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タカシの外資系物語

社内研修にて ( その 1 ) -当たり前のことを当たり前に2005.04.26

研修に参加せよ

先日のこと、私のもとに人事から 1 通のメールが来ました。


「タカシさんへ ○月○日より 2 日間、以下の研修を受講してください。 
( テーマ ) クライアントとの関係構築について 
( 場所 ) XXホテル ( 宿泊形式の研修となります ) 
※なお、当研修はプロモーション申請の必須条件となります   以上」


・・・・・・ おいおい、この忙しいのに 2 日間もホテルで缶詰かよ、トホホ ・・・・・・ とは言うものの、「プロモーション ( つまり昇進 ) 申請の必須条件」ということは、この研修を受けなければ、昇進することができません。昇進しなければ給料も増えないわけで、私としては死活問題です。


「仕方ない ・・・・・・ しばらく徹夜覚悟で仕事を片付けて臨むとするか ・・・・・・ 」


と頑張ってはみたものの、こういうときに限って余計な仕事が舞い込んでくるものなのです。前日の徹夜もむなしく、○月○日、私は多くの仕事を抱えたまま、XXホテルにやって来ました。


ということで、今回から数回にわたり、その研修の内容についてお話したいと思います。

外資系における研修メニュー

「えー、みなさんもご存知の通り、この研修はレベル 3 から 4 への昇進の前提となっています ( ちなみに、現在の私はレベル 3 です。来年あたり、レベル 4 への昇進を狙っています )。研修を通して、レベル 4 に必要な要件を理解するとともに、受講者間での親交も深めてください ・・・・・・ 」


・・・・・・ zzz ・・・・・・ おっと、やばい、やばい ・・・・・・ 人事部長 ( 私の会社では、HR = Human Resources のダイレクターと呼ばれています ) が何やら話をしているようです。


ま、要はこういうことです。そもそも、社内研修には以下の 2 種類があります。


( 1 ) スキルや方法を習得するもの ・・・ 学校形式のスタイルで「教わる」イメージ 
( 2 ) 同期や同じレベルの人が集まって、会社の方向性や心構えを再認識し、同時に親交を深めるもの ・・・ ディスカッション形式で「自ら考える」イメージ


今回のケースは明らかに ( 2 ) にあたります。一般的に、外資系企業の研修は充実していると言われますが、それは ( 1 ) について言っています。確かに ( 1 ) についての研修メニューは充実しています。毎日何らかの研修が行われており、その気になればずっと研修のみを受け続けることも、理論的には可能です ( そんな人はいませんが )。


社外研修に参加することも、日系企業に比べれば簡単だと思います。研修を受講した後に要求されるのは、「研修で得た知識・情報を、他の社員にも還元すること ( = ナレッジ・シェアリング )」だけです。ですから、多くの人は社外研修を受けた後、業務後などに「ナレッジ・シェアリング」のセッションを行って、研修内容を同僚に伝えます。「ナレッジ・シェリングを何回行ったか ? 」というのも評価に含まれてきますので、実際にかなり頻繁に行われています。


一方で、日系企業で社外研修に出ると、部長に報告するためのレポート作成が主な作業になります。口頭で言えばすぐ済むようなことを、大そうなレポートにまとめなければならないものですから、研修参加者の負担も大きく、本来の目的である「研修を通して、参加者が知識・スキルを得て、それを社内に広める」ということが、ほとんどできていなかったりします。


さて、話を戻しましょう。以上のように、外資系企業における ( 1 ) の研修は充実しているのですが、反面、( 2 ) のようなスタイルの研修はほとんどありません。私は外資系企業に転職して 8 年になりますが、この手の集合研修は今回が 2 回目です。前回は前職時代に、マネージャーに昇進する際の集合研修、今回はシニアマネージャーに昇進する条件を満たすための研修です。日系の銀行にいた頃は、新人研修に始まり、 2 年目研修・ 3 年目研修・ 5 年目研修に主任研修と、ことあるごとに同期の連中が集まり、内容などそっちのけでお酒を飲んで大騒ぎしていたように思います。確かに、外資系に転職してからというものの、私は自分と同じランクにどんな人がいるのか全く知りません。外資系は縦割りではなく、横のつながりに柔軟性があるように思われがちですが、実は自分の周りしか見えていないような状況で仕事をしていたりするのです。 

あなたなら、どうする ?

