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タカシの外資系物語

台風夜話2004.10.28

新幹線動かず

『東京行き上り新幹線は、台風 23 号による豪雨の影響で、現在運行の見通しが立っておりません……』


あちゃーー、帰れなくなってしまった…… トホホ……


私は今、新大阪駅のホームにいます。正確にいうと、人があふれかえっていて、ホームまでたどりつけていないのですが……


「イヤな予感してたんだよなぁ…… ホテルもとってないし、どうしよう…… 困ったにゃ……」


今日は、朝から大阪に本社のある某地方銀行に来ていました。私はその銀行に対して、ちょうど 3 ヶ月前からシステム化の提案をしておりまして、今日は先方の部長さんにプレゼンをすることになっていました。ま、おかげさまでプレゼン自体はうまくいったんですけど、台風には勝てなかったようで……


部長 「いやぁ、タカシさん、申し訳なかったね。帰れないんじゃないの ? ハッハッハ !」


タカシ 「(笑い事じゃないぞ、コノヤロ……)いや、部長の貴重なお時間を頂戴できただけでも、ホントによかったですぅ……(ここまでやったんだから、採用してよね…… 頼むよ、部長さん……)」

外資系における「出張」

さてさて、外資系企業に転職して以来、私もかなりの出張をこなしてきました。海外はロンドン 5 回、ニューヨーク 3 回、あとはロサンゼルス、サンフランシスコ、アトランタに各 1 回。国内も、四国以外はほとんどの地方に行きました(詳しくは、過去のコラム参照のこと)。


3 年前に結婚したときには、ニューヨークを行ったり来たりしていました。週末に結婚式を控えた週、私は水曜の朝にニューヨークを立つ予定にしていました。日本に戻る前夜のこと。


「タカシさぁーーん、ちょっとぉ……(T-T)」


「どうしたの ?」


な、なんと、私のグループが担当した部分でトラブルが発生していました。システムに取り込むデータ定義のミスです。このトラブルだけはクリアしておかないと、他のチームの作業に大きく影響します。


「よーーし、オレ帰国を延ばすから、一緒にガンバローぜ ! な、みんな !」


と、口では言ってみたものの、内心は「トホホの嵐」です。「早く帰りたいよーーー !」


結局、東京に着いたのは、結婚式前日の夕方のことでした。おかげで時差ボケの結婚式。今では笑い話ですが、うちの奥さんには本当に心配をかけて、申し訳なかったと思っています。

羽田発羽田 ?

また、広島に出張したときにはこんなこともありました。直前まで都内でミーティングをしていた私は、羽田発広島行き最終の飛行機に飛び乗りました。そろそろ広島に着いたかなと思ったとき、急に機内アナウンスが入ったのです。


「乗客のみなさん、ただいま本機は広島空港上空を旋回しております。すでに着陸予定時間を経過しておりますが、現在上空に深い霧が立ち込めており、着陸できません。もうしばらくお待ちください。」


おいおい、ついてねーなぁ…… ま、しょうがないか……


「乗客のみなさん、気象庁に問い合わせましたが、空港上空の霧はしばらく晴れないとのことです。本機は着陸をあきらめ、羽田に引き返すことにいたします……」


おいおい、ついてねーなぁ…… 羽田に引き返すってか…… ん ? にゃ、にゃんですとぉーー !!!


せめて、岡山とか福岡とか、近場に降ろせやーーーーーーーーー(T-T)!!!


飛行機が羽田に戻ったのは、午後 11 時を過ぎていました。翌朝 5 時の臨時便に乗るために、私は羽田の待合室で夜を明かしたのです。ちなみに、食料は飛行機の軽食で出たスナックだけでした。トホホ……

海外出張が減った理由

このように、私は出張にろくな思い出がありません。出張といえば、その地方のうまいものを食べたり、観光をしたり、なんていう楽しみがある(もちろん、仕事第一です !)のでしょうが、そんな思い出なんて一切ありません。例えば、ロンドンには通算で半年ぐらいいましたが、仕事があまりにも忙しく、子供の頃から憧れていた大英博物館にも行けなかったぐらいです。


愚痴はこのぐらいにしましょう。さて、頻繁に出張がある私ですが、ここ 2 年ほどは、海外への出張が減り、国内への出張が増えたような気がします。そう言えば、ここ 2 年ほどは仕事で海外に行っていません。これはどうしてなのでしょう ?


