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タカシの外資系物語

社内研修にて ( その 2 ) -年下の先輩2005.05.10

群れるな !

前回の続き )集合研修の第一日目が終わりました。


研修担当者 「 ・・・・・・ これにて、初日のカリキュラムは終了します。夕食については各自自由としますが、せっかくなので、グループの皆さんで親交を深める機会として有効に使ってください。くれぐれも、ホテルのベーカリーでパンを買って、ホテルの部屋で引きこもることなどないように ! 」


ギ、ギクッ ! さっき、ホテルのベーカリーでパン買ってきたとこなのに ・・・・・・ トホホ ・・・・・・ 要はみんなと一緒に飲みに行けってことなのでしょうが、こっちはかなりの仕事を持ち込んでの研修参加です。悠長に酒など飲んでいる場合ではないというのが、正直なところ。でも、 1 時間ぐらい仕事を進めたところで、たかが知れています。それよりは、今まで話をしたことがない同僚と親交を深めた方がいいのかもしれません。


私 「よーし、じゃ、みんなでパーッと行きますかぁーー ?! 」


私は初日の研修でグループを組んだ同僚を誘ってみることにしました。


A さん 「流通事業部のみんなから誘われてるんで ・・・・・・ 」


B さん 「私も、自分のセクターの仲間と行きますから ・・・・・・ 」


ありゃりゃ ・・・・・・ みんな自分の知り合いと飲みに行くんだな ・・・・・・ 結局残ったのは、私と同じ金融部門の C さん。


私 「じゃ、 C さん ・・・・・・ われわれも行きますか ・・・・・・ 」

ネットワークを広げるには ?

ふと、隣のテーブルを見てみると、何やら盛り上がっています。どうやら隣のグループは、各自の知り合いではなくて、グループで飲みにいくことに成功したようです。私のグループと隣のグループの差は何か ? それは、隣のグループには外国人のデイヴがいて、彼が場を仕切っていることでした。デイヴはせっかくの機会を、知り合いだけで飲みに行く場にしたくなかったのでしょう。


デイヴ 「同じセクターの連中なんて、いつでも飲みにいけるんだからさぁ ・・・・・・ こっちに来なよ ! 」


一方、私のグループには、そこまで強引な人はいませんでした。今日初めて知り合った連中と飲みに行った方が、自分にとってメリットが大きくて、面白いことが起こりそうなことは理解しているにもかかわらず、他人の意見を覆してまで強引に誘うことはできないわけです。


一般的に、外資系企業の組織というのはカベがなく、フラットに構成されています。なので、日系企業のように組織ごと、部署ごとに「タコツボ」化してしまうようなことはない、と考えられています。しかし現実には、物理的なカベがあろうがなかろうが、個人が自らネットワークを広げようとしなければ、結局は「タコツボ」化してきます。上で述べたような、デイヴのような役割の人がいないと、組織の活性化は難しいのです。


私は個人的には、「仲良しクラブ」で群れるのは好きではありません。その理由は、「一匹狼のアウトロー」でいたいからというわけでは全くなく、むしろデイヴのような振る舞いをするのが面倒なだけなのかもしれません。 1 つ言えることは、外資系企業には組織のカベが存在しない分、自ら積極的にネットワーク作りに励まないと、自分にとって有益な仲間 ( 単なる「仲良しクラブ」ではない仲間 ) に巡り合うことが難しいということだと思います。

ついに出た ! 年下の ・・・・・

さて、研修 2 日目です。今日のテーマは、「プロジェクト管理」の方法論についてです。アジェンダを見ると、「講師: ○○コウジ シニアマネージャー」とあります。どうやら、われわれと同じコンサルタントが講義を行うようです。


講師 「みなさん、おはようございます ! 私は本日の講師を務めます、公共事業部シニアマネージャーの ○○コウジ です。少し自己紹介をしておきますと、私は 1993 年に大学卒業後、このXXコンサルティングにプロパーで入社し ・・・・・・ 」


がぁーーーーーーーーーーーーん ! ぬぁんですとーーーーーーーーーーーー ! 1993 年卒って、オレより 2 つも年下かいーーー。 ※ちなみに、タカシは 1991 年卒です。


実は、はっきり言ってかなりのショックでした。私は生まれてこの方、自分より年下で自分よりランクが高い人に会ったことがなかったのです。最初に就職した銀行では、普通に仕事をしてさえいれば、同期の間で差がでることはまずありませんでした。次に転職した外資系企業では、同じ年齢で、1 ランク上の人がいました。また年齢は 2 つ下ですが、同じランクの人がいました。しかし、年齢が下なのに、私より上の人はいなかったのです。


