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タカシの外資系物語

LOHAS な外資2005.11.01

自転車通勤の理由は

「ハーーイ ! グッドモーニング、タカシ ! 」


8 時 30 分、エレベーターを待っていた私の後ろで、朝から妙にハイテンションな外国人の声。


「お、ピーターか ・・・ おはよ ・・・ 」


「ドウシタノ、タカシ ・・・ 元気ナイネェ ? 今日モ頑張ッテイキマショー ! 」


こやつ ・・・ 一体、どこからこんな元気が出てくるのでしょうか。こっちは朝の「通勤ラッシュ」で、仕事始める前からヘトヘトだってのに ・・・ そういえば、このピーター、通勤に電車を使わずに、自転車で来ているとのこと。確かに、ピーターの方が私より都心近くに住んでいるのですが、それでも自転車で気軽に通えるほどには近くありません。ピーターの家から会社まで、自転車で普通に走ったとして、 30 分はかかるのではないでしょうか。それでもピーターは、よほどの雨が降らない限り、自転車通勤を続けています。


私 「ピーターって、毎日自転車で来てるんだろ ? 健康維持のためとはいえ、かえって大変じゃないの ? 」


ピーター 「健康維持ダケガ目的ジャナイヨ ! ミンナガ自転車デ来レバ、環境ニ優シイ世ノ中ニナルジャナイ ? 」


私 「環境に優しい世の中だって ? 」


どうやら、ピーターは私が想像している以上に、もっと「高尚な」理由で自転車通勤を続けているようです。

 

LOHAS なやつら

最近、「LOHAS( ロハス )」という言葉が流行っています。これは、Lifestyle of Health and Sustainability の略でして、「環境と人間の健康を最優先に考えた持続可能なライフスタイルのこと」を指します。単に自分の健康のことだけを考えるのではなく、結果として、地球環境にも良い影響を与えなければならないというのが、LOHAS 的発想の「ミソ」です。例えば、「行きは自転車、帰りはタクシー」では話にならないわけで、環境と健康に役立つことを継続的に行なってこそ、LOHAS 的な身の振る舞いといえるわけです。


外資系企業を見渡してみると、ピーターほどに徹底してはいないまでも、「LOHAS」を実践している人をよく見かけます。例えば、「飲み物」についてみても、以下の通り。コーヒーや炭酸飲料は一切口にせず、「水」だけを飲み続ける人。コーヒーは飲むけれども、紙コップは使わずに My Cup を使用する人。カフェインや動物性たんぱく質は採りたくないので、 DeCafe (カフェイン抜き ) かつ SOY ミルク ( 豆乳 ) のラテを飲む人 ・・・ これは余談ですが、数年前に NY に滞在していたとき、私も 「DeCafe かつ SOY ミルクのラテ」を飲んだことがあります。NY本社の同僚と一緒にコーヒーショップに行った際、彼が「DeCafe, Soy ・・・」と言っているのを見て、意味もわからずに「Same ! 」と同じものを注文し、出てきたのを飲んでビックリ ! 
「ま、まずっ ! なんじゃこりゃ ・・・ これじゃ、単なる茶色のお湯やんけーーー(T-T) ! 」


同僚を見てみると、それなりにおいしそうに飲んでいるではありませんか ! ま、中には本当に体がカフェインを受け付けないようなアレルギー体質の人もいるのでしょうから、私の好みだけで判断するわけにもいかんのですが・・・それにしても、あまりのパンチのなさに、泣けるほどの味ではないですか ・・・


一方で、水だけを飲んでいる人たちにも特徴があります。彼らの多くは、 2 リットルぐらいのペットボトルの大瓶をPCの横に「ドン ! 」と置いて、 5 分に 1 回ぐらいの間隔で水を飲み続けています。「おいおい、飲みすぎだろ、腹こわすぞ ・・・ 」 加えて、よく見てみると、時々なにやら粉末のようなものをペットボトルの水に入れて、シャカシャカ混ぜているではありませんか ! 
「何入れてんの ? 」 「あ、これ ? ビタミン C とミネラルの粉末だよ。これでも健康には気を遣ってるからさ ・・・ 」


そんなことをするぐらいなら、野菜ジュースや果汁 100% ジュースでも飲んで、ビタミン採ればいいのに ・・・ なんて思うこともしばしばです。

LOHASは金がかかる ?

ピーターに声をかけられた翌日、私は少し早く出社して、ピーターが自転車でやって来るのを待ち構えてみました。しばらくすると、ピーター登場。その「愛車」に目を移すと、どう見ても数十万円はする高級マウンテンバイクでした。


「ピーター、おはよ ! そのバイクすごいね。高かったんだろ ? 」


「マアネ ・・・ デモ、毎日ノコトダカラ ・・・ 」


毎日のことだから、いいものを使いたい ・・・ という気持ちはわかります。でも、その自転車を作るためにだって、石油とかそれなりの資源は使われたはず ・・・ 本当に環境のことを考えるなら、中古のママチャリでもいいじゃないかと思うのは私だけでしょうか。


DeCafe & Soy ラテにしても同じで、普通のコーヒーよりはかなり割高です。わざわざ高い金を払って、味のない「お湯」を飲むぐらいなら、普通のコーヒー飲んで、余ったお金を環境募金に寄付した方がいいんじゃないかという気もします(ま、これでは、自分の健康のためにはなりませんが ・・・ )。


で、結論から言うと、外資で一般に行なわれている「LOHAS」というは、単なる「ファッション」としての意味合いが強いように思います。洋服やアクセサリーにお金をかける人と同様に、LOHAS の名の下にお金をかけて、自己満足するというファッション。中には本当の意味でLOHAS を推進されている方もいるのでしょうが、少なくとも、私の周りにいる人 ( 多くの外資系社員 ) からは、「にせ LOHAS」のにおいがプンプン漂ってきます。何でも「カネ」で解決できるかのような考え方そのものが、LOHAS の根底に流れている思想とは相容れないような気がするのです。

LOHAS のススメ

ま、私とて、あまりえらそうには言えません。私自身、平日の暮らしぶりときたら、自分の健康にも地球環境にもかなり「良くない」ことは自覚しています。しかし、だからと言って、無理に大金を投じてその生活を改善するというのも、ちょっと違うような気がします。高額な会費を払ってスポーツジムに通ったり、ヨガを習ったりするのもいいでしょう。でも、空いた時間を使って犬の散歩をするだけでも、気分はスッキリするし、健康のためにもなっています。わざわざビタミン剤を混ぜた水をガブ飲みしなくたって、野菜や果物を直接食べれば、効果は出ます。その方が、ペットボトルだって無駄使いしなくてすむはずです。


みなさん、一部の外資系社員がやっていることや、それを金儲けとしてのビジネスにするために、誤った概念だけを輸入した広告代理店・商社などの企業に踊らされてはいけません。本当の「LOHAS」とは、自分ができることを、大金を使うことなく、かつ、さりげなく行なうことだと思います。  


では早速私も、「私流のLOHAS」を推進するために、奥さん・愛犬ゴルゴとともに散歩に出かけることにしましょうかね、では !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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