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タカシの外資系物語

「普通」という回答2005.10.18

あるアンケート調査にて

先日のこと、私は 「CS Committee」 なるものに参加しました。これは何の会議かというと、 CS( = Customer Satisfaction ) つまり 顧客満足度に関する調査委員会のことを指します。わが社では、お客様企業から定期的にアンケートをとって、わが社が提供したサービスを採点してもらい、それを今後の経営に役立てるような取り組みを行なっています。


CS Committeeは経営会議の一環として行われているので、私のようなペーペーがいつも参加しているわけではありません。私が参加した理由は、一般社員の中から選ばれる「オブザーバー」の 1 人に選ばれたからでして、まぁ仕方なしに参加したというのが正直なところです。


一般に外資系企業の経営会議は早朝に実施されます。今回の CS Committee も朝 8:00 に開始ということで、私は眠い目をこすりながら、 7:50 ごろには、普段は足を踏み入れることのない役員会議室にやってきました。


「それでは、 4Q ( 第4 四半期という意味 ) の CS Committee を開始します」


議長である日本法人代表 ( 社長です。ちなみに日本人 ) による簡単なオープニング・スピーチに続いて、 CS に関する調査報告がなされていきました。


「えーー、今回の調査は、お客様サイトでの作業態度についてです ・・・ 」


お客様サイトというのは、お客様側のオフィスのことを指します。つまり、わが社のコンサルタントがお客様のオフィスで作業をしている際の態度やエチケットについて、お客様にアンケートをとったわけです。

「普通」 は 「よい」 ?

発表者 「各調査項目について、『よい』 『普通』 『悪い』 の 3 段階で評価してもらいました。最初の項目は、お客様サイトにて弊社の社員がきちんと挨拶をしているかいう点についてです。有効回答数 45 社のうち、『よい』が 10%、『普通』が 70%、『悪い』が 20% ・・・ ということで、『よい』+『普通』で 80% となり、前回調査時の 75% より 5 ポイント改善されました ・・・ 」

 


「おいおい、ちょっと待った ! 」


急に大声を張り上げて、発表者をさえぎる人がいました。うつらうつらとしていた私、びっくりして前を見ると、発表者をさえぎって大声を上げたのは社長でした。


社長 「さっきから黙って聞いていたら、一体何なんだ、この調査は ・・・ 」


発表者 「は ? 」


社長 「『よい』と『普通』を足し算して、なんか意味でもあるのか? 『よい』が 10%、『悪い』が 20% なら、要は『悪い』んだよ ! 『普通』なんて意見は、『平均以下』とみなすべきなんじゃないのか ? つまり、『平均以下』という意見が 90% だったということだろうが ! こんな子供だましの報告をする前に、『よい』を増やすために何をすべきか考えたまえ ! 」


・・・ ふーーん、うちの社長もなかなかいいこと言うじゃん ・・・ 

「普通」が好きな日本人

とかく日本人は、『普通』という回答が大好きな国民です。「あなたは○○が好きですか ? 」「普通です」 ・・・ しかし、よくよく考えてみると、この『普通』ってのは、何を表しているのでしょうかね ? 好きでもないし、嫌いでもない。よくもないし、悪くもない。可もなく不可もない ・・・ 1 つ言えることは、日本人の大半は、『普通』というと、どちらかというと『よい』の仲間に入れてしまいがちだということです。日本人にとって『普通』というのは『平均』であって、「平均点なら、まぁいいじゃないか ・・・ 」みたいな感覚を持っているのです。


しかし、欧米では『普通』というのは、どちらかというと『悪い』部類に入ります。うちの社長も言っている通り、『普通』というのは『よい』理由が積極的に見当たらないこと、つまり『平均以下』である、と考えるのが通常の考え方です。そもそも、アンケート調査なんてのは、どちらかというと辛口に採点してしかるべき話ですから、今回の報告が社長の逆鱗にふれたのもわかるような気がします。


今回のアンケート方法について補足しておくと、対象者が日本企業の日本人ということで、『普通』という選択肢を入れておいたようです。しかし、欧米人が欧米企業に対してアンケートを実施していたら、『普通』なんていう選択肢はなかったように思います。欧米式アンケートでも、「GOOD – AVERAGE – BAD」 みたいな段階的な評価を見かけますが、その場合でも「AVERAGE」ならば、どちらかというと『悪い』という評価だと考えるのが通常です。外資系企業における、「UP or OUTの原則(昇進 = Up しなければ退社 = Out というルール)」も、まさにこのことと同じです。

普通」 は 「最悪」 ?

また、ときとして外資系企業においては、『普通』というのが最悪の評価になってしまう場合もあります。例えば、「○○について、あなたは『よい』と思うか ? 『悪い』と思うか ? 」と尋ねられて、「普通」なんて答えてしまうと、能力が低いと思われる可能性があります。「いいのか、悪いのか」と尋ねられて、「よくもなく悪くもなく、ちょうどその中間 ・・・ 」なんていう状況は考えにくいわけで、たとえ真ん中に近いところにいたとしても、強いて言えばどちらかのはず。ならば、『よい』のか『悪い』のか、はっきり意思表示しなければ会話が成り立たないのです。

 


何でも白黒はっきりさせればいいというものでもないでしょうが、今回のアンケートのように 70% が『普通』と答えられてしまっては、評価される側もどう対処していいかわかりません。せっかく貴重な時間をもらって採点してもらっているのですから、率直に、『よい』のか『悪い』のかという意見をぶつけて欲しかったというのは、アンケートをさせてもらう側のわがままなんでしょうかね。


喜怒哀楽もなく、いつも無表情で、意見を聞いたら『普通』と答える ・・・ これが欧米人から見た、日本人の評価です。この評価は、『よい』のか『悪い』のか ・・・ 言うまでもなく、『悪い』のです。この状況を何とかしたいと思う日本人がもっと増えてこなければ、真のグローバル社会に仲間入りすることはできないのかもしれませんね。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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