(理由 1) 役割の変化 
5 年ほど前、頻繁に海外出張をしていた頃の私は、1 スタッフにすぎませんでした。スタッフというのは、あるプロジェクトに入れば、100% そのプロジェクトの仕事をします。ですから、たまたま海外のプロジェクトにアサインされれば、ほかの仕事を抱えていない分、海外に出張する頻度も増すわけです。


一方、現在の私はマネージャーという管理職として、複数のプロジェクトを管理しています。実際にその中の 1 つが海外プロジェクトであったとしても、他の国内プロジェクトとの兼ね合い(国内プロジェクトの進捗会議に出席するとか)から、なかなか海外出張の機会を作れなかったりするわけです。


(理由 2) 9.11 テロの影響

実際に、9.11 以降、海外出張の数はめっきり減っています。この傾向は、日系企業より外資系企業の方が顕著なのではないでしょうか。業務上、本当に必要な出張のみに絞った結果、9.11 の前後では、海外出張の数が 3 分の 1 ぐらいになったように思います。それでも仕事は以前と同じように問題なく回っているわけですから、逆に言うと、それまでいかに無駄な出張が多かったか、ということにもなるのですがね……


(理由 3) 経費削減

実はこれが一番大きかったりします。5,6 年前なら、私のようなペーペーまでがビジネスクラスで出張していた時期もあったのですが、今は部長クラスでもエコノミーを使うような社内ルールに変更されました。そのおかげかどうかはわかりませんが、以前は頻繁に東京に来ていた US 本社のえらいさん連中が、最近ほとんど顔を見せなくなりました。NY から 10 時間以上もエコノミーに乗ってやってくるような、気概のあるえらいさんなどほとんどいないということです。私としては、夜に食事とか連れて行かなくて済むので、結構助かっているのですが、NY 時間に合わせた「早朝電話会議」が増えたのは困っています。

日本に根ざし始めた外資系

海外出張減少の直接的な原因は以上の通りですが、私はもう 1 つの大きな理由(遠因)として、「外資系企業が日本国内に根ざし始めた」ことが上げられると考えています。10 年ほど前、多くの外資系企業が、まさに「ゴールドラッシュ」のごとく、日本にやってきました。しかし、その中のいくつかは、結局のところ、ビジネスに失敗して淘汰されたのです。生き残った外資系の多くは、「日本に土着する = 日本企業になりきる」という戦略をとりました。その結果、社員が海外出張を繰り返すような、華やかな仕事の仕方ではなく、欧米の商品やサービスを日本国内に紹介するだけという、極めてこじんまりとしたビジネス形態に収束していったわけです。 
  
「外資系企業にいるんだから、出張多いんでしょ ?」なんて、よく聞かれるのですが、そのほとんどは国内なんです。それも、東京と大阪だけでは食えなくなってきたんで、びっくりするような地方に行ってセールスしたりしてるっていうのが、外資系の実状なんですよね…… 
  
さて、新大阪に着いて 1 時間。依然として、新幹線は動きそうにありません。私はノート PC を取り出して、インターネットに接続し、新大阪近辺のホテルを片っ端からあたることにしました。


「これからホテルを探すとなると、至難の業だな……」


案の定、大阪市内のホテルは東京に帰れなくなったビジネスマンで溢れ返っているとのこと。


「うーーむ、絶対に見つけてやるぅぅ……」


電話をかけ始めて 1 時間半ほど経過したでしょうか。諦めかけていたちょうどそのとき、奈良市内のあるホテルに空室が見つかりました。新大阪から 1 時間ぐらいかかるのですが、ぜいたくは言えません。この頃には、台風は大阪を通過し、名古屋あたりに移動していました。大阪の空はすでに、星が出るほど晴れていましたが、新幹線は動きそうにありません。こりゃ、観念してホテルに向かったほうがいいようです。


「じゃ、これからすぐに伺いますんで、よろしくお願いします……」


ホテルに着いた私は、夕食もとらず、ベッドに深く横たわりました。 
「あーあ、今頃は自宅でくつろいでるはずなのにぃ…… 疲れた、疲れた…… 結局、奈良まで来ちゃったよ…… 奈良 ? 奈良 ! 奈良って、わしの実家やんけーーーーーーーー ! なんで奈良まで来て、ホテルに泊まっとるんやーーーーーーーーーー !」


その日、私は実家からほど近いホテルに泊まりましたとさ…… トホホ……

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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