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タカシの外資系物語

欧米人が屈するパターン2006.04.25

典型的なパターン

現在、PM ( プロジェクトマネージャー ) がアメリカ人のプロジェクトに参加しています。その PM、James というのですが、日本人と仕事をするのが初めてとのこと。ま、本部から鳴り物入りでやってきたわけですから、それなりにすごいんでしょう。今のところは「お手並み拝見」といったところです。


初めて日本人と仕事をすることになった欧米人によくあるパターンとしては、次の 2 つがあると思います。 

( 1 ) 日本人の考え方や文化を積極的に肯定しながら進めるタイプ 

( 2 ) 頭ごなしに日本のやり方を否定して、欧米風の考えを押し付けるタイプ


日本人としては、 ( 1 ) のタイプの方が、仕事がやりやすいのは間違いありません。しかし、私の個人的な経験では、実は ( 2 ) のタイプの方が、成果を上げているような気がします。 ( 1 ) のタイプというのは、結局、日本のやり方に流されてしまうか、それが我慢できなくなって最後の最後にキレてしまうか、どちらかのケースが多いように思います。


日本サイドとしては、プロジェクトに欧米人を入れている最大の理由は、日本人同士ではどうしても流されてしまう状況を、ピシッと是正してくれることを期待しているに他なりません。なので、一緒になって日本のやり方に流されてしまっては、意味がないのです。また、最後の最後になって、「今まで我慢して聞いとったが、そんな日本風の考えでやってるから失敗するんじゃーー ! 今すぐ、欧米風にやり方を変えんかいーー ! 」と豹変されても困ります。そんなことを言うぐらいなら、最初から ( 2 ) のタイプとして首尾一貫してくれていたほうが、余程やりやすいってもんです。


James はどちらかというと、 ( 1 ) に近いでしょうか。でも、日本にはない欧米風のやり方も積極的に取り入れようとしているようですので、うまくいくかもしれません。


先日も、こんなことがありました。お客様とのミーティングに James を参加させた、その直後のことです。


James 「タカシ、 1 つ聞きたいことがあるんだが … 」 


私 「どうしたの ? 」


James 「日本人というのは、どうして堅苦しい雰囲気でミーティングを進めるんだい ? 同じプロジェクトをやっている仲間同士なんだから、もっと和気あいあいとできないのだろうか … 」

James の提案

私に言わせると、今のお客さんとの間には、それほど険悪なムードがあるわけではありません。かといって、飛びぬけて打ち解けた関係でもありませんが、ま、こんなもんでしょう、というレベル。


私 「日本では普通、あんなもんだと思うけど … 」


James 「いや、このままではプロジェクトが破綻する。もっとうまいやり方があるはずだ … なぁタカシ、例えば、お客様側の PM であるタナカさんの趣味は何なんだい ? 」


タカシ 「趣味 ? そこまでは知らないなぁ ・・・ こないだ飲み会で隣に座ったけど、そんな話にならなかったし ・・・ 」


James 「タナカさんの趣味を知らない ? 正気か、タカシ ! それでよくプロジェクトをやっていられるな ! 」


… そりゃ知ってるにこしたことはないけどさ、そこまで驚くほどの話とも思えんが …


しばらくの間、 James は自分の PC に向かって、何やら過去のプロジェクトで使った資料を探しているようでした。


James 「 This is it! ( あったぞ ! ) タカシ、早速このツールを使おう ! これでもっとミーティングが活性化するぞー ! 」


見ると、名前、出身地、大学名、趣味、特技、好きなチーム ( メジャーリーグとかアメフトとか ) … などが個人の顔写真入りで表示されています。つまり James は、プロジェクトメンバーのプロフィールを作って、プロジェクト内で公開しようと言っているわけです。


James 「どうだ、タカシ ! 」


タカシ 「は、はぁ … 」 


James 「明日にでも、タナカさんに相談してみよう ! 」


実は 1 つ気になることがあったのですが、 James の興奮ぶりに押し込まれ、言えないまま翌日を迎えました。

James、日本風に屈する

翌日のこと、 James と私はタナカさんに時間をもらって、メンバーの個人プロフィール掲載について話を持ちかけました。

 


私 「 … ということで、これをプロジェクト内に開示して、メンバー間の一層の懇親をはかりたいというのが目的でして、はい … 」


タナカさん 「アイデアは悪くないけどね … そうねぇ … 」


James の手前、タナカさんはかなり言葉を選んでくれているようでした。と、私の隣では待ちきれなくなった James が、おもむろに話し始めました。


James 「Tanaka-san ! This is good idea, isn’t it? What do you think about it?」


タナカさん 「え? あ、いやね、”個人情報” の観点から、ちょっと無理なんだよ、こういうの。それに、こんなことしなくても、おたくとは十分仲良くやってると思うし … いいんじゃないの、やんなくても。ちょっと別の会議あるからさ、じゃまた ! 」


や、やっぱし … 「個人情報保護法」を理由に、断られると思ったんだよなぁ … 思った通りだし … さて、Jamesは、と … げっ ! どう見ても怒ってるし … (T-T)


James 「Takashi... what is “Kojin-Joho-Hogo” ?」


個人情報保護法とは、昨年 4 月に施行された法律で、個人の承諾なしに個人情報 ( 住所・生年月日・電話番号 ) などを掲載することを規制した法律です。読者のみなさんの職場でも、かなり神経質に管理されているのではないかと思います。


私 「 … 個人情報保護ってのは、こういうことなんだけど … 」


James 「じゃ、個人の承諾があればいいんだろ ? メンバーのみんなに承諾させればいいだけじゃないか ! 」


ま、そうなんだけど、タナカさんはそんな面倒なことをするわりに、大したメリットはないって言ってるんだよ、わかってくれよ、もぅ …


James 「タカシ、早速メンバーの承諾を取りに行こう。今日中に半数は集めろよ ! 」


私 「あのなぁ、James。タナカさんが OK 出してないんだから、そんな勝手なことできないだろ ! 」


James 「にゃ、にゃにぃーーーっ ! 」


ま、個人的には、本人の承諾を得ていれば、プロジェクト内で開示することぐらい構わんと思うのですが、日本企業というのは、こういうのに極めて保守的ですから、まず無理でしょう。そもそも、お客さんとのコミュニケーションが、それほど危機的な状況とも思えんし …


このように、日本風の「根回し」に付き合った挙句、自分の信じたアイデアを否定される … こういうことを繰り返しているうちに、James も日本のやり方を頭ごなしに否定するようになっていくのでしょうかね。James、頑張ってね!おれは一応 ( ? ) 味方だからねーー !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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