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タカシの外資系物語

数字は人格 !?2003.12.19

「数字は人格である」みなさんはこの言葉から、何を想像しますか ? 私は外資系企業に転職して 6 年余り、現在 2 社目の外資系に在籍しています。そして、外資系に転職する前と後で比較して、いったい自分の中で何が変わったかというと、「数字は人格である」ということを理解したか否か、それに尽きると思っています。


ここで言う「数字」とは何か ? それは収益に他なりません。収益を上げた人だけが認められる、それが「数字は人格である」というコトバの意味です。


このように書くと、「そんなの当たり前じゃないか !」と感じる方が多いのではないかと思います。もちろん私が日系企業にいるときにも、どうすれば儲かるか、どうすればコストを削減できるか、という視点を持って仕事をしてはいました。でも、もっぱらそれだけを考えて仕事をしていたかというと、実はそうではありません。大きな収益を上げた人は出世して、高いポストにつくことができるでしょう。でも、それとて一定の手順、つまり係長→課長→部長…… と昇進していく速度が、普通の人の 1.2~3 倍ぐらい速いというだけで、そんなに目くじらをたてるような話ではありませんでした。確かに役員になれば、ならなかった人よりはいい暮らしができるでしょう。ですが、役員になった人だけが豪邸に住めて、そうでなければ一生ボロアパートというわけでもありません。差がつくといっても所詮は大したことがないわけで、ならばいっそのこと、「数字」にあくせくせずに日々楽しく暮らしていった方が幸せな人生を送れるような気もします。


これまでも経験談として書いてきたように、大学を出て最初に入った銀行では、「ま、会社が潰れることもないし、クビになることもないだろうから、テキトーに生きていこう !」と思って、安穏な日々を送っていました。少しぐらい「数字」を上げたからといって、東大や京大を出ている同期の方が早く出世するのが目に見えていたからです。


このように、しばらくの間は「人生こんなもんだろ」みたいに生きていて、まさにその通りだったように思います。しかし、ある日突然、転機が訪れます。潰れないはずの会社が、いとも簡単に潰れてしまったのです。「ありゃりゃ …… こりゃ、参ったな ……」当時は若かったということもあり、それほど深刻に考えずに、外資系企業への転職を決めました。


外資系企業に入って、外国人のボスから真っ先に言われたのが次のコトバです。You can be identified by only revenue !( 収益を上げた者だけが認知される = 「数字は人格である」)


この考え方の難しいところは、どこにも明文化されていないし、だれも表立っては声高には言わないというところです。つまり、外資系企業にとっては「当たり前」のことなのです。株式会社として、株主が投資してくれている以上、それなりの配当を分配することは、会社としては当然のこと。それを確保した上で、従業員の満足を高めるだとか、環境に優しい企業になるだとか、企業毎の特色が出していくという順番になります。逆に言うと、まずは何をおいても、株主に配当を還元するために、どんな手段を使ってでも収益を上げる必要があるということです(もちろん、法に触れない限りにおいてですが)。


日本の企業の多くも株式会社の形態をとっていますから、根本の原理は同じなのですが、その考え方が従業員の末端にまで浸透しているかというと、そうではないと言わざるを得ないでしょう。私だって、大学では経済学部で株式会社の仕組みを学びました。でも、会社に入社した瞬間に、「ま、適当にやろうかね ……」となってしまうわけです。これは、どうしてなのでしょうか ?


一番の理由は、「数字」を上げなくても、日本の企業では何のおとがめもないということでしょう。もちろん成績が悪ければ、多少居心地は悪くなるでしょうが、それ以上のことは起こりません。現在営業部門にいる人ならば、事務部門などのバックオフィスに異動させられるかもしれませんが、クビになるわけではありません。給料だって若干は減るでしょうが、半分になるわけではないでしょう。


一方、外資系企業で「数字」を上げられない場合は、有無を言わさずクビになります。営業に向かないからといって、事務部門に異動させてもらうことなどできません。なぜなら、採用の段階から、「営業部門のための採用」という縛りを入れられており、ダメなら解雇という手段しかとれないように出来ているのです。では事務部門は楽なのかというと、そういうわけではありません。事務部門では、「コスト削減」という観点での「数字」を上げることを要求されており、単に事務処理をしていればいいというわけではないのです。「数字」のことを一切考えずに、単に事務処理をしているだけの人も中にはいますが、そういう人の給料は、アルバイト並にしか出ていないというのが通常です。


要は、外資系企業では「数字」を上げないと、本当にクビになってしまうのです。確かに目標値以上の成績を上げれば、多くのボーナスがもらえることも事実です。でも、そんなことを考えながら働いている人はほとんどいないのが現状です。まずクビにならないこと、それが重要なのです。


また、「数字」という裏づけがなければ、社内で大きな顔はできません。東大を出ていようが、MBA を持っていようが、「数字」を上げられない人は評価されません。もちろん、出世もしないのです。


外資系企業の日本法人のトップ人事を見ていると、MBA でもないし、それほど有名ではない大学しか出ていない人が社長などの要職に就いているケースがあると思います。彼ら(彼女ら)が出世した理由は、語学力や運もあるでしょうが、そんなのは実はどうでもいいことなのです。一番重要なことは、「数字」を上げてきたかどうか、今後も「数字」を上げる能力・戦略があるかどうか、ということなのです。


最近は、日本企業でも同じような考え方をする企業が増えてきました。従来のように、右肩上がりの成長がほぼ永続的に見込めるならば、日本的なやり方でも通用するのでしょうが、今後はそうはいかんのでしょう。企業である以上、まず収益=「数字」を確保することが最重要であることを全従業員に叩き込む必要があるのです。その考えが浸透すれば、収益につながらないようなどうでもいいようなこと=ムダなこと をやっているヒマがなくなります。外資系企業は合理的だ、とよく言われますが、それは違います。収益を上げることだけを考えているので、どうでもいいことをやっていないだけなのです。いくらやっても収益につながらないことは何か、ということぐらいは、普通に働いている人ならわかります。特別なノウハウがあったり、魔法の杖を使って、業務の合理化をしているわけではありません。


「数字は人格である」、厳しい世界であることは確かですが、この世界なら、三流大学出身の私でも社長になれるかもしれません。日々、バタバタと時間に追われる毎日ですが、目標がハッキリしている分、取り組みやすいのも確かです。あ、そうそう、外資系企業に転職を考えているみなさんに一言。面接時に一番有効なアピールって、何だと思いますか ? それは、「数字」を語ることです。「私が入社して、こういう戦略を取れば、○○年度までに、XX,XXXの収益を上げることが可能です !」なんて言えれば、即合格です。逆に、「御社のこういう理念、考え方に惹かれました……」なんてことを何百回言われても、全然評価されません。なぜなら、外資系企業では、「数字こそが人格である」からです。外資系企業というのは、「数字」がすべてのベースにあって、その上に企業の「理念」や従業員の「働きがい」なんてのが乗っかっているわけです。


おっと、今月の売上実績と来月の見込額の入力期限は、本日の 0 時まででした。今月は何とか数字をクリアしたようです。明日からもまた、タカシという人格を守るために、数字を稼いでいかねばなりません。ちょっとトホホですが、ま、頑張っていきましょうかねっと。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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