残りの 3 年は何をしていたかというと、ハードウェアのメンテナンスをしていました。具体的には、海外部門への PC の納入や工事業者の調整、故障した機器の修理とかをやっていたのです。


当時、私がいた銀行の海外部門では、 IBM 系の「DOS-V 機」 ( この響き。な、なつかしい …(T-T)) とアップル社の「マッキントッシュ」を併用していました。「DOS-V 機」は国内部門でも使っていたので、メンテナンスもしっかりした専用部隊がいましたから、それほど問題にはなりません。しかし、マックは海外部門しか使っていなかったので、機器の手当てから修理まで、私が一手に引き受けなければなりませんでした ( なぜ海外部門がマックを使っていたかというと、当時は、マックの方が英文のワープロがきれいに作れたんです … それだけの理由で、海外部門ではマックユーザーがはびこっていたわけです )。


また、工事業者の調整では、「調整作業」ではなく、実際には「工事そのもの」をやっていたこともあります。銀行のディーリング部門には、多種多様なシステム機器があり、床下にはその接続ケーブルが複雑に配置されているのですが、どれがどの機器につながっていて、どんな業務に影響があるかを理解しているのが私しかいなかったものですから、工事のたびに床下に潜って、業者の人を誘導しなければなりませんでした。工事のたびにスーツがボロボロになるので、「こりゃたまらん … 」と思った私は、会社にジャージを置いて、必要があればジャージに着替えて床下に潜っていました。


そんなある日のこと、いつものように私が床下に潜ってケーブルを確認していると、ちょうど私が潜った床の上あたりで、えらいさん連中の緊急会議が始まったのです。


私 「( や、やべ ! 早く出なきゃ … )」


床下への入り口を探そうとした私は愕然としました。「地上」にいるだれかが、私が潜り込んだ際にはがした「入り口」の床の板を元に戻してしまったらしく、私は入り口を見失ってしまったのです。


「入り口がわからんわーーー(T-T)」


そうこうしているうちに、地上で会議をしているえらいさんの一人が、床下にいる私の物音を聞き、大騒ぎしているではありませんか !


えらいさん A 「おいっ、床下にだれかいるぞ ! 」


えらいさん B 「ネズミじゃないの ? 」


えらいさん A 「いや、人間ぐらいの大きさがあるぞ。もしかして、泥棒かスパイじゃないのか ? 」


えらいさん B 「そんな、バカな … 」


私 「( で、出れんわーーー(T-T))」


結局出るに出られず、会議が終わるまで 1 時間ほど、床下で息を潜めていたことがあります ( 涙 … )。床下で息を潜めながら、私は思ったものです。「華やかな金融マンを夢見て銀行に入ったのに、俺って何してんだろ … トホホ … (T-T)」

無駄を個性に変えろ !

さて、思い出すと涙なしには語れない話ですが、たとえこんな悲惨な経験でも、私は無駄だったとは思っていません。アップル社との間で、マック購入の担当をすることで、 IT ベンダー ( メーカー ) の仕事のやり方を覚えました。また、工事業者の調整をやることによって、銀行における IT 予算の決め方やシステム関連工事の段取りを覚えることができたのです。


このような経験は、銀行員として銀行業務をかっこよくやるよりも、または SE としてシステムの要件を机上で詰めるよりも、私が金融 IT コンサルタントとしてやっていく上では、貴重な経験だったように思います ( ま、床下に潜る必要があったとは思えんが … )。


また、私はこれらの経験を通じて、他のだれとも異なる独自の「金融 IT コンサルタント」像を描き、実現することができたような気がします。見た目にかっこいい経験しか知らない人の話すことは、一般的に薄っぺらいものです。一方で、私はクライアントから「よくも、そんな末端の作業を理解していますね … タカシさんは、教科書通りのことしか言わないコンサルさんとは一味違いますよね ! 」と言われたりします。 IT 分野において、人が嫌がる仕事を経験してきたからこそ、独自のユニークなキャリアが構築できたように思えてならないのです。


「戦略コンサルを目指すキャリアにおいて、末端の業務コンサルは無駄だ … 」という A 子さん、あなたが言う「戦略コンサル」とは、一体どのようなものなのでしょうか ? もし、メディアによく出ている著名なコンサルをイメージし、その人のキャリアをそっくりそのまま辿ろうとしているのなら、悪いことは言わない、やめた方がいいです。その著名なコンサルだって、人には言えないような末端の仕事を積み重ねて、今の地位を勝ち得たはずです。その人のかっこいい部分だけをマネしても、その人のようにはなれません。


また、一見無駄に思える仕事を、自分の血とし、肉としていかなければ、自分独自のキャリアなど築くことはできません。前回のコラムでも述べたように、経営戦略を実践するためには、末端の業務を地道に改善していかなければならない部分が多々あります。つまり、両者は密接に関連しているわけで、決して無駄ではないのです。自分なりの業務コンサル経験を積むことで、 A 子さんならではの戦略コンサル像を築いていく柔軟性を持つ必要があると思うのですが、いかがでしょうかね ? …


「… と思うんだけど、どうかな ? 」


私は、自分の経験と思うところを A 子さんに話し、説得してみました。


A子 「ちょっと考えさせてください … 」



あれから 1 ヶ月、 A 子さんは、以前よりも積極的に業務コンサルプロジェクトに取り組んでいるようです。ま、ひとまず、良かった、良かった。


みなさんの中で、「今の仕事、つまんないし、意味ないし … 」と思っている方がいたら、是非、過去を思い返してみてください。みなさんが思うほど、無駄な仕事ってなかったと思うのですが …、いかがでしょうか ?

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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