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タカシの外資系物語

Scot と タカシ2006.02.21

予約が消えた !

実は今、わが社のロンドン支社の同僚 Scot ( イギリス人 ) と一緒に仕事をしています。私は彼と一緒に、金融機関向けのソフトウェアをセールスすることになっているのですが、先日こんなことがありました。


その日私は、数日後の金沢行き出張に向けて、航空機のチケットをインターネットで予約していました。


「羽田 7:35 発の小松行き … と。予定が変更になるかもしれないから、ちょっと高くつくけど “往復割引” にしとこうかね。 Scot の分も予約、予約と … 」 出発の 1 週間以上前の予約なので、もっと安い ”特割” でも買えたのですが、それではあとあと変更がきかなくなるので、少し割高の ”往復割引” にしておきました。で、出張前日のこと。


「予定の変更もなさそうだし、予約したチケットの決済でもしとこうかな、と。どれどれ、 1 週間前に予約したチケットは、と … ん ? 」


航空会社の予約確認画面を見てびっくり ! 「お取扱できる予約はありません」と出ています。 
「んな、バカな … 確かに予約したはずだし … こうやってちゃんと予約確認メールも受け取ってるし … って、な、なーーーんと ! ガーーーーーーン ! (T-T)」


航空会社から予約時に届いたメールを見直して、愕然 … 「予約された航空券のご購入は、○月×日( 出発日の 3 日前 ) までにお済ませください。期日までにご購入いただけない場合は、自動的に予約が取り消されますので、ご注意ください … 」って、そんなもん、知らんわーー ! 明日の羽田 7:35 発小松行きはすでに満席です。午前の早い段階で金沢に入っておかないと、お客さんとのミーティングに間に合いません。

淡白な Scot

激怒した私は、即座に航空会社に電話しました。


私 「あのー、もしもし ! 予約が消されちゃったんだけど、どういうこと !? 」


航空会社の担当 「 1 週間前にご予約いただいた場合、出発日の 3 日前までにご購入いただかないと、自動的に取り消されるルールになっております … 」


私 「去年はそんなルールなかったじゃない ! いつ決まったの !? 」


航空会社の担当 「年末にルール変更いたしました」


私 「そんなの知らねぇよ ! ちゃんと教えてくんなきゃ、わかんないじゃない ! 」


航空会社の担当 「 … ですから、インターネットでご購入の際にも確認画面を表示しておりますし、予約確認メールにも同様の記載をさせていただいておりまして … 」


私 「( ん ? 確かにそうだな … ) と、とにかく、急に変えられちゃ困るんだよ。どうしてもその便に乗らなきゃならないのに … あのさ、一応クリスタル会員 ( ※ ) なんだけど、何とかしてくんない ? 」


( その航空会社には、会員のランクがいくつかあって、上からダイヤモンド・プレミア・サファイア・クリスタルとなっています。一番低いランクにもかかわらず、それを盾に何とかしようとしているところが大いに泣けます(T-T))


航空会社の担当 「そう言われましても … 」


と、 Scot が私のところにやってきました。


Scot 「タカシ、どうしたの ? 」


私 「いや実はね、かくかくしかじかで、何とかしてもらおうとしてるとこなんだよ」


Scot 「それは無理じゃないかな ? ルールを守らなかったのは、こっちなんだし。われわれだけ特別ってわけにはいかないだろ。諦めた方がいいよ」


いや、まぁ、そりゃそうなんだけど … Scotがそう言うなら、ということで、私は別ルートで金沢入りすることにしました。

ヤッピー ! な Scot

「米原まで新幹線で行って、そこから特急に乗るか … または、富山まで飛行機で行って、富山経由で金沢に行くか … 」


前者の陸路パターンは片道 5 時間以上もかかることから、私は富山経由で行くことにしました。幸いなことに、翌朝の羽田発富山行きの飛行機には、まだ空席が残っていました。


翌朝は、全国的に荒れ模様の天気で、日本海側では大雪の予報が出ていました。羽田7:05 発 ( は、早っ ! ね、眠っ ! ) 富山行きの飛行機に乗り込んだ Scot と私でしたが、無事富山までたどり着けるかどうか …


しばらくすると、その不安は的中し、機長から次のようなアナウンスがありました。「乗客の皆様、ただ今、大雪の影響で富山空港に安全に着陸できない状態です。しばらくの間、富山空港上空を旋回し、再度状況をお伝えいたします … 」


あちゃーー、これは困ったことになりました。羽田に引き返すなんてことになったら、午前中に金沢入りするのは不可能です。かと言って、危険を冒してまで、無理に着陸しろともいえないわけですが …


乗客の多くが、羽田に引き返す覚悟をし始めたちょうどそのとき、機内に信じられないアナウンスが流れました。「乗客の皆様、本機は富山空港への着陸を諦め、小松空港に緊急着陸することになりました。なお、到着後、小松空港から JR 富山駅までの臨時チャーターバスをご用意する予定です … 」


なんとまぁ、こんなこともあるんですね。災い転じて福となすというのは、まさにこのことでしょう。アナウンスを聞いた私は、「やったー ! 」と飛び上がりたい心境をおさえ、平静を保っていました。なぜなら、乗客の大半 ( というか、おそらく私と Scot 以外全員 ) は、「羽田に戻るよりはマシかぁ … でも、小松から富山までって、結構時間かかるよなぁ … 参ったなぁ … 」と思っているに違いないのですから。


で、機長は日本語でアナウンスしたあと、英語でも同じ内容のアナウンスをしました。その瞬間、突然私の横でアナウンスを聞いていた Scot が飛び上がって小躍りしているではありませんか !


「 Whoopie! It’s a miracle! Fantastic! 」


… あ、あのなぁ … ヤッピーって、あんた … 気持ちはわかるけど、喜んでるの、われわれだけなんだから、ちょっと静かにしてなさいって !


で、予定通り ( ? ) 小松空港に着いた Scot と私。航空会社が用意した富山駅行きの臨時チャーターバスには乗り込まず、金沢駅行きのバスに向かいました。 
航空会社の係員 「あ、あれ ? お客さーーん ! そっちは金沢行きですよーー ! こっちが富山行きの臨時バスですから、こっちに乗り込んでくださーーい ! 」


私 「あ、いいんです、こっちで。富山じゃなくって、金沢に行きますから。行き先変えたんで … 」  
… って、わしらはフーテンの寅さんか !


ルールは棚に上げて、情緒に訴えてなんとかする。うれしくても感情を表に出さない … 典型的な日本人の私。ルールに厳格で、うれしいときは人前をはばからずに感情をあらわにする … 典型的な欧米人の Scot 。身長差も 20 cm 以上ある 2 人ですが、結構「名コンビ」だと言われています。 Scot と私の珍道中、また何かあったら、きっとお伝えしますね。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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