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タカシの外資系物語

「おめでとう ! 」 研修参加が決定 - 待っているものは … ? ( その 2 )2006.08.01

会話の「主導権」を取れ

( 前回の続き ) ボスの Thomas にはめられて ( ? )、「Deal Maker Program」という大規模案件を獲得するためのセールス・トレーニングに参加することになったタカシ。第 1 回目のトレーニング地である中国に到着し、会場のホテルに向かうバスの中、とある中国人の女性から声を掛けられました。


女性 「You... from Japan?  ○○consulting?」


タカシ 「Yes」


女性 「Oh! Congratulations! welcome to “Deal Maker program”. I’m Elisa, from ○○consulting training section, China!」


今回、中国でのトレーニングを仕切っている Elisa でした。事前に何度かメールのやり取りをしていたので、名前だけは知っていました。まさか、バスの中で会うとは ・・・


私 「Yeah, Nice to meet you! I’ve been looking forward to seeing you!」


私はこのような場合、努めて明るく朗らかに振舞うように、心がけています。外国人とのコミュニケーションで重要なのは、「第一印象」です。最初の段階で、「え ? あのぅ、そのぅ、ウガウガガーー(T-T) ・・・ 」とたじろいでしまうと、ずっと主導権を握られ続け、結局何も話せないで終わるのがオチなので、まず一発かます意味でも、積極的な会話をした方がいいのです。


Elisa 「Hi, Takashi ! First visit to China? Chinese economy is developing higher now, you know ・・・ペラペラペラ ・・・ 」


私 「 ( よくしゃべるなぁ、この人 ・・・ ) 」


Elisa 「Chinese food is very gooood! My recommendation is ・・・ 」  


私 「( は、はぁ ・・・ )」


Elisa 「I like Japan, very much! Especially, Kyoto is very very interesting ・・・ 」


・・・ って言ってるうちに、ホテル着いたわーー ! 主導権握るどころか、一言しかしゃべれんかったわーー(T-T)


ホテルに着いた私は、早速、お土産を買いに行くことにしました。ひとたび研修が始まって、メンバーと行動を共にし出すと、個人的なお土産を買いに行く暇がなくなりがちです。私は出張の際には、到着後すぐにお土産を買いに行くようにしています。


「チームのメンバーとサポートスタッフのみなさんには、定番のチョコ詰め合わせでいいだろ。あ、そうそう、うちの奥さん用に ・・・ 」


最近、うちの奥さんは「ビーズ」に凝っていまして、中国のビーズをお土産に買ってきて欲しいというリクエストを受けていました。街にはビーズやアクセサリーを激安で売っている露店がたくさんあり、私は中国の「子ギャル」に混ざって、ビーズを買いあさりました。


「うちの奥さん、喜ぶぞーー ! 」


・・・ 楽しそうでしょ ? この段階では、明日からの研修のことなど、全く忘れ去っていたのです。

研修開始 !

さて、一夜明けた月曜日。私は、研修が実施されるホテルの会議室に座っていました。参加者は、アジアを中心に 25 名。会議室にはテーブルが 5 つ配置されており、すでに参加者の名前を書いたカードが置かれています。私の所属は「No. 2 グループ」で、メンバーは以下の 5 人でした。


● Ying ( 男 ) 中国・上海

● Isabella ( 女 ) 中国・香港 

● Paul ( 男 ) オーストラリア

● George ( 男 ) スウェーデン

● Takashi ( 男 ) 日本


「How do you do? Nice to meet you! I’m Takashi, from Japan ・・・ 」


お互いに自己紹介をしていると、研修全般を取り仕切っている Elisa がやってきて、「OK, Let’s start Deal Maker Program! 」と大声で一言。さぁ、研修の開始です !