読者のみなさんは、「外資系企業に勤めてるのに、なんか些細なことを気にしとるなぁー。そんなこと、ごく普通に起こりえることなんじゃないの ? 」と思われるかもしれません。ま、確かに日系企業よりは、こういったことは起こりやすいのかもしれません。しかし、世間で一般に思われているほどに、外資系企業の人事がドラスティックなわけではないのです。 30 代で部長や役員になるような人も、中にはいます。一方、日系企業にはそんな人はいないので、すごく目立つのですが、外資系とて、そんなケースは非常にまれにしか起こりません。起こるとしても、役員などの幹部クラスの人事だけで、課長クラスより下は、日系企業と同様に「年功序列」の色合いが強いと思います。


では日系企業とどこが違うのかというと、外資では、実力があれば、短期間でどんどん昇進していくことが可能というところでしょう。例えば、役職の標準期間が「主任: 3 年、係長: 3 年」だった場合に、外資では「主任: 半年、係長: 1年」で昇進するケースもありえます。日系企業では、どんなに優秀な人でもこれほど短期間で昇進することはありえません ( 役員クラスなら「何人抜き」なんてのもあるでしょうが )。


いずれにしても、外資においてすらなかなかお目にかかれなかった「自分より年下の先輩」が、今まさに目の前に立っているのです。

ランクと年齢と給料の関係

「うーーーむぅ ・・・・・・ 」 と悩むこと自体なさけない。小せぇなぁーー、オレも ・・・・・・ 
しかし、「オレより年下が、なんでオレより上やねん ! 」という気持ちは、なかなか払拭できないのも事実。特に、その「先輩」を「先生」として研修を受けなければならないというのは、屈辱とまではいかないまでも、何かやり切れなさが残るのは、私だけではないようです。


周りの連中からも、なんとなく斜に構えたような「オーラ」が出ています。私などは 2 歳差でしかないですが、研修を受けているマネージャーの平均年齢は私より 3 つぐらい高いはずなので、講師のコウジさんとは 5 歳差ということになるのですから。


では、コウジさんとわれわれの差はどこから生まれたのでしょうか ? これは非常に簡単でして、要は「転職による寄り道」をしているか否かということに尽きます。私はコウジさんより、計算上 5 年程度遅れていることになりますが、これは 2 度の転職の結果です。私の感覚では、転職 1 回で、だいたい 2 ~ 3 年の遅れが出ると思われます。転職 2 回で 5 年の遅れ。その結果が、「年下の先輩」ということになったわけです。


「どんどん遅れるだけじゃ、転職しない方がマシじゃん ・・・・・・ 」と思われるかもしれません。しかし、そうでもないのです。というのは、私はコウジさんにランクの面では負けていますが、おそらく給料面は勝っています。なぜなら、プロパー社員以上の給料を出さなければ、転職市場から人材を引っ張ってくることが難しいので、一般に中途社員の給料はプロパー社員よりも高く設定されています。転職組にはランクは低いがそれなりの給料を与え、プロパー組にはランクは高いが給料はそこそこに抑える、この微妙な人事政策こそ、外資が日本市場でやっていくノウハウなのです。

やっぱり偉大な「先輩」 ?

タカシ 「コウジさん、そこは違うと思います。△△理論は、本来次のように解釈すべきだし、私の経験から言っても、コウジさんの言ってるのは少しおかしい ! 」


元来いじめっ子 ( ? ) の私は、2 歳年下の先輩講師であるコウジさんをいじめたくなる衝動にかられました。


コウジ 「それはそうかもしれませんね ・・・・・・ 」


( フッフッフッフッフ、おそれいったか ・・・・・・ それにしても、オレって、性格わるっ ! ) 
  
そうこういているうちに、研修 2 日目が終了しました。


研修担当者 「・・・・・・ これにて、 2 日目のカリキュラムは終了します。夕食については各自自由としますが、せっかくの機会なので ・・・・・・ 」


タカシ 「はいはい、わかりましたよ。じゃ、 C さん、昨日と同じ店にでも、行きましょうかね ・・・・・・ 」


「あのーー、もしよかったら、ご一緒できませんか ? 」


「へ ? 」


年下の先輩、コウジさんでした。


コウジ 「タカシさんからもらった意見、すごく参考になったんで、もっとお話したいと思って ・・・・・・ 」


タカシ 「( コ、コウジ ・・・・・・ 泣けるやないかぁ ・・・・・・ (T-T) ・・・・・・ ) よーーし、行きましょう ! 今夜はトコトン行きましょーーー ! 」


コウジさんはやっぱり、それなりにシニアマネージャーの風格がありました。自分から声をかけるなんて、なかなかできませんよ、ね ! その調子で、お勘定の方もよろしくね、コウジさん !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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