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タカシの外資系物語

カネを降らす男 Rainmaker は Troublemaker ? 2006.05.30

吹けよ風 ! 呼べよ嵐 !

先日の週末のこと、私は妻のトモミと愛犬ゴルゴを引き連れて、郊外の公園に散歩に来ていました。その公園は我が家からは車で 30 分近くかかるのですが、「ドッグラン」という犬を放し飼いにしてもいい施設があり、週末にはよく利用していました。


トモミ 「なんだか雲行きが怪しくなってきたわね。大丈夫かしら ・・・ 」


空を見上げると、 5 月とは思えないぐらい迫力のある入道雲が、西の空からモクモク。


私 「こりゃ早めに引き上げた方がいいかもな ・・・ って、もう降り出してるしっ ! 」


季節外れの雷を伴った激しい夕立。ドッグランにいた人たちは、一斉に出口に向かって走り出しています。


私 「トモミー、ゴルゴー、大丈夫かーー ! 」


ドッグランの出口には人と犬があふれ、さながらウルトラマンの怪獣に逃げ惑う民衆の様相を呈しています。


私 「ううぅぅむぅ ・・・ 雨で前が見えん ! 車から傘取ってくるから、ここで待ってなよーー」


私はトモミとゴルゴを大きな木の下に残して、車に積んである傘を取りに行くことにしました。


「かさ、かさ・・・あ、あった ! よし、トモミ待ってろよーー、うわぁーー、か、風がーー ! (T-T)」


車から出て傘を差した瞬間、傘の本体は強風に吹き飛ばされ、一瞬にして柄と骨だけになってしまいました。辺りには、同様に吹き飛ばされた雨合羽や帽子が散乱しています。


「い、いかーーん ! トモミー、トモミーーー(T-T)」


「あ、あなたぁーー、どこにいるのーーー(T-T)」


「ウォウォーーーーン ! (T-T)」 ( ※ゴルゴは興奮したのか、わけもわからず、植木に何度も頭をつっこんでいたようです ・・・ ) 

・・・ 「ハァ、ハァ、ハァ ・・・ 」 数分後、悪夢のような嵐の中を、命からがら切り抜けた夫婦と犬一匹が、車の中でぐったり ・・・


「し、自然には勝てんわな ・・・ ったく、だれが降らしたんじゃ、この雨 ・・・ 」

Rainmaker って何 ?

とまあ、人間は自然の猛威の前では無力なもんです。しかし外資の世界では、このような「豪雨」を人工的に降らせてしまう人がいます。


「雨を人工的に降らすことなんて、できるわけないじゃん。さては、雨に打たれて頭がおかしくなったのでは ・・・ 」 いやいや、そんなことはありません。外資には、「雨降らし」こと “Rainmaker” ( レインメーカー ) と呼ばれる人が存在するのです。


Rainmaker というのは、「雨のようにカネを降らす人」のことを指します。みなさんの身近にも、いるのではないでしょうか。敏腕営業マンだとか、売れっ子のコンサルタントだとか、 1 人で通常の何倍もの収益を会社にもたらしてくれるような人のことを言います。


この Rainmaker、映画にもなっていまして、ジョン・グリシャムの原作、マット・デイモン主演で弁護士事務所に多額の収益を与えてくれる弁護士のことを描いた映画です。で、映画を見るとわかるのですが、実はこの Rainmaker という言葉、あまりいい意味で使われていません。どちらかというと悪徳弁護士、カネのためならどんな汚い手段を使ってでも構わないと考える人に対して Rainmaker という言葉を使っているように思えます。


私のボスはよく、「 Will you bring the Rainmaker? ( だれか、レインメーカーを連れてきてくれないか ) 」と言っているのですが、実は本当に連れてきてほしいと思っているわけではありません。また、私にレインメーカーになれと言っているわけでもありません。ボスが言いたいのは、「ときにはレインメーカーのように汚い手段を使っても構わないから、儲けてくれよ ・・・ 」と言っているわけで、単に収益が上がらないことボヤいているだけなのです。ま、こういうボヤキに付き合っているとロクなことがないので、さっさと退散した方がいいわけですが。

Troublemaker?

しかし外資には、ときどき本当のレインメーカーがやってくることもあります。業界でもやり手で通っている人や同業他社から鳴り物入りで転職してきた人が、これにあたります。確かに、彼らはそれなりの報酬で迎え入れられているわけですから、稼いでもらわなければ困るのですが、現実には転職していきなり仕事がバンバン取れるわけではありません。


しかし、彼らの中には前職時代のクライアントをごっそり引き抜く形で、いきなり大きな収益を上げる人がいます。ま、儲かればそれでいいと言ってしまえばそれまでですが、クライアントごと引き抜くというのは、トラブルになるケースが多いのも事実。一昔前の外資系なら、多少のトラブルは覚悟の上で、クライアントを引き抜く力のある人を積極的に採用していたのですが、最近はそうでもありません。収益以前の問題として、企業としての倫理が問われる時代になっていますから、強引なレインメーカーと言うのは好まれない傾向にあるのです。転職においても、どれだけ客を持っているかということよりも、転職後に一から活躍できる能力を潜在的に持っているかということの方が、はるかに重視されるというわけです。 


さて、突然の夕立でびしょ濡れになった、私たち夫婦と愛犬ゴルゴ。公園のそばのスーパーでタオルと着替えを買って、何とか一段落。すると、妻のトモミが何かを見つけました。


「あっ、見て見て ! ものすごくキレイな虹 ! 」


車から外を見ると、大きな虹が 2 つ、すっかり雨の上がった青空にかかっています。


「きれいだねぇ」 「そうねぇ」 「ウー、ウォーン ! 」


散歩も仕事も、やっぱり晴れた空の下でやりたいもんです。どしゃ降りよりもコツコツと、それが一番大事なのかもしれませんね。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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