さてさて、スキル習得の研修ではないにしても、寝ていて済む話ではありません。事前には E ラーニングの「宿題」が課されましたし、何しろテキストがすべて英語 ( 講師は日本人 ) なものですから、それなりに気合を入れていないと、何を話しているのかわからなくなります。 
とは言うものの、今回の研修テーマである「クライアントとの関係構築について」なんて、何か勉強してどうなるもんでもないような気もします。講義はそれなりに面白かったのですが、私はむしろ、他の同僚の体験談なんかを聞いて参考にできればいいなと考えていました。


講師 「最初のテーマは、To Be Trusted Partner ( 信頼関係を築くために ) です。まずは、このケーススタディについて考えてみましょう。みなさんなら、どうされますか ? 」


( ケーススタディ 1 )

あなたは、とある大学病院のインターンです。あなたが担当している患者 A さんは、 1 週間前に盲腸の手術を行いました。しかし、手術後 1 週間たっても、 X さんの腹部の痛みは治まらず、ますますひどくなっているようです。心配になったあなたは、 X さんの腹部をレントゲン写真に撮ってみることにしました。するとどうでしょう ! 前回の手術時に取り忘れたガーゼが、まだお腹の中に残っているではありませんか ! あなたは執刀医である教授にそのことを話したところ、教授は「 X さんには内緒で手術をし、ガーゼを取ってしまおう」と言われました。あなたなら、どうしますか ?


同僚 A さんの意見 「患者に対して内緒にしていることはよくない。教授の上司にあたる人にエスカレーション ( より上位の人に言う ) して、指示を仰ごう」


同僚 B さんの意見 「まずは落ち着いて現状を把握し、自分が何をすべきか、何ができるかを一覧にまとめてみるべきだ」


私の意見 「あ、あのなぁ ・・・・・・ そんな悠長なことしてるうちに、 X さんが死んだらどうするんじゃい ! ガーゼを忘れたことを事前に言う、言わないは後でいいから、まずは手術してガーゼを取るに決まってるじゃねえか ・・・・・・ 」

カッコ悪くてもいいじゃな

( ケーススタディ 2 )

あなたは、あるプロジェクトの PM (Project Manager)です。部下である Y くんは、仕事に対する取り組みもまじめで、成果も着実に上げています。クライアントの要望にもスピーディに対応し、あなたの目には問題ないように映っています。しかし、クライアントの Y くんに対する評価はそれほど高くなく、信頼関係も得られていない様子で、それが原因でミーティングが滞るケースもあります。Y くんはクライアントに対して偉そうな振る舞いをしているわけでもなく、あなたには原因がわかりません。あなたなら、どうしますか ?


同僚 A さんの意見 「そのクライアントは、 Y くんがプロジェクトにどれぐらい貢献しているかを理解していないようだ。もっとクライアントに、 Y くんの成果をアピールしなければならないんじゃないかな」


同僚 B さんの意見 「問題がないように見えて、まだまだ Y くんにも改善の余地はあるはず。改善すべき点を、クライアントと Y くんを交えて議論すべきだと思うけど」


私の意見 「ま、そりゃそうなんだけど、多分 Y くんは悪くなくて、これは単なる“相性”の問題だと思うけど ・・・・・・ 仕事はきちんとしてるけど、どうにも好きになれないヤツっているじゃない ? そういうことだと思うよ。こんなケースでは、思い切って Y くんをクライアントの前に出さないようにするとか、思い切って違うメンバーに代えるとか、そういう対応の方がいいんじゃないかな。このままじゃ、 Y くんかわいそうだし ・・・・・・ 」


さて、みなさんなら、どうしますか ? わが社は一応、コンサルティング会社ということもあり、どうもみなさん「型」にはまって物事を考えるというか、正論で攻めてスマートに解決する方向に行きがちな傾向があります。でも、もっと常識的かつ現実的に考えると、各ケースにおいてとるべきアクションってのは、すんなりとシンプルなものが出てくるような気がしたのは私だけでしょうか。


なんとかシンキングとか、 MBA 仕事術とか、ちまたには「カッコいい系」の仕事のやり方があふれかえっています。でも仕事なんて、そんなにカッコいいもんでもないし、カッコ悪いけど成果を着実に積み上げた方がいいのだと思います。「当たり前のことを当たり前にやる」ことが、一番効率的な仕事術のような気がします。


そんなこんな、いろいろ考えているうちに、研修の 1 日目は過ぎていきました。「あーーあ、こんな研修なら、明日も眠くなりそうだな ・・・・・・ 」と思っていた私。明日、その眠気を吹き飛ばすような事態が訪れることに、今はまだ気付いていません。

 

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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