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タカシの外資系物語

顧客の声を聞け !2006.03.14

意思決定基準としての「顧客の声」

みなさんが仕事で何かの意思決定を迫られた際、最も重視している「基準」は何ですか ? 会社のためになるか ( つまり、儲かるかどうか )、自分のためになるか、面倒くさくないか、ロジカル・シンキングを使って合理的に考えてみるとどうか、最後は直感に頼ってみる … ? ま、いろいろなやり方があるでしょうし、実際にはケースバイケースなのでしょう。しかし、本当にどうしていいかわからないとき、最も信頼すべき基準とは、「お客様の声」なのだと思います。


「迷ったら、お客様に聞こう ! 」これは、私が勤める外資系企業の、隠れた「合言葉」になっています。「えっ ? 外資系企業って、株主や会社のためなら、平気でお客様をないがしろにするんじゃないの ? 」と、驚かれる方もいるのでしゃないでしょうか。もちろん、たとえお客様のためであっても、明らかに儲からないことには手を出さないし、赤字のプロジェクトからは早々に手を引いたりすることがあるのは事実です。しかしそれは、儲からないことが「明らかな」場合であって、儲かるかどうかわからない、行くべきか行かざるべきかわからない、そんなケースは結構あるのです。


そんなときの意思決定の基準は、「お客様の声」です。お客様が望んでいることなら続ければいいし、そうでなければやめればいい、いたってシンプルな話です。実は、儲かるか儲からないかというのは、検討している時点では「予測」の域を出ません。やってみなければわからないからです。しかし、お客様の声というのは、その時点で確かにそういう意見が存在している以上、より確実性が高いのです。私の経験においても、お客様の声を聞かずに、会社の都合だけでビジネスをしていた日本の銀行員時代は、ろくな結果が得られませんでしたが、外資に転職して顧客ベースで仕事を進めるようになると、大きな失敗をしなくなったように思います。

顧客の声の集め方

では、お客様の声はどうやって集めればよいのでしょうか。企業が「お客様の声 ( = 要望や意見)」を分析するためには、顧客満足度調査を実施するのが一般的です。顧客満足度調査には、大きく分けて、次の 2 種類があります。 

( 1 ) アンケート調査・グループインタビュー 

( 2 ) テキストマイニング ( データマイニング )


調査としてイメージしやすいのは、( 1 ) の方でしょう。みなさんも、これまでにいずれかの形で ( 1 ) の調査に付き合わされたことがあると思います。企業にとっては、 ( 1 ) は一時期に大量のデータが収集でき、調査目的を明確にした質問項目を設定することで、目的とする回答を収集しやすいというメリットがあります。


しかしその反面、 1 回の実施にかかる費用負担が大きかったり、回答者母集団の特徴が片寄ったりするというデメリットもあります。みなさんにも経験があると思いますが、「アンケート」というと何らかの見返りを期待したりしますよね。見返りがないのにアンケートに答えるなんていうのは、よほどその企業を気に入っているとか、付き合いが長いとか、個別の要因が働いている場合がほとんどです。つまり、アンケート調査というのは、その企業にとって都合のいい ( 忠誠心 = ロイヤリティの高い ) 顧客から意見を集めて分析しているに過ぎないという恐れがあるのです。


企業にとって、本当に欲しいのは「ロイヤリティがそれほど高くない、またはロイヤリティが全くない顧客の声」です。そのような顧客の声を把握するためには、営業担当者が持っている顧客との折衝記録やコンタクト情報などから、「生」のデータを引っ張ってくるのが有効です。これら顧客と直接接している担当者が持つ情報には、顧客応対時の苦情や問い合わせ、要望、意見などがストレートに記録されています。このような営業日誌や応対記録などの文字 ( = テキスト ) 情報を電子的に保存し、簡易的に分析する技術が、( 2 ) のテキストマイニングです。テキストマイニングとは、テキスト情報をマイニング ( mining = 採掘 ) して、営業活動に役立つ規則を発見する分析手法のことをいいます。アンケート調査が定型的な情報を分析する手法だとすれば、テキストマイニングは、営業日誌の「特記事項」やアンケートの「その他意見」に書かれている非定型的な情報の分析を主としています。実は、本当に有益な情報というのは、非定型的な部分にこそ潜んでいることが多いというのは、何となくわかるような気がします。

「仮説→検証」のサイクルを回す

さて、収集した顧客の声を実際のビジネス戦略や施策に反映させるにはどうすればいいのでしょうか。


顧客の声を戦略や施策に反映させるために最も重要なことは、「仮設→検証」のサイクルを全社的に確立することです。例えば、アンケート調査やテキストマイニングによって、「新製品の機能説明が不十分である」という顧客の声が収集できたとします。しかし、この段階では「どうすれば、説明が十分になるのか」まではわかりません。担当者が専門用語を使いすぎていることが原因なのか、パンフレットが見にくいことが原因なのか … そこで、「専門用語を使いすぎていることが原因である」という【仮説】を立て、用語を簡単にする策をうち、再度、実際に売ってみる【検証】。そしてまた、顧客の声を収集する … といった具合にサイクルを回していくのです。こうすれば、仮に当初立てた仮説が間違っていたとしても修正がきくと同時に、お客さまがどのように反応するかについて、実際に体感しながら策を進めることができます。この「体感」こそ、顧客の声を活用した経営の根幹といえます。


みなさんの近所にも、個人で経営している魚屋さんや八百屋さんがあると思います。確かに鮮度はいいですが、価格面では大手スーパーにはかないません。ではどうして、潰れないかというと、彼らはお客様の声を聞いて、商品を仕入れ、実際に売ってみることで、「仮説→検証」のサイクルを継続的に回すことに成功しているからなのです。そのサイクルから得た「体感」こそ、彼らの経営哲学そのものであって、大手のスーパーには決して真似できないというわけです。


いずれにしても、商売とはお客様があって初めて成り立つものです。「顧客のためには、どうすればいいんだろう ? 」という考え方の原点に戻って、再度自分の仕事を見直してみると、何か新しい発見があるかもしれませんよ !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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