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タカシの外資系物語

だれが「おサル」を背負うのか ? ( その 2 )2006.12.05

マネージャーの仕事と「おサルさん」

( 前回の続き ) さて、部下から厄介な仕事である「おサルさん」を背負わされたことによって、今週も残業確定となった私。このままでは、自分の仕事が全くできません。今週は、「おサルさん」をどのように退治すればいいのかについて考えてみたいと思います。


その前に、そもそも「マネージャー ( 上司 ) の仕事とは何か ? 」について考えてみましょう。私なりにマネージャーの仕事をまとめてみると、以下の 3 点になります。


・部下が働きやすい環境を作ること


・部下を正当に評価し、育成すること


・新しい仕事を開拓すること


私はこれら 3 点のうち、上の 2 つがより重要だと思っています。なので、「自分の仕事がしたい」というのは、「部下のために仕事がしたい」と言い換えることも可能です。


では次に、「部下のための仕事とは何か ? 」について考えてみます。私は数名の部下から、厄介な仕事 ( =おサルさん ) を引き受けました。その結果、私の部下の負担は減り、ある意味気持ちよく仕事ができるようになったわけですから、それはそれで良かったのではないかという考え方もできます。しかし、本当にそれで良かったのでしょうか ?


部下から、「おサルさん」を引き継ぐということは、その厄介な仕事を丸ごと肩代わりすることを意味します。そうすることで部下は喜ぶし、上司の私も何となく部下のためになったような気になって満足するのですが、これは単なるボランティアであって、マネージャーの仕事ではありません。マネージャーの仕事とは、「おサルさん」は部下に残したまま、部下自身にその世話をさせることです。そして、そのことを通じて、部下を育成していかなければ、部下はいつまでたっても伸びません。


では、部下が「おサルさん」を引き渡そうとしたとき、常にそれを拒絶していればいいのでしょうか ? 実は、そうではありません。例えば、部下が自分の能力以上の「おサルさん」を飼い始めた場合には、マネージャーはその一部を取り除いてやるか、一時的に預かってやるような措置も必要となります。

「おサルさん」対処法

前回のコラムでご紹介した論文 『 Management Time : Who’s Got the Monkey?』 (by William Oncken Jr. & Donald L Wass ,Harvard Business Review 1999/11-12) には、マネージャーは部下の「おサルさん」にどのように対処すればいいのか ? ということについて、いくつかのヒントが載っています。それを私なりにまとめてみると、次のようになります。


【「おサルさん」対処の大原則】

部下の「おサルさん」は、その場で抹殺するか、養うか、のどちらかにすること


部下が最も困るのは、上司に「おサルさん」を押し付けた際に、何の指示もなく、逆に押し返されることでしょう。つまり、上司は部下の「おサルさん」を発見した際には、それをどうすべきか、その場で的確に指示してやることが重要だということです。 
  
では次に、「おサルさん」を養うと決めた場合の留意点を挙げてみましょう。


【「おサルさん」を養う際のコツ】


1 ) 「おサルさん」の頭数は、マネージャー自身が管理できる範囲内にとどめる


マネージャーの仕事は、どれが必要で、どれが必要ないのか見極めるとともに、必要なものの中でも優先順位をつけて対処するようにアドバイスすることが重要です。マネージャーが一緒になって、大量の「おサルさん」を飼い出してしまうと、収拾がつかなくなってしまいます。


2 ) 「おサルさん」への餌やりは、部下とのアポイントによってのみ行なう。マネージャー自身が「おサルさん」を探し出して、餌を与える必要はない。


部下が「おサルさん」を押し付けてくるのは、部下のキャパシティを超えたからに他なりません。逆に言うと、部下のキャパシティを超えていない段階では、「おサルさん」の対処は部下に任せておけばいいのです。


3 ) 「おサルさん」への餌やりは、対面か電話で行なう。電子メールで餌をやってはいけない。


なぜ、電子メールで餌をやってはいけないのでしょうか。それは、電子メールを使うと、マネージャーが直接、「おサルさん」に餌をやってしまうことになるからです。重要なことは、部下がいかにして「おサルさん」に対処するかということですから、打ち手は常に部下である必要があります。そのためには、マネージャーは部下が餌をやる場面に同席はするものの、マネージャー自らが餌をやってはいけないのです。


4 ) 「おサルさん」の餌やり時間を決めておく。また、どの「おサルさん」に優先して餌をやるかも決めておく。


特定の「おサルさん」ばかりに時間を取られていては、他の「おサルさん」が養えません。このあたりの優先順位の付け方というのが、仕事を行なっていく上での重要なスキルになるので、マネージャーは辛抱強く、部下の判断を待つ必要があります。「えーーい、面倒だ ! オレが決めてやる ! 」とやってしまっては、部下は育ちません。 
  
英語の「Monkey Business」とは、「くだらない仕事」「いかがわしい仕事」など、あまりいい意味では使われません。ここで述べた「おサルさん」も、なければそれにこしたことはないでしょう。しかし、仕事をする上で、全ての「おサルさん」を完全に抹殺することは不可能です。また、人は「おサルさん」への対処法をあれやこれやと考えて、工夫していく中で、スキルを身につけていくのも事実でしょう。


D くん 「タカシさん、実は相談がありまして … (T-T)」


さてさて、またもや「おサルさん」登場。私はマネージャーとして、飼育係 D くんの手助けをしたいと思います … ウキッキー ! おっと、いきなり飛びついてきたな、このおサル ! こいつは D くんに返してと …


私 「どした ? 話してみな … 」

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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