Zzzzz ・・・ や、やべっ ! し、しかし、眠い ・・・ 午前中の講義は、ここ 1 年ほどの間に数十億レベルの Big Deal を獲得した営業マンの体験談 ( というか、武勇伝に近い話 ) でした。はっきり言って、内容的には、あまり目新しいものは少なかったように思います ( ほとんど寝ていたので、よく覚えていないという説もあり )。印象に残ったフレーズは以下の通りです。


「Time Kills Deal! ( 時間をかけすぎると、案件がなくなるよ。つまり、何事もスピード感が大事だと言いたいようです )」


「Hope is not Strategy! ( 売り手の希望や願望は、戦略ではない。つまり、出たとこ勝負の神頼みではなく、ちゃんと戦略を持って売れよ、と言いたいようです )」


・・・ なーーんだ、普通の営業研修じゃん。これなら楽勝、楽勝 ・・・ 私は、秘技「目を開けながら眠る術」を使って、ウトウトしながら講義を聴いていました。


午前中よく寝たおかげ ( ? ) で、午後は目がパッチリです。「よし、午後はケーススタディだったな。頑張ろう ! 」 午後の講義では、参加者自身が現在手がけている案件を取り上げて、効果的な提案書をどのように作るか、ということを学ぶことになっていました。まず、各参加者のケースをグループ内で発表し、一番面白いと思われるケースをグループの「代表」として発表します。


私 「OK, Let’s start, from my case・・・ 」 


私は、グループの中で、最初に自分のケースを説明することにしました。 え ? えらく積極的じゃないかって ? そんなに力が余るほど、午前中に寝たのかって ?  いやいや、実は私、こういう場合に心がけていることがあるんですよ。それは、「自ら率先して立ち上がり、話す」ということです。こういうのは順番を決めるだけで、ウダウダと時間がたってしまいます。私はそういう「ウダウダ」が大嫌いなので、最初に発表するリスクを負ってでも、自分からやるようにしているのです。


実は、これにはもう 1 つ効用がありまして、最初に率先してやることで、自分の英語力を他のみんなにわかってもらえるというメリットがあります。多くの日本人は、自分の英語力が露呈されるのを恐れ、順番を後回しにしてしまいがちです。しかし、そんなことをしてしまうと、ずっと黙りこくったまま、先の人の話を聴かなければなりません。「オレの英語力はこんなもんだー、文句あっかーー、でも言いたいことは言うぞーーー ! 」という感じで、最初に「宣言」してしまえば、この先のディスカッションなどがずっと楽になるのです。

Jason 降臨 !

ま、そんなこんなで、グループ全員の発表が終わりかけた頃、午後の講義の講師がようやく到着しました。


Elisa 「午後の講師である、 Mr.Jason です。 Jason は、ハーバード大学の MBA を首席で卒業後、世界的に有名な経営コンサルティングファームである△△△で 15 年間勤務の後、 3 年前に、わが○○コンサルティングに Join されました・・・」


Jason 「Hi, I’m Jason・・・」


・・・ げげっ!あの△△△出身ですとぉーー !  △△△というのは、日本でも非常に有名な経営コンサルティング会社です。社員のほぼ全員が MBA ホルダーで、かつて代表を務めていた人物は、おそらく読者のみなさんもよくご存知の、あの方です。


「う、うぅむ ・・・ 」


正直、われわれ研修参加者はみな、ひるんでしまいました。わが○○コンサルティングは「 IT コンサルティング」を専門としており、「経営戦略コンサルティング」を専門とする△△△とは、業務内容で一線を画しています。「だったら、ひるむ必要ねぇじゃねぇか !」 と思われるかもしれません。しかし、「△△△ = 優秀な人ばっかり」という先入観が先立ってしまい、そんな講師の前でプレゼンをしなければならないというプレッシャーだけが参加者の頭をよぎっていたのです。


Elisa 「それでは、グループの中の代表となるケースを選んでください」


キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ ! グループのみんなは、一様に生唾を「ゴクリ」と飲み込んで、動けなくなっています。まるで、蛇ににらまれたカエル ・・・ 今動いたら、負ける ・・・


「I think ・・・ 」 グループの紅一点、 Isabella が重い口を開きました。 「I think Takashi’s case is better, because it is the most interesting scheme ( タカシのケースが面白そうだから、それでいいんじゃない ? ) 」


な、何言い出すんや、イザベラぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ ! (T-T)


